【リグミの解説】
読売新聞の世論調査
昨日の読売新聞は1面トップで「集団的自衛権」に関する世論調査結果を掲載しました。内容は以下のとおりです。
・ 政府が目指す集団的自衛権の行使に関して、「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」とした「限定容認論」を支持する人は63%に上ることが、読売新聞社の全国世論調査で分かった。
・ 「全面的に使えるようにすべきだ」と答えた8%と合わせて計71%が行使を容認する考えを示した。行使容認論の国民への広がりが鮮明となり、近く本格化する集団的自衛権を巡る与党協議にも影響を与えそうだ。
この記事を見た第一印象は、「?」でした。安倍政権が推進している「集団的自衛権」の閣議決定の方向性について、調査対象者はどれだけ中身を理解し、納得してうえで回答したのでしょうか。
質問内容と回答の選択肢は以下のように設計されています。
・ 日本と密接な関係がある国が攻撃を受けたとき、日本への攻撃とみなして反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府はこれまで、憲法上、この権利を使うことはできないとしていました。この集団的自衛権について、あなたの考えにもっとも近いものを一つ選んでください
・ 全面的に使えるようにすべきだ 8%
・ 必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ 63%
・ 使えるようにする必要はない 25%
・ その他 0%
・ 答えない 4%
もし私が回答者でも、6割以上の人が選択した「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」を消極的理由や消去法で選ぶ可能性があると感じました。なぜでしょうか。「全面的に使えるようにすべきだ」も「使えるようにする必要は無い」も賛否の両極端の立場だからです。断定できる強い意見の持ち主だけが選ぶ選択肢です。問題は、そこまで断定はできないが、この問題について慎重に考えた人むけの選択肢がないことです。
読売の世論調査は、最初から「集団的自衛権」を容認するのはやむをえないとの前提で設計されているといえます。本来は、「全面的に使えるようにすべきだ」「どちらかというと使えるのが良い」「どちらともいえない」「どちらかというと使うべきでない」「使えるようにする必要はない」という5段階評価がまずあるべきです。
NHKの世論調査
同日にNHKも世論調査で「集団的自衛権」について問いました。
・ 日本が集団的自衛権を行使できるようにすべきだと思うかどうかについては、「行使できるようにすべきだ」が30%、「行使できるようにすべきでない」が23%、「どちらともいえない」が37%でした。
・ 安倍総理大臣は、これまでの政府の憲法解釈を変更することで、集団的自衛権を行使できるようにすることに意欲を示していますが、この考えに賛成かどうか聞いたところ、「賛成」が27%、「反対」が30%、「どちらともいえない」が36%でした。
・ また、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」というこれまでの政府の憲法解釈に対し、自民党内から、「範囲を限定すれば憲法上許される」という主張が出されていることについて聞いたところ、「妥当だと思う」が20%、「妥当だと思わない」が22%、「どちらともいえない」が21%、「主張の内容をよく知らない」が31%でした。
こちらの調査結果はある程度納得できます。「どちらともいえない」という態度留保の選択肢があること、「主張の内容をよく知らない」という知識不足を認める選択肢があるからです。
マスコミの使命
現在マスコミが実施している電話による世論調査は、そもそも直感的、反射的に答える種類のものと思われます。専門家等から基本知識や解説を得て、自分でまず考え、人と意見を交わす熟議を経て責任ある意見をもつという態度と正反対のものです。
民主主義を表層的で感覚的なものにしかねない世論調査の弱点を自覚し、「どちらともいえない」や「主張の内容をよく知らない」をまず正確に表示すること。その上で、この不確定な中間層が自覚的に賛否のどちらに動くかをじっくりと見極めるべきです。それが成熟した民主主義を推進するマスコミの使命であると考えます。
(文責:梅本龍夫)
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