【リグミの解説】
「特定秘密」の報道
特定秘密保護法と国民の知る権利はどうバランスするのか。石破茂・自民党幹事長が再び、議論を呼ぶ発言をしました。朝日新聞と東京新聞が1面で報道しています。
石破氏は、「特定秘密」を報道機関が報道し、安全保障に影響が生じた場合には、記者が処罰される可能性があるとの認識を示しました。その後、「報道した当事者はまったく処罰の対象にならない」と訂正しました。
しかし、「報道によって国家の平和や安全、人々の生命や身体に影響が及ぶことは好ましくない。そういうことが起こってほしくない」と重ねて言いました。ここに石破氏の基本認識があると思います。先の「絶叫デモはテロ」の発言に重なるものがあります。
フランスの事例
東京新聞は「特定秘密保護法」の影響を考える上で、フランスの事例を1面に報道しています。ジャーナリストのギヨーム・ダスキエ氏は、2001年9月11日の米中枢同時テロの発生前にフランスの情報機関がアルカイダのハイジャック戦略を掴んでいたことを示す文書を入手し、報道しました。2007年4月のことでした。
ダスキエ氏は警察に拘束され、「情報源を言うか、留置所行きか」と迫られました。フランスの刑法では公務員などの機密漏洩に対し、7年以下の禁固または10万ユーロ以下の罰金と定めています。しかしダスキエ氏への捜査に対し、世論の強い批判が起き、政府は2010年に取材源を探る捜査を原則禁止しました。
フランス警察は捜査段階の文書でダスキエ氏を「テロリスト」と位置づけたそうです。「情報源か留置所か」と迫られたとき、ダスキエ氏は「民主主義の国フランスで、民主主義が骨抜きにされていくのを間近で見ている気がした」と語っています。
メディアの生命線
新聞を中心とするメディアは、正確な事実報道と、隠された真実を掘り起こすスクープに基本的価値があります。ということは、有力な取材源をもつことが生命線になります。どれほど政府を支持するメディアであっても、政府広報を繰り返すことになれば、メディアとしての価値を失います。
ダスキエ氏は「政党や政治家のために記者は存在するのではない。批判勢力であるべきで、政府の広報になってはならない」と主張しています。ダスキエ氏はおそらく政府と異なる主義主張をもつジャーナリストなのだと思います。しかし政府を支持する立場でも、この姿勢は必要だと思います。
民主主義を機能させる役割
企業でいえば、経営陣に対して社会取締役や監査役などは、基本的に企業を支持する立場ではありますが、経営陣が逸脱した行為をしないように客観的な監視をする義務を負っています。この役割が骨抜きにならないようにするため、社外取締役や監査役は、経営陣と過度に仲良くなることを避けなければなりません。そしていざというときに経営陣の行為の是非を問う権限を確保する必要があります。
新聞もまた同じです。政府寄りか政府に批判的かにかかわらず、新聞は独自の地位を保ち、客観的に政治を監視し、政府や行政の是非を問い、広く国民と共有する義務があります。メディアのこの権利と義務を行使するためには、取材源の確保は生命線です。「知る権利」は、民主主義の生命線です。そして、民主主義が健全に機能することは、どのような立場の政治家にとっても、長い目で見て一番価値あることではないでしょうか。
(文責:梅本龍夫)
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http://www.asahi.com/articles/TKY201312110401.html - 「なし崩し」現実に起きた どうする秘密法
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