2012.07.31 tue

新聞1面トップ 2012年7月31日

新聞1面トップ 2012年7月31日


【リグミの解説】 今日の新聞1面トップは、読売、朝日、毎日が、日本に初の金メダルをもたらした柔道57キロ級の松本薫選手の戦いぶりを伝えています。

眼光鋭く相手をにらみつけ、決して攻撃に手を緩めず、場外に逃げる相手選手を場内に引きずり戻しても寝技で仕留めようとする。鋭い技で華麗に一本を取るスタイルとは対極のどろくさい柔道で、日本が渇望する金メダルを見事勝ち取りました。銀メダルを獲得した男子73キロ級の中矢力選手も、どろくさく攻め続け、立ち技のみならず寝技でも、一本を取る気構えを決して失いませんでした。

しかし両選手とも、ただ精神論でがむしゃらに前進していたわけではありません。オリンピックで金メダルを取るための戦略(全体のゲームプラン)を明確に描き、個別の相手選手の特徴に合わせて戦術(個別の戦い方)を有効に組んでいました。その上で、これぞ自分らしさの発露といえる戦技(得意技)を徹底的に磨き、前へ前へと挑み続け、勝ち取った栄冠でした。今日本が必要としている戦略、戦術、戦技、そして心技体のバランスをオリンピックの大舞台で身をもって示してくれた松本選手と中矢選手。

おりしも日経新聞のトップ記事は、エコカーなどの世界市場での戦いに勝利し続けるために必要な官民を挙げての取り組みを報じています。その戦略や良し。あとは中韓など台頭するアジアの競合と、巻き返しを狙う欧米企業に対して、どのように戦術を具体化し、実践しいくか。そして何よりも、ただ今の地位を守るだけでなく、未来の「金メダル」を勝ち取っていくのだ、という気概をもって世界に挑み続けること。グローバル競争が激化する「産業オリンピック」で、勝ちパターンを忘れかけている日本ですが、No.1をめざしてどろくさく攻め続ける勝負魂を取り戻すことの大切さを、オリンピック競技が教えてくれています。

讀賣新聞

【記事】 松本「金」

  • ロンドンオリンピックは30日、柔道女子57キロ級の松本薫が日本勢初の金メダルに輝いた。決勝の延長戦でルーマニアの選手が反則を犯して勝利をものにした。
  • 日本女子に開いていた穴が埋まった。松本選手の金メダルは日本選手団を大いに勇気づけた。運動神経が抜群で「野生児」と呼ばれる松本には、初のオリンピックという大舞台の重圧も無縁だった。闘争心むき出しで女子柔道「連敗」の流れを攻めて断った。
  • 男子73キロ級の中矢力は決勝で敗れて銀メダルとなった。卓球女子の福原愛と石川佳純は、ともにシングルスで初の8強入りを果たした。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 松本、金

  • ロンドンオリンピック第4日の30日、柔道女子57キロ級で松本薫が決勝でルーマニアのコリナ・カブリイオリウを破り、金メダルに輝いた。日本勢初の金メダルであり、柔道女子のメダルも今大会初。松本選手は、2010年世界選手権の覇者。
  • 日本女子柔道陣の不振の重圧は関係なかった。「野性味」溢れる柔道で、初戦から前へ、前へと攻め続けた。女子57キロ級はこれまでオリンピックでは日本勢の優勝がなかった。その階級を制し、2日間メダルなしに終わった柔道女子の負の連鎖を止めた。
  • 男子73キロ級の中矢力は、決勝でロシアのマンスル・イサエフに敗れたが、銀メダルを獲得した。卓球女子シングルスで、3大会出場の福原愛と初出場の石川佳純が共に初の8強入りをした。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 松本「金」1号

  • ロンドンオリンピックは第4日の30日、柔道女子57キロ級の松本薫が、日本に今大会初の金メダルをもたらした。ルーマニアのコリナ・カプリイオリウとの決勝で、相手の反則により勝利した。この階級での日本勢のメダル獲得は2000年のシドニー以来で、金メダルは初めて。
  • 「野獣」「野性」「オオカミ」。女性にはいささか失礼なニックネームだが、柔道家松本を表現するにはふさわしい。鋭い眼光で相手をにらみつけ追いつめる闘志むき出しの松本が、頂点に立った。不振が続く日本柔道、日本選手団。松本のまっすぐな気持ちが、待望の金メダル1号をとらえた。
  • 男子73キロ級の中矢力は、決勝でロシアのマンスール・イサエフに敗れたが、銀メダルを獲得。オリンピック初出場のふたりがそろってメダルを手にした。男子は今大会3階級連続のメダルを決めた。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 先端部材、日米中で量産

  • クレハ、クラレと伊藤忠商事は、官民ファンドの産業革新機構と共同会社を組み、電気自動車などの充電時間を半減でき耐久性が3割上がるリチウムイオン電池の先端部材を量産する。
  • 共同会社は、リチウムイオン電池に使う負極材と呼ぶ主要部材を生産する。新工場の建設のために約200億円の増資を実施する。産業革新機構がそのうちの100億円をだし、50%弱の最大株主となる。
  • 日米中に新工場を建設し、将来は日本の関連素材メーカーに広く参画を呼び掛ける。エコカーやその素材は、日本勢が先行したが、円高などで中韓勢の追い上げが激しいため、官民で先端素材技術を結集し、主導権の維持を狙う。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 浅草、映画の灯消える

  • 1903年に日本初の活動写真常設館「電気館」が開館し、映画館発祥の地となった東京・浅草。その浅草から映画館が姿を消す。娯楽施設が集積する「浅草六区」の再開発計画で、現在残る5つの映画館が今年10月までに閉館することが判明した。浅草寺の西側に位置する浅草六区には、東宝など主要な映画会社の系列館や演芸場などが軒を連ね、かつては街に人が溢れた。しかし、1964年の東京オリンピックを着にテレビが普及し、映画館の廃業がつづいた。閉鎖される5館は「浅草世界館」「浅草シネマ」「浅草名画座」「浅草新劇場」で、昭和初期に建設された建物に入っている。5館の総座席数は約1千席。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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