2012.07.28 sat

新聞1面トップ 2012年7月28日

新聞1面トップ 2012年7月28日


【リグミの解説】 ロンドンオリンピックの開会式が現地時間の27日夜に開催されました。読売新聞、朝日新聞、毎日新聞が、1面トップでオリンピックの幕開けの様子を伝えています。各紙の着目点の違いも興味深いです。
 

読売は、全種目に女子の参加枠が設けられ、全参加国・地域が女子選手を派遣する初の大会を象徴する選手として、柔道の福見友子選手にスポットライトを当て、ストーリー化しています。
 

朝日は、ロンドンが史上初の3度開催の地となることを紹介した上で、レスリングの吉田沙保里選手を取り上げています。オリンピック直前に4年続いた連勝が58でストップした吉田選手ですが、「旗手をした女子選手は金メダルが取れない」という過去のジンクスを破りたい、という強い決意を紹介し、応援しています。
 

毎日は、ロンドンオリンピックが「サステナビリティー」を運営方針に掲げていることに注目し、大国であることをアピールしたかった中国の北京大会との違いを描写。そして日本のオリンピック参加の初回が1908のロンドンであったこと、しかし次の1948年のロンドン大会では、敗戦国であったために参加を断られた、という歴史を紹介しています。
 

英国は、近代スポーツとフェアプレイの精神を生み出した国。「平和でより良い世界」に貢献するという、近代オリンピック創設者のグーベルタン男爵の夢に思いを馳せたい、と毎日新聞は結んでいます。それは各紙が等しく伝えたい趣旨であり、世界中の多くの人々の「思い」でもあるでしょう。


讀賣新聞

【記事】 柔道・福見きょう登場

  • 27日に開幕した第30回夏季五輪ロンドン大会。今大会からボクシングに女子種目が加わったことで、26種目すべてで女子種目が実施される。
  • さらに、参加した204の国・地域のすべてが女子選手を派遣する初めての大会となり、女子のスポーツ参加の点で画期的なオリンピックとなる。
  • 28日には柔道女子48キロ級に福見友子、男子60キロ級に平岡拓晃が出場する。競泳男子平泳ぎで3大会連続2冠を目指す北島康介が100メートル平泳ぎ予選に出場する。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 ロンドン、聖火輝く

  • 第30回オリンピック競技会は27日、ロンドンで開会式の日を迎えた。26競技302種目で競う17日間のスポーツの祭典が開幕する。
  • ロンドンは1908年と1948年にも開催地になっており、初めて3度目のオリンピックを開催する街となる
  • 日本はハンドボールとバスケットボールを除く24競技に、293選手が出場する。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 成熟の祭典、幕開く

  • オリンピック史上初めて同一都市での3度目の開催となる第30回夏季オリンピック大会は、ロンドンで27日から開幕式を実施。204の国・地域から選手約1万500人が参加する。
  • 28日は柔道、水泳、体操など19競技が行われる。女子ボクシングの開催により、初めて実施全競技に女性参加種目が設けられる。また史上初めて全参加国・地域から女性アスリートが参加する。
  • ロンドンオリンピック組織委員会は、地球環境を守る「サステナビリティー(持続可能性)」を運営方針に掲げ、経済発展などを示す従来型とは違う新しいオリンピックを目指す。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 中国の磁石合弁、暗礁

  • TDKや日立金属などが中国で高性能磁石を合弁生産する計画が暗礁に乗り上げている。日本の法令が8月1日に改正されたためで、、合弁事業に必要な装置の輸出や技術移転が難しくなる。
  • 規制強化の背景には、磁石原料に欠かせないレアアース(希土類)の輸出を制限する中国と、日米欧との間の通商摩擦がある。
  • 対立が長引けば、高性能磁石を使うハイブリッド車やパソコンなどの生産に影響が出る可能性がある。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 SPEEDI非公表、理由示さず

  • 東京電力福島第1原発事故の後、政府は「SPEEDI」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)で放射性物質の
    拡散方向などを予測しながら、当初公表しなかった。
  • この問題で、文部科学省は27日、同省の対応を検証した最終報告を発表した。しかし、誰がなぜ公表しないよう決めたのかなど、肝心の部分は明らかにしなかった。
  • SPEEDIは、昨年3月15日午後から翌未明にかけ、放射性物質が原発から北西方向に拡散するとの予測を計算していたが、南相馬市や浪江町の住民の中には、北西方向の飯館村に避難しようと動いていた。「無用の被曝」をしたとされる浪江町の避難者からは、文科省の姿勢に怒りの声が上がった。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/

【リグミのコメント】 日本は「原因責任」の追求を避ける構造的な問題があります。それはほとんど「日本問題」と言ってもよいかもしれません。ここを曖昧にしつづける限り、同じ問題は形を変えて何度も繰り返し起きます。
(参照記事:「バス事故」「原発事故」「ダルビッシュ敗戦」にみる責任の取り方



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