2014.06.05 thu

2014年6月5日【新聞解説】出生数を増やす小さな一歩

2014年6月5日【新聞解説】出生数を増やす小さな一歩


【リグミの解説】

少子化問題
日本の今後を占う最大の課題は何でしょうか。たくさんのテーマが頭に浮かびますが、構造的にかならず将来に影響が大きく出るのが人口問題です。本日の日経新聞の社説は、日本の人口問題は少子化問題であるとし、解決を急ぐべきと提言しています。
 
<日経新聞> 人口減への危機感共有し少子化対策急げ
・ なにより大事なのは、結婚したい、子どもを持ちたいという若い世代の希望がかなうような環境を整えることだ。雇用が安定せず、結婚や出産に踏み切れない人は多い。就業支援や、非正規雇用の処遇改善などを通じ、将来への不安を和らげる必要がある。
・ 経済的な負担が重くなりやすい多子世帯への支援もしっかり考える必要があるだろう。
・ 保育サービスの充実や、男性を含めた働き方の見直しも、引き続き進める必要がある。長時間労働が常態化した硬直的な働き方のままでは、女性は仕事か子育てかの二者択一を迫られる。国や自治体だけでなく、企業経営者などの努力が求められる。
・ 子どもを持つ持たないは個人の選択であり、望んでも授からない夫婦もいる。女性が圧力と感じることがないよう丁寧に対応してほしい。子育てを阻む壁を取り除き、若い世代の希望に寄り添う。その結果として子どもが増えていく道筋をつくりたい。
 
戦前は200万超だった出生数
2013年の出生数103万人弱でした。これはどれぐらいインパクトのある数字なのでしょうか。統計を見ると、1920年代から敗戦の1945年まで、出生数はほぼ一貫して200万人を超えていました。戦後になり、戦地から帰還した人たちによる第1次ベビーブームのピークとなった1949年の出生数は約270万人、団塊世代の中核の人々です。
 
その後、社会構造の変化で一家庭あたりの子供の数が減り、出生数は150万人程度まで急減しましたが、高度経済成長とともに再び増加に転じ、第2次ベビーブームの1973年には209万人まで回復しました。団塊ジュニアは、親となる団塊世代の8割弱の数でした。しかし、団塊ジュニアたちが第3次ベビーブームとなる「出生数の山」を作ることはありませんでした。
(参照:日本の出生率と出生数をグラフ化してみる
 
団塊ジュニアが社会人になった1990年代は、日本の社会構造が大きく変わった時代です。日経の社説が指摘する諸問題が急速に浮上したのもこの頃からです。統計データを見ると、少子化問題は、遅くとも20年前からは取り組むべきテーマであったことがわかります。
 
日仏は子育て環境で好対照
フランス人の歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏は、日仏を対比し、「フランスは政治も経済も何もかもうまくいっていない。失敗だらけだ。しかし、唯一、出生率だけは上昇に転じ、うまくいっている。」「日本人は、出生率が問題であるという事実をかなり意識しているが、それが唯一の問題であることに気づいていない。長い歴史を見ても、出生率が日本にとって、唯一の重要事項だ。その他のことはすべて、許容できる。」と語っています。
(引用:日本人は少子高齢化という衰退を楽しんでいるのか )
 
トッド氏は、「フランスの出生率が高く、特に中流階級の女性が国から手厚い援助を受けていることが出生率上昇の背景にある」と指摘します。フランスでは幼稚園から大学まで、教育費はほとんど無料だそうです。「子供を産んで高等教育を受け、有能な大人に成長するまでに25年はかかる。そういう状況で子供を産むという決断は、国が手厚い支援をしない限り、重大なものになる」。
 
問題から目をそらさない
少子化対策については、さまざまな人々がさまざまな問題指摘や提言をしてきました。しかしトッド氏は言います。「東京に来るたびに、日本人は完璧なまでに見事に少子高齢化という『衰退』を楽しんでいるかのように感じる。過去10年、少子化問題が騒がれている割に、少しも変わっていない」。
 
日本はフランスとは社会構造も国民心理も違います。単純比較はできませんが、ここでの重要なヒントは、「大黒柱となる社会政策があれば、出生率は劇的に改善する可能性がある」ということです。カギを握るのは、子育て世代の女性と男性たちの「安心と希望」につながる施策です。
 
私は、1番の柱は経済問題の解決、2番目が子育てで孤立しない公的施設や制度の充実、その上で3番目に社会全体が子供たちをいっしょに育てていく社会心理(空気)を醸成していくことが大切だと思っています。自分自身ができることは何か。3番目の社会心理は、私たち一人ひとりが作り手になっています。電車に乗ったとき、妊婦や赤ちゃんを抱いたお母さんに席を譲る。そんな小さな一歩が、案外大きな変化につながるかもしれません。
 

(文責:梅本龍夫)



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(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. STAP研究 成果白紙 英科学誌 撤回働きかけ 細胞有無 ゼロから検証
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11173586.html
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    http://www.asahi.com/articles/ASG643F24G64UUPI001.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 出生数 過去最少更新 102万9800人 出産年齢の女性減 出生率上昇1.43
    http://mainichi.jp/select/news/20140605k0000m040088000c.html
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    http://mainichi.jp/select/news/m20140605k0000m020155000c.html
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    http://mainichi.jp/shimen/news/m20140605ddm001040164000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. トヨタなど全14社 統一 汎用部品の仕様 コスト削減
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASDZ040BL_U4A600C1MM8000/
  2. 対ロ追加制裁の用意 首脳宣言案 東・南シナ海緊張 懸念 G7サミット
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASGM0403L_U4A600C1MM8000/
  3. 出生数最小102万人 人口減少が加速
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0402Y_U4A600C1EA2000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



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    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140605/biz14060508050003-n1.htm
  2. 出生数 最小102万9800人 出生率1.43、改善2年連続 25年
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/140604/trd14060416260009-n1.htm
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    http://sankei.jp.msn.com/science/news/140604/scn14060412120002-n1.htm

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014060502000126.html
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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014060502000124.html
  3. 甲斐が女流王位防衛
    http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014060401001925.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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