【リグミの解説】 本日の1面トップ記事の読売新聞の「いじめ問題への文科省の取組み」と朝日新聞の「福島から自主避難した母子アンケート」に共通するひとつのポイントがあります。それは、「舞台から降りることは現実的な選択肢だ」「危険を感じたら逃げていい」ということです。
「絆」や「つながり」は大事です。それは文字通り社会をひとつにするものです。しかし、社会にはいろいろな顔があり、さまざまな側面があります。「ひとりになる」、「集団から分離する」、という選択肢を常に持ち合わせることで、風通しの良い成熟した社会を作れるのだと思います。
讀賣新聞
【記事】 いじめ防止、国が新組織
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
【リグミのコメント】 2010年度の全国の学校が把握したいじめは7万7千件余あったそうです。文科省はこれまで、いじめの全国調査をし、全体的な傾向を把握・分析した上で、生徒指導マニュアル作成などの業務を行ってきましたが、個別のいじめ問題には直接介入していません。しかし今回は大津市長の要請を受け、指導助言の職員3人を派遣しました(読売新聞)。
いじめ現象は、「社会を映す鏡」だと思います。学校が閉ざされた空間になり、生徒たちが学校という「舞台」から降りられない状況になると、逃げ場のない負のエネルギーの矛先が、特定の個人に向かうのではないかと想像します。朝日新聞は朝刊1面で毎日、識者などによる「いじめ」に関する子どもたちへのメッセージを掲載しています。今日は社会学者の土井隆義さんです。なぜ若者が生きづらい世の中なのかを研究している土井さんは、その一因が「絆」や「つながり」が重視され過ぎることにあると言います。親も先生も「人間関係を大切にしなさい」と強調しすぎると、「つながり過剰症候群」になるのではないかと指摘しています。
学校という「舞台」を降りて一人になっても大丈夫です。舞台裏で助けてくれる大人や同世代の仲間たちがかならずいます。
朝日新聞
【記事】 母子避難、重い経済負担
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
【リグミのコメント】 福島の留まることを選択している家庭が多い中で、子どものことを思い、自主避難している母親たちの生の声が今回のアンケートには込められていると思います。取材とアンケート調査をした記者は、「母子避難を選択した母親たちが、夫や家族、友人が残る福島を離れていることに後ろめたさを感じている」と記しています(朝日新聞社会面)。
県外に避難したくてもできない家庭もあるでしょう。出る者も留まる者も、胸中は複雑です。福島は安全安心なところだ、と実態面と心理面の両方で確信できるようになるのは、いつのことなのでしょうか。長期の低線量被爆による健康被害を心配する必要はない、という専門家の声を多く聞きます。しかし「そういう専門家は自ら子どもを連れて福島に移住してほしい」と思う母親たちの内なる声にも耳を傾ける必要があります。
毎日新聞
【記事】 シリア、化学兵器準備か
(毎日jp http://mainichi.jp/)
【リグミから一言】 シリアは「サリン」「VXガス」などを製造を1973年から続けているとみられます(毎日新聞)。悲惨なオウム事件を体験した日本人として、遠いシリアの内戦で「サリン」が撒かれる可能性もあるかもしれないと知り、世界で起きていることが決して他人事ではない、という実感をもちました。アサド政権の自重を強く求めます。
日経新聞
【記事】 市場に育つ成長の芽 ~金融ニッポン
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 駿河湾海底、ひずみ蓄積
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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