【リグミの解説】
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STAP細胞の論文疑惑がもたれている主著者の小保方晴子・理化学研究所ユニットリーダーが記者会見を開き、弁明と反論をしました。読売、毎日、東京の3紙が社説を掲げています。特徴的な論点を比較します。
<読売新聞> STAP問題 「反論」は説得力に欠けている
・ 日本の科学研究の信頼を揺るがした責任の重大さを考えれば、「未熟」「不勉強」との釈明は通らない。「悪意はない」との言い分も、「故意」を意味する法律上の「悪意」を、道徳的な概念と混同しているのではないか。
<毎日新聞> STAP問題 外部の目で真相解明を
・ 野依良治理事長が「未熟な研究者」と指摘した小保方氏を、理研が研究ユニットリーダーとして採用した経緯や、論文発表に至る過程で共著者のチェック体制が働かなかった理由についても、きちんと検証してほしい。
<東京新聞> 小保方氏会見 研究姿勢が疑念招いた
・ 小保方氏は、十分な弁明の機会も与えられなかったとして再調査や委員を外部人材に委ねることも求めている。公平性を高めるために理研は十分な弁明の機会や委員の再構成を検討してもいいのではないか。
小保方氏の印象
一言一句のやりとりを中継する記者会見を見ていて、小保方氏は自分の思いをそのまま言葉として語っていると感じました。昨今、テレビの取材に答える人々の一般的な姿と比べて、きれいな日本語を語る人であることも印象的でした。
こうしたことは、会見内容の論理実証的な検証とは関係ありません。小保方さんを心情的に支持したいと思う人にとっては、心に訴えるものがある会見でしたが、科学の名のもとに事実(具体的な証拠、データなど)を積み上げていくことで、はじめて疑念が晴れるという意味では、物足りない内容でした。
科学にはチームが必要
科学者も人間ですから、感情があり、欲もあります。間違いをおかしたり、ごまかしたりすることもあるでしょう。それを防ぐには、本人の倫理観を徹底してみがき、科学的手法に習熟する訓練が欠かせません。
同時に、人間はタイプによって得手不得手があることを理解する必要もあります。科学的研究は異なった才能や経験をもったメンバーで構成されるチームで探求すること。同時に、第三者が厳格にチェックする仕組みを再度徹底して作りこむこと。個人に依存しない体制が不可欠です。
研究プロセスや組織の在り方に科学の視点を
理研が日本の科学界の最高峰のひとつなのだとしたら、日本の科学の現場に、何かが決定的に欠落しつつあると言わざるを得ません。科学者たちが自らの研究開発姿勢を「科学的に再検証」すべき時期に来ているのだと思います。
私たちは、不祥事や事故などの原因を特定の個人の責に帰する傾向があります。しかしそれはトカゲのしっぽ切りでしかありません。構造問題にメスを入れることで、人は成長し、集団の活動は進化していきます。科学的研究の組織の在り方について、科学的なアプローチが必要になっています。
芽を摘むか、芽を伸ばすか
私は、小保方氏の主張に真実の片鱗を感じました。であれば、新しい組織体制とチェック体制のもとで、ご本人に徹底してSTAP現象の解明と論証にあたってもらいたいと願います。その現実的な場所は、日本国よりも米国などの研究機関にあるのかもしれません。
不祥事を起こした人物に日本は過酷です。過ちや失敗は成長の糧となります。それを認め、再挑戦の場を積極的に与える文化が、科学を含む社会全体を前進させるのではないでしょうか。物理学者の寺田虎彦は、「科学は血の川のほとりに咲いた花園」と表現したそうです(朝日、天声人語)。流した血の痛みから学び、大輪の花を咲かせる日が来ることを願います。
(文責:梅本龍夫)
- STAP問題 記者会見 小保方氏 論文撤回を否定「200回作製」証拠示さず
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140409-OYT1T50168.html - 働き手半分 企業「変身」日本2020 人口減社会
- みんな新代表 浅尾氏選出へ
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20140409-OYT1T50162.html?from=ytop_ylist
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
- 「論文撤回正しい行為でない」「STAP細胞作製 コツある」小保方氏 会見2時間半
http://www.asahi.com/articles/DA3S11077139.html - 人民元の台頭 目指すはドル 世界新秩序 米中を追う
http://www.asahi.com/articles/DA3S11077131.html?iref=comtop_pickup_01
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
- 「STAP200回 作製」「研究は自己流」小保方氏反論会見
http://sp.mainichi.jp/shimen/news/m20140410ddm001040191000c.html - 竹富町 単独選択へ 教科書選定 地区協から離脱
http://mainichi.jp/select/news/20140410k0000m040145000c.html - 米中「対話継続を」米国防長官 習主席と会談
http://mainichi.jp/select/news/20140410k0000m030127000c.html
(毎日jp http://mainichi.jp/)
- 北朝鮮「拉致再調査の用意」日本、制裁緩和を検討
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS09041_Z00C14A4MM8000/ - 米産牛肉 関税大幅下げ TPP 政府検討、1ケタ台後半
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS09042_Z00C14A4MM8000/ - 不動産投信 地方へ3割 13年度末 保有物件 最高に
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGD0904Q_Z00C14A4MM8000/
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
- 「STAP細胞はあります」小保方氏「200回作製」論文不備謝罪も撤回否定
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/140410/cpc1404100500002-n1.htm - 対中国機 最多415回 昨年度 スクランブル810回
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140410/plc14041007550006-n1.htm - TPP「まだ距離感」日米閣僚 きょう再会談
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140410/fnc14041007230004-n1.htm
(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/)
- 会見2時間半 疑念残る「STAP200回 作製」「実験ノート 4,5冊」小保方氏、論文撤回否定
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014041002000128.html - 「砂川判決 根拠にならず」集団的自衛権 公明福代表が指摘
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014041002000129.html
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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