【リグミの解説】
IPCC報告案
本日の朝日新聞1面トップは「温暖化で数億人移住必要 食糧難、貧困拡大も」というIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)報告書案の記事です。
・ 世界の海の水位は最大で約80センチ上昇する可能性がある。海面上昇に伴う浸食などによって沿岸の土地が失われ、今世紀末までにアジアを中心に数億人が移住を余儀なくされる
・ 気温上昇に伴い高温障害などが発生して農産物の生産量は、10年単位でみると最大2%減産する。一方で人口増を背景に需要は10年当たり14%増えるため、供給不足や価格高騰を招きやすい。貧困率の高い熱帯の国々では特に深刻な食糧難に陥るおそれがある
・ 水産物については、温暖化で生息域が変わる。今世紀半ばまでは、中高緯度では種の多様性が豊かになるが、熱帯域では貧しくなる。日本周辺では日本海沿岸や南方の太平洋では最大漁獲量が減少し、東北沖の太平洋では増加する。温暖化がハイペースで進むと、今世紀末には世界的な減少が見込まれる
・ 一方で、適応策の重要性を強調。農業では高温に強い品種や栽培技術の開発などに取り組めば、現在の収穫量の15~18%相当の増加をもたらす余地がある
気候変動と人口増大
気候変動は、地球という最も大きなシステム全体を扱うため、変数の扱い方が難しく、予測はひとつの想定に過ぎないのではないでしょうか。地球温暖化は進んでいないと主張する科学者もいますが、逆にIPCCの予測は抑制され過ぎている可能性もあります。
いずれにしても、人類の経済活動が拡大を続け、世界人口が急速に増大しているのは紛れもない事実です。今世紀末には、世界人口は100億人を超えると予測されています。
地球の気候変動に人類が多大は影響を与えていることは間違いありません。目の前の経済問題に集中しなければ生きていけないのが人間ですが、子孫に負荷を押し付けるような経済運営には限界があります。
人口減少社会の入り口
そんな中、日本は人口減少に直面しています。ピーク人口は1億2800万人でした。平均寿命が伸び続けても、約半世紀後の2060年には、8600万人に減ります。これは戦後まもなくの1950年の水準です。これは日本にとって由々しき事態なのでしょうか。多くの識者はそう警告しています。
しかし、地球という全体システムのことを考えると、人口減少問題を上手に軟着陸させることは、日本が世界に示せる最大級の貢献のひとつになるのではないでしょうか。発想を変え、日本人の知恵と創意工夫を結集したら、何が起きるでしょうか。
アメリカのジャーナリスト、アラン・ワイズマン氏は近著『滅亡へのカウントダウン―人口爆発とわれわれの未来』(早川書房)の中で、次のように記しています。
「もしも人間の数が減り、(中略)より小さな社会への移行期中に、年々消費者が減り、非生産的で困窮した過剰な高齢者を支える社会保障費を払い込む労働者が減ったら?(中略)人間は成長なしに繁栄できるだろうか?日本は否応なく、それを試みる最初の近代社会となる」(P81)
地球環境にやさしい社会
日本全体の問題と地球全体の問題は、まさに一蓮托生です。日本だけ良くなろうとすることはできない時代を私たちは生きています。であれば、人口減少(と少子高齢化)という構造問題を抱える日本は、どう生きるべきか。
年頭にあたり、地球環境への負荷を下げつつ快適で便利な社会を創造することは可能だということを証明できる立場にあることを思い出すのは良いことです。目先のことばかりでなく、50年後、100年後を見すえれば、今とは大きく異なる風景が見えてきます。
(文責:梅本龍夫)
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