2014.05.02 fri

2014年5月2日【新聞解説】プロは可視化に耐えるもの

2014年5月2日【新聞解説】プロは可視化に耐えるもの


【リグミの解説】

取り調べの可視化
冤罪を防ぐために、警察と検察の取り調べの録音・録画(可視化)をどう進めるか、法務省の試案が出ました。5/1に読売、朝日、毎日、日経、本日5/2に産経が社説を掲げています。特徴的な主張を比較します。
 
<読売新聞> 取り調べ可視化 対象事件の範囲をどう絞るか
・ 試案が、容疑者本人が録音・録画を拒んだ場合や暴力団犯罪を例外としたのは妥当である。
・ 全事件を対象にした場合、検察は対処できるのか、疑問が残る。現実的な議論が必要だ。
 
<朝日新聞> 捜査の可視化 これでは冤罪は防げぬ
・ 今回は、公判となる事件の2%ほどしか対象にしない案が示された。まったく不十分というほかない。
・ そもそも身体を拘束されたかどうかに関係なく、取調官と容疑者の強弱関係は圧倒的だ。最終的にすべての取り調べをあとで検証できるようにする制度こそをめざすべきだろう。
 
<毎日新聞> 取り調べ可視化 「全ての事件」が基本だ
・ 取り調べ過程の一部可視化では、捜査側に都合のいい供述だけが切り取られる懸念が残ることは、過去のえん罪事件から明らかだ。
 
<日経新聞> 刑事司法改革の合意めざせ
・ 可視化は取り調べが正しく行われていることの証明や、被告の供述が不自然かどうかの判断に役立つ。警察・検察は弊害にこだわり続けるのではなく、原点に立ちかえって歩み寄るときではないか。
 
<産経新聞> 刑事司法制度 新たな捜査手法の確立を
・ 容疑者が録音・録画を拒否した場合や、暴力団事件などを例外とした。映像を残すことで供述を躊躇(ちゅうちょ)し、報復を恐れる容疑者もいるだろう。現実的で妥当な判断だといえる。
 
「原則現状維持、例外可視化」という本音
可視化には、警察、検察の捜査現場の抵抗が強いといいます。「警察や検察出身の委員は『容疑者が話さなくなる』『結果的に真相解明が遠のき、治安が悪化する』『コストがかさむ』といった理由で可視化の対象事件を広げることに反対してきた」と毎日の社説は解説しています。
 
捜査現場は、「原則現状維持、例外的に可視化」が望みのようにみえます。いっぽう世の中の流れは、「原則可視化、例外的に非可視化」であると思います。冤罪の重さと捜査の実効と天秤にかけた判断です。
 
もし自分が被疑者ならと想像する
自分がもし被疑者であったらどうか。その想像力も求められる事案です。私だったら可視化とともに、弁護士同席も求めたくなると思います。交渉事でも営業でも、ひとりで対応すると「言った、言わない」になります。
 
誰も見ていない1対1の会話だから成り立つこともあります。問題はそれが証拠になり得るかです。当局側が複数人いて、被疑者本人が調書に署名しても、これだけ冤罪事件が繰り返されるということは、操作方法を時代の要請に合わせ、変革すべき時期にきているということです。
 
「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という諺があります。新しい捜査方法で卓越した力を発揮するプロが出てくることを期待すべきではないでしょうか。可視化とは「説明責任」を負うことです。それは、どの分野のプロも等しく負うべき基本的義務であり、倫理です。
 

(文責:梅本龍夫)



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(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



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(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



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(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 消費落ち込み「想定内」百貨店は1割減 自動車5%
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASDZ010E7_R00C14A5MM8000/
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    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS3004I_R00C14A5MM8000/?dg=1
  3. ソニー赤字1300億円 前期最終 リストラ費用追加
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASGD0104B_R00C14A5MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



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    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140502/biz14050207400006-n1.htm
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(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014050202000146.html
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(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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