2012.03.11 sun

「デザインが日本を救う」デザイナー柳宗理氏を偲んで

「デザインが日本を救う」デザイナー柳宗理氏を偲んで



デザイナーの柳宗理が亡くなりました。


デザインに特別な意識のない方でも、
柳宗理が手掛けたデザインは、1度や2度は目にしたり、
場合によっては実際に手にしていることもあるかと思います。
日本を代表するデザインの巨匠です。

代表作はたくさんあります。
手にするものだと、ふっくらとしたやわらかいカタチのカトラリー、
大きな構造物だと、東名高速道路の有機的なフォルムの遮音壁なども
柳宗理デザイン。

柳宗理の父は、民芸運動で知られる柳宗悦。
だれがデザインしたかわからないけれども、
すぐれた機能性を誇る、ほぼ手作りと言える農具や民具に美を見出した人です。
一方、宗理は大量生産されるデザインプロダクトを志向し、
柳親子は日本の工芸や民芸とデザインの接着点とも言えます。
日本のデザインが工芸的な質を讃えると言われることが多いのも、
工芸や民芸とデザインとの明らかな接点があるからかもしれません。

和食のお店でたまに、和食器に金属のスプーンが添えられる時、
海外のデザイナーが手掛けたスプーンだと、
どうもおさまりが良くない(と思う)のですが、
柳宗理デザインの黒柄のスプーン(絵の部分が黒い木製)だと、
食器と当たる部分が木製で相性が良く、
和食器との組み合わせにも、目に違和感を覚えません。

スプーン、
やかん、
いす、
高速道路の遮音壁

柳宗理の名を知らなくても、そのデザインに触れ、
生活の一瞬を豊かにしたり、
走り去る風景を無意識の中に刻み込んでいく・・・。
優れたデザインは、機能以上のもの、
生活にリズムやハーモニーをもたらします。

日本文化には、
一見矛盾する要素を両立させていく「二項同体」の伝統があります。
「合理的なモダニズムと伝統的な和の要素を融合させた『日常の美』を追求」
した柳宗理。

いつでも見られる、
ついつい見落としてしまいそうな日常のモノに対して、
デザインがどう介在するべきかを、
そのモノで教えてくれた偉大なデザイナーでした。

「デザインが日本を救う」:DREAM MILLION:):So-netブログ