【リグミの解説】 本日の新聞1面トップは、各紙が「軸」を置いて追及しているテーマが鮮明に出ています。
- 東京新聞は、「反原発方針」のもと、福島県で行われた2030年のエネルギー政策に関する意見聴取会の様子を県民感情に寄ったビューで報道しています。細野原発事故担当相は、かねてから「原点は福島の人々の思い」という意味の発言をしています。細野さんは、月刊誌VOICE(7月号)での田原総一朗との対談で、「原発をゼロにといった極端な賭けはできない」と語りました。今回の聴取会の反応をどう受け止めているのでしょうか。
- 対照的なのが読売新聞です。読売はオリンピック報道をトップにもってきていますが、福島県の意見聴取会については、どこにも記事が見当たりません。原発について意見表明する一般市民は、圧倒的に反原発、再稼働反対の人であると想定して、記事にすることを控えているのでしょうか。
- 朝日新聞は、原発告訴を検察庁が受理したことを伝える記事です。「原因責任」の追及が甘い日本で、マスコミの責任において長期戦で徹底追及する覚悟が朝日にあるでしょうか。
- 毎日新聞は、自らスクープ記事を出した原子力委の「秘密会議」が政策調整の場であったとする、内閣府の検証を伝えています。毎日は「原子力ムラ」解体まで追い込む覚悟で報道を続けるのか、こちらも注目です。
- 日経新聞は、いつもの政策的な経済記事です。「5%ルール」があっても銀行は関連団体などを通して企業に出資し、陰に陽に企業への実行支配力を保持してきたと思います。今回の改正案が今後の銀行の在り方に与えるポジとネガの両面を、より明確にした続報や解説記事を期待したいと思います。
オリンピックでの日本選手の活躍が続きます。頑張れニッポン!それは、原発事故をはじめ、戦後長く続いた構造問題によって苦しむニッポンへの再生のエールでもあります。
讀賣新聞
【記事】 西山「銅」
- ロンドンオリンピックは1日、柔道男子90キロ級の西山将士が準々決勝で敗れたが、敗者復活戦で勝ち上がり、3位決定戦を旗判定で制し、銅メダルを獲得した。
- 日頃から「後先を考えない」と口にする西山は、大事な大会の前にもいつも通り徹底的に体をいじめ抜く。講道館は4連覇しているが、国際大会では人が変わったように勝てず、首脳陣の評価も低かった。一時は柔道をやめようと思ったが、トレーニングコーチに「お前は代表の可能性がなくなる前にやめるレベルの選手じゃない。ゼロになるまでやり切れよ」と言われ、吹っ切れた。日陰で育った雑草のような強さを持った男は、銅メダルの輝きもまぶしかった。
- 女子70キロ級の田知本遥は、準々決勝で敗れた後、敗者復活戦でも敗退した。卓球シングルスの石川佳純は、3位決定戦で0-4と完敗し、オリンピックの日本卓球界初メダルはならなかった。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 原発事故、告訴を受理
- 東京電力福島第1原発事故をめぐり、福島、東京、金沢の各地検は、東電幹部や政府関係者に対する業務上過失致死傷容疑などでの告訴・告発を受理した。検察当局はこれまで、事故調査への影響などを考慮して受理を保留してきたが、国会、政府、民間、東電の4つの事故調の報告がそろい、捜査が可能になったと判断した。
- 福島地検は、事故当時福島県内に住んでいた住民1324人による集団での告訴・告発を受理した。対象は、東電側が、勝俣前会長をはじめ経営陣と安全対策の責任者ら15人。政府側は、経産省原子力安全・保安院の寺坂前委員長や原子力安全委員会の斑目委員長、原子力委員会の近藤委員長ら18人。
- 「操作の密行性」を重んじる検察が、告訴・告発の受理を公表するのは異例のこと。原発事故の原因解明と責任追及を求める国民の声に応えようとする姿勢の表れとみらえる。とはいえ、刑事立件への壁は高いというのが検察内部の共通の見方だ。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 「秘密会議、政策調整の場」
- 内閣府原子力委員長が原発推進側だけで「勉強会」と称する「秘密会議」を開いていた問題で、内閣府の検証チームが調査結果をまとめ、3日に細野原発事故担当相に提出する。
- 調査内容は、「(表の)小委員会の議論に影響を与えた」と指摘。電気事業者側が秘密会議で核燃料サイクル維持に有利な政策になるように求めていたことも認定し、「(国と事業者との)政策調整の場だった」と結論づける。
- 検証チームは、秘密会議参加者約80人のうち約40人のヒアリングをした。また秘密会議の司会役の内閣府原子力政策担当職員(当時)が消去したメールなども復元し検証した。結果、原子力委は議論への影響を否定してきたが、それを覆す内容が明らかになった。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 銀行の出資規制緩和
- 金融庁は、銀行による事業会社への出資規制を緩和する方針だ。今秋の金融審議会(首相の諮問機関)で規制緩和の議論を始める。
- 銀行法を改正し、5%としてきた出資比率の上限を10~20%程度に引き上げる案が出ている。いわゆる「5%ルール」は、戦後解体された財閥が再び形成さらないよう牽制する目的で定められたが、改正によって、創業間もないベンチャー企業や経営再建中の企業の株式を銀行がより多く持てるようになる。金融庁は、「5%ルール」の見直しに伴う影響度も慎重に点検する。
- 主に地域金融機関を念頭に、銀行の株式保有を抑えてきた金融行政の原則を転換し、企業再生を後押しする。来年の通常国会に銀行法の改正案を提出し、2014年までに実施することを目指す。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 「原発即ゼロ」福島、怒りの聴取会
- 東京電力福島第1原発の事故で計り知れない打撃を受けた福島県で1日、将来の原発比率について県民の意見を政府が聴く会が開催された。
- 将来0%どころか、「すべての原発即廃炉」を求める声が相次いだ。これまでの会では、2030年の原発比率を0%、15%、20~25%とする3つの選択肢から選び意見表明する形式だったが、福島ではとても受け入れられないことから、政府は発言希望を募るだけにした。インターネットで発言希望を出した95人の中から無作為抽出された30人が全員ひとり5分で意見表明した。
- 政府は、事故収束宣言や、原発再稼働など、福島県民の心を逆なでしてきたため、意見聴取会は政府への不信感や怒りの声に染まった。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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