2012.07.30 mon

新聞1面トップ 2012年7月30日

新聞1面トップ 2012年7月30日


【リグミの解説】 今日の新聞1面トップは、読売と毎日が「ロンドンオリンピック」、朝日と東京が「脱原発デモ」です。

オリンピックの男子柔道66キロ級の海老沼選手の準々決勝で「前代未聞の事態」が起きました。審判3人の旗判定で一旦は負けが確定しましたが、本部席にいる審判委員が抗議し、審判が再度協議し、一転して海老沼選手を優勢とする旗判定が出されました。今回の柔道会場では、審判の下す判断に対して、ビデオでレビューしている審判委員が判定を覆すケースが目立っています。これは複雑な手続きになっていますが、うまく活用すれば、誤審の回避と審判のレベルアップにつながる可能性があります。

政治の現場も同じではないでしょうか。海老沼選手が旗判定で一旦負けとなったとき、目の肥えた柔道会場の観衆は不満のブーイングの声を発しました。脱原発のデモも、これと重なるものがあります。拙速に大飯原発再稼働を決定した野田首相と政府に対して、成熟した国民がブーイングをしています。参加者の多くは、過激な反原発イデオロギーとは距離を置いた普通の生活者だと思います。その人々が、「政府の旗判定は誤審」とみているのです。

この声に対して、柔道会場の審判委員にあたる仕組み・制度があれば、判定のやり直しを促すこともできます。デモや抗議運動が目指すべきは、ただ脱原発や再稼働反対を訴えるのではなく、より成熟した民主主義の手続きを取れる仕組みづくりを促すことにあるのではないでしょうか。「熟議」できる制度を国民が持てれば、政府に対する信頼感も大きく変わると思います。


讀賣新聞

【記事】 17歳萩野「銅」

  • 栃木・作新学院高校3年の17歳、荻野公介が、競泳男子400メートル個人メドレーで、予選で出した日本記録を1秒07更新する4分8秒94で銅メダルに輝いた。「怪物」と呼ばれる北京オリンピック8冠のマイケル・フェルプスを抑え、この種目で男子初となるオリンピックメダルを獲得し、日本水泳の歴史に名を刻んだ。
  • 日本競泳男子で高校生がメダルに輝いたのは1956年のメルボルンオリンピック以来。「幸せなこと。メダルには、この重さ以上の重みを感じます」。萩野は、中学、学童(小学)記録は現在も個人種目だけで計10個保持するなど、各世代でトップに立ってきた。直前まで猛烈に泳ぎ込んだ「努力する天才」が、初のオリンピックで大きな勲章を手にした。
  • 柔道男子66キロ級の海老沼匡が3位決定戦を一本で制して銅メダルを獲得した。女子52キロ級の中村美里は初戦で敗退した。アーチェリー女子団体は3位決定戦に回った。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 国会囲む原発NO

  • 3月末から始まった首相官邸前で「脱原発」を訴える抗議行動。4ヵ月経ち、さらなる圧力を政治にかけようと「7.29脱原発 国会大包囲」と題した抗議行動を29日に実行した。
  • 官邸前で毎週抗議を続けてきた「首都圏反原発連合」が呼びかけたもので、人々がろうそくやペンライトなどを手に国会議事堂を取り囲んだ。
  • 国会正門前の車道に一部の参加者がなだれ込み、騒然とする場面もあった。主催者発表で延べ約20万人が参加。警視庁は参加数や検挙の情報を公表していないが、警察関係者への取材でデモには約1万2千人、国会包囲に約1万4千人が参加したという。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 海老沼、柔道66キロ級で銅

  • ロンドンオリンピックは第3日の29日、柔道男子66キロ級で海老沼匡が銅メダルを獲得した。海老沼は2011年の世界選手権覇者。
  • 韓国のチョ・ジュンホとの準々決勝は延長戦でも決着がつかず判定に。一度は敗れる判定だったが、本部席にいる審判委員による異議により再判定の結果、判定が覆り、優勢勝ちした。
  • 海老沼は準決勝で敗れたが、3位決定戦でポーランドのパベル・ザグロドニクを一本勝ちで下した。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 介護ロボ、保険対象に

  • 政府は、介護・福祉に役立つ先端機器(介護ロボット)への公的保険の適用範囲を拡大する。
  • 主な介護ロボットは、①体に装着するタイプ(例:筑波大の装着型ロボットスーツ)、②日常生活を支えるタイプ(例:セコムの食事介護ロボット)、③コミュニケーションをとるタイプ(例:産業技術総研のアザラシ型ロボット)。
  • 必要な機能を絞り込んだ上で、2015年度から利用料の9割を補助する。政府は介護現場での補助機械の普及を、介護士の不足の緩和に役立てたい考えだ。同時に、国内メーカーに安価で使い勝手のいい製品開発を促すのが狙い。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/

【リグミから一言】 少子高齢化がつづく日本は、介護環境の整備が焦眉の急となっています。まず取り組むべきは介護士の劣悪な環境の改善だと思います。低賃金で高負担の労働を強いられている現実を改善する手立てを考える必要があります。一方で、介護者の自立的な活動を補助する介護ロボットは、注目されます。慢性的な人手不足に対して、外国人労働力で対応するのか、それともロボットで対応するのか。知恵を絞れば、きめ細かいサービスと、テクノロジーの活用を得意とする日本人が、労働力の輸入に頼らない日本的な解決アプローチを生み出す可能性もあります。


東京新聞

【記事】 脱原発の灯、国会包囲

  • 東京電力福島第1原発事故を受けた抗議行動の「脱原発 国会大包囲」が29日夜に永田町で行われた。主催は、首相官邸前での抗議を呼びかけてきた「首都圏反原発連合」。
  • 参加者は、東電本店前やJR新橋駅周辺をデモ行進したあと、国会議事堂を取り囲み、ろうそくやペンライトを手に「原発反対」「子どもを守れ」と訴えた。
  • 参加人数は主催者発表で20万人、警視庁関係者は1万2500人程度としている。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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