2014.04.17 thu

2014年4月17日【新聞解説】ブランドとしての科学

2014年4月17日【新聞解説】ブランドとしての科学


【リグミの解説】

笹井センター長の記者会見
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が、記者会見しました。「STAPは有望で合理的な仮説と考える」と語り「再検証が必要」との立場を示しました。一連のSTAP報道の喧噪の中で、6新聞の中で、朝日だけが社説を掲げました。
 
<朝日新聞> STAP騒動 あおり競争で細る社会
・ 研究費獲得にしのぎを削る現実の中、看板となるスターを押し立てたかったのではないか。研究をくるんだ「包装紙」にメディアも目を引かれ、注目度は高まったが、肝心の論文はずさんだった。
・ 交響曲を「全ろうの被爆2世作曲」という包装紙で包んだ佐村河内氏騒動。ホテルやデパートがブラックタイガーを「車エビ」という包装紙で包んだメニュー偽装事件――。いずれも中身より外観に振り回された。
・ 保方さんは、いつかSTAP細胞が人の役に立つ日を夢見て来たと語り、上司の笹井芳樹さんもきのう、「発見」は今なお検証に値すると強調した。ならば、真実の解明に全力を集中してほしい。包装紙よりも、中身の価値にこそ細心の注意を払う。そんな心眼をもつ社会でありたい。
 
ブランドの時代
世はブランドの時代です。ブランドの語源は、家畜への焼印です。焼印は、その家畜が自分の所有物であることを示すマークです。現代ビジネスにおいて、決定的に重要な意味をもつブランドもまた、煎じ詰めれば、目を引くロゴでつづられた単語や、ユニークな図柄に過ぎません。
 
理研も、ネイチャー誌も、私たちにとってはある種のブランドです。中味はわからなくても、なんとなく良いもの、すぐれたもの、正しく役立つものをイメージさせます。権威と信頼を体現するブランドです。ブランドは、かならず物語を発信します。「烙印」でしかないブランドを豊かに表現する物語によって、人は「烙印」を見ただけで、それが象徴する価値を体感するようになります。
 
スターバックスというブランド
スターバックスは、世界中で愛飲され愛用される一大ブランドになっています。かつてはコーヒーの文字をつけていましたが、今はスターバックスだけの表記です。コーヒーという主要商品を離れてブランドの世界観が広がっているという背景があります。
 
かつてスターバックスのミッション・ステートメント(理念と行動指針を記したもの)は、「パートナー(従業員)」の記述からはじまりました。ブランドの主役は働く一人ひとりという哲学を反映してものでした。
 
スターバックス店舗が米国だけで1万1000を超え、日本でも1000を超えた今日、ミッション・ステートメントは改訂され、「私たちのコーヒー」という記述からはじまります。原点の製品を再確認する意味があります。
 
ブランドを支える「ほんもの」
スターバックスの店舗はコーヒーを飲みに行くのではなく、「サードプレイス」の価値を体感するためとはよく言われます。しかし、コーヒーが「ほんもの」でなければ、それは根拠のない虚像になっていきます。製品にこだわり、働く人々が本気でその製品を愛し、育てる。その原点がブランドを創ります。
 
理研も、科学全般も、同じではないでしょうか。科学の門外漢のマスコミも、マスコミ報道に踊らされた私たちも、今確かめるべきは、理研、ネイチャー誌、そしてSTAP細胞が「ほんもの」なのかどうかです。
 
科学の底力に期待
コーヒーが「ほんもの」かどうかを決めるのは、最終的には消費者の嗜好です。科学には、厳密な科学的手続きという伝家の宝刀があります。科学の門外漢の私たちも、科学的手続きという地道で苦しい道程を、一緒に歩んでみてはどうでしょうか。中味は厳密にはわからなくても、STAP現象の検証のプロセスを、調査報道という地道なメディア活動を通して、追い続けることは可能です。
 
もしそこに「ほんものの物語」が見えてきたら、表面的で空疎なブランドとは異質な、人類の英知の結晶として「ブランド」の輝きを発見できるかもしれません。私は、真理を探求する科学の底力に大いなる期待を寄せ、STAP細胞というブランドが「ほんもの」かどうか、見守っていきたいと思います。

(文責:梅本龍夫)



  1. 沈没韓国船 不明277人 座礁か 死者6人に 待機指示 逃げ遅れ
    http://www.yomiuri.co.jp/world/20140416-OYT1T50119.html
  2. STAP存在「有力」理研・笹井氏 論文撤回は適切
    http://www.yomiuri.co.jp/science/20140416-OYT1T50089.html?from=ytop_main2
  3. コメ 関税ゼロ回避へ TPP 米が容認 麦・砂糖も
    http://www.yomiuri.co.jp/economy/20140417-OYT1T50003.html?from=ytop_main3

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 客船沈没 280人船内か 韓国460人乗り、救助難航
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11088690.html
  2. 混合診療の拡大検討 政府 患者希望で可能に
    http://www.asahi.com/articles/ASG4C3VCCG4CUTFL003.html
  3. STAP存在 可能性強調 笹井氏、新証拠は示さず
    http://www.asahi.com/articles/ASG4J4W4SG4JULBJ00J.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 修学旅行生ら277人不明 韓国客船沈没 死者6人に
    http://mainichi.jp/select/news/m20140417k0000m030103000c.html
  2. 「同盟国に攻撃時」明記 自衛隊法 政府が修正検討 集団的自衛権
    http://mainichi.jp/select/news/20140417k0000m010140000c.html
  3. STAP論文 生データ見ず 理研・笹井氏「有力な仮説」強調
    http://sp.mainichi.jp/shimen/news/m20140417ddm001040167000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. ビッグデータ 300社連携 開発・販売に活用 相互利用へシステム共有
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASDZ160FS_W4A410C1MM8000/?n_cid=TPRN0001
  2. ミサイル部品 対米輸出 三菱重 防衛装備三原則で初
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1601H_W4A410C1MM8000/
  3. 混合診察拡充を指示 首相、成長戦略の柱に
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS16036_W4A410C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 「STAP 最有力な仮説」笹井氏「論文は撤回適切」
    http://sankei.jp.msn.com/science/news/140416/scn14041616490003-n1.htm
  2. コメ・砂糖・麦は関税維持 TPP 日米きょう閣僚折衝
    http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140417/fnc14041707550002-n1.htm
  3. 福島第1 凍土壁に懸念 規制委「有効性は未確認」
    http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140417/dst14041707510003-n1.htm

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 277人不明 多数船内か 韓国客船沈没 高校生ら6人死亡 事故当時、現場に霧
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014041702000138.html
  2. 千葉市も自主規制 平和集会後援断る
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014041702000157.html
  3. 大島復興 半年の歩み
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014041702000116.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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