【リグミの解説】
道徳の教科
中央教育審議会が、小中学校の「道徳の時間」を「特別の教科」とすることを求める報告案を大筋で了承しました。検定教科書を導入しますが、点数による評価はしない新たな教科となります。文部科学省は、学習指導要領の改定と検定基準の作成をし、早ければ2018年度からの実施を目指す、としています。本日の読売新聞がこの件の社説を掲げています。
<読売新聞> 道徳の教科化 思いやりの心を培う授業に
- 教科化を契機に、道徳教育を充実させることが大切である。将来を担う子供たちが、社会のルールを学び、思いやりの心を培う意義は大きい。道徳の教科化には、「特定の価値観の押しつけにつながる」といった批判もあるが、的外れと言うほかない。
- 報告案は、学校でのいじめが深刻さを増していることを踏まえ、「人間の弱さ」や「困難に立ち向かう強さ」を、取り上げるテーマとして例示した。ネットを利用する際の情報モラルなど、今日的な課題も扱うよう提案している。
- 問題は授業の質をいかに向上させるかだ。教師が教科書を読み上げるだけの授業では、子供たちの心には響くまい。いじめやトラブルの場面を設定し、子供たちに役割を割り振って、とるべき行動を考えさせる。一つの課題を徹底的に討論させる。そうした工夫の必要性を報告案が指摘したのはうなずける。
「嘘をついてはいけません」
道徳ほどむつかしい授業はないと思います。「嘘をついてはいけません」。これは正しいですね。道徳的です。でも、嘘をついたことのない人はいません。「わたしは嘘をついたことがありません」は笑えない嘘の典型です。では、「原則として嘘はついてはいけませんが、例外的に嘘をついていい場合もあります」ではどうでしょうか。ケースバイケースの事例集をつくることは、たぶん不可能です。議論噴出になるからです。
人の価値観はさまざまです。嘘をついていい場合も、人によって判断が違います。道徳とは、人として生きる上で根幹となる価値観です。自分の人生をほんとうに生きるためには、自分の心に問うて正しいと確信できることしか、人はほんらいできないものです。ところが、これは自分勝手と紙一重の行為です。人は自分ひとりでは生きられません。私たちは、他者の存在が自分自身と同じぐらい大事だとわかっています。
自己と他者
だから道徳の時間が問題になるのでしょう。人として生きる上で根幹となる価値観とは、他者とともにどう生きるかというテーマそのものだからです。自己と他者。この関係性を深く深く問うことなしに、道徳を教えるという行為は成り立ちえないと思うのです。「嘘をついてはいけません」。確かに。「がしかし、嘘をついていいときもあります」。そうなんですか?それは誰に対して、どのような時?
ノウハウのように扱えないのが道徳です。それは知識でもありません。上からこうしないさいと押さえつけるルールとも違います。人間とは何か、人間関係とはどういうものか。教師もまた自問自答しつづけない限り、道徳を教えることはできないでしょう。
「いじめ」が力を失うとき
私の高校生活の思いで深い授業は、倫理社会でした。戦時、海軍の兵士だった倫社の教師は、南の島の極限状況を淡々と語りました。あとは、一年間、ひたすら道元の正法眼蔵を題材に授業を組み立てていました。実に変わった先生でした。今思い出すと、私は、この先生から倫理や道徳ではなく、「生き方」を学んだ気がします。
自分の心の一番中心に何があるか。その不明の何かを探求するのが道徳なのではないか。「嘘をついていいとき」を天地神明に誓って正しいと断言できる心とは何なのでしょうか。「嘘」を「いじめ」に置き換えたらどうでしょうか。
もし道徳の授業に価値があるとしたら、それは子どもたちが「いじめ」の問題に真正面から向き合ったときでしょう。そのとき、教師の心の大きさがほんとうに大事になります。いじめている子の心と、いじられている子の心と、傍観している子の心のすべてに寄り添い、共感しない限り、道徳の授業はできない。私にはそのように思われます。他者を包み込むビッグハートを育てられたとき、「いじめ」は力を失います。教師、そして私たち大人の「生き方」が子どもの心を育てます。道徳ほどむつかしい授業はないと思います。
(文責:梅本龍夫)
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014082701001892.html
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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