【リグミの解説】
原発政策の転換
政府がエネルギー基本計画の素案をまとめました。民主党政権の「原発ゼロ」路線を転換し、引き続き「重要なベース電源」と位置づけています。福島第一原発事故前の「基幹電源」からは役割を後退し、原発への依存度は下げますが、長期的に一定割合を確保すると明記しました。昨日と今日、毎日新聞、日経新聞、東京新聞が社説を掲げています。
<毎日新聞> 新エネルギー計画 原発回帰は許されない
・ 安倍政権は、福島の悲劇をなかったことにするつもりなのか。
・ 原発の安全神話は崩れた。経済性にも疑問符がつく。核のゴミの処分問題も解決の糸口さえ見えない。原発依存からは脱却すべきである。この政策転換は容認できない。
・ 高度の安全性確認に基づく再稼働は認めながら、40年原則を堅持し新増設を認めないことで、できるだけ速やかに脱原発を目指すことが望ましい。
<日経新聞> 「原発ゼロ」転換の現実路線に残る課題
・ 一定数の原発を稼働させて電力不安を拭い、エネルギー安全保障や温暖化防止にも目配りした素案は、現実的といえる。
・ 電力に占める原発の比率は「先行きが見通せる段階で示す」とした。いわば「調整期間」を置くことになり、これも妥当だろう。
・ 課題も多い。いまある50基をどう選別するか。廃炉の積立金は十分か、地元への交付金制度をどうするか、廃棄物をどこに処分するか。国と電力会社が役割を明確にし、廃炉の道筋を示すべきだ。
<東京新聞> エネルギー政策 反省ゼロの基本計画
・ 福島原発事故の反省は一体どこへ行ったのか。3年足らずで、もう忘れてしまったのか。忘れた時に、人は過ちを繰り返すのではないか。
・ 「ベース電源」とは、基本になる最も重要な電源の意味であるが、原発は安定的とも低コストとも言い難い。そこにごまかしがあったのは、私たちの大きな反省点である。
・ 使用済み核燃料の処分方法は、棚上げにしたままだ。核燃料サイクルの実用化は可能かどうかわからない。再処理して取り出した危険なプルトニウムが蓄積されていくだけだ。代替エネルギーの開発は世界に後れを取りかねない。
現実主義は土俵となるか
原発問題は、イデオロギーの対決になりがちです。「べき論」のぶつかり合いになり、折り合いがつかなくなります。その間をとりもつ役割を果たせる機関が必要です。
経済への影響という現実を判断する日経新聞は、保守系の立ち位置ながら、エネルギー基本計画の課題指摘をしたことは評価できます。系列誌の日経ビジネスは、2012年12月2日号で「東電解体」という特集記事を掲載。「小泉発言の受け止め方」として「減原発」主張に踏み込んでいます。ここが二分する国論に折り合いをつける土俵になる可能性はあります。
今回のエネルギー基本計画は、そうした土俵になりえるのでしょうか。
国民はエネルギー政策の当事者
毎日新聞は、「素案をまとめた審議会の委員は原発推進・維持派が大多数を占めた。「原発維持」の結論ありきだったとさえ思える」と批判しています。
東京新聞も、「自民党は昨年末とこの夏の国政選挙に大勝した。しかし、エネルギー計画を明確な争点にはしていない。世論調査を見れば、それこそ民意のありかは明らかである。ゼロから推進へ、これほどの大転換を図るなら、国民の声をもっとよく聴いてからにするべきだ」と主張しています。
特定秘密保護法の一方的な採決をみた今、原発で再び同じアプローチを取りそうな政権に危うさを感じます。国民は、国のエネルギー政策の当事者です。国家百年の計につながっていく政策判断については、国民との対話を尽くし、最後は「国民投票」で信を問うぐらいの覚悟をもち、誠心誠意対応するのが政治の責務です。
(文責:梅本龍夫)
- TPP越年1月再会合 閣僚会合閉幕 新期限も未定
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131210-OYT1T01451.htm?from=ylist - 軽減税率の導入明記 与党、時期は示さず
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131211-OYT1T00130.htm - 「軽」増税 新車に限定 15年4月以降 取得税は引き下げ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131211-OYT1T00176.htm
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
- 中間貯蔵地買収へ1000億円 福島3町に 政府方針
http://www.asahi.com/articles/TKY201312100589.html - いじめ把握 最多19.8万件 前年調査の2.8倍
http://www.asahi.com/articles/TKY201312100211.html - 軽減税率「10%時に」来年中に制度設計
http://www.asahi.com/articles/TKY201312100568.html
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
- 難航分野 高い壁 TPP越年
http://sp.mainichi.jp/shimen/news/m20131211ddm001020185000c.html - 諮問会議 来月発足へ人選 秘密保護法
http://mainichi.jp/select/news/20131211k0000m010154000c.html - いじめ20万件に迫る 前年の3倍、過去最多
http://mainichi.jp/select/news/20131211k0000m040073000c.html
(毎日jp http://mainichi.jp/)
- 軽自動車税 新車を増税 15年4月から1万800円に
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1003T_Q3A211C1MM8000/?dg=1 - 効果大きく負担も軽減 既成よりオーダー がん医療の今
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO63905000R11C13A2MM8000/ - 来月に閣僚会合 TPP「合意へ集中作業」
http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS1004F_Q3A211C1MM8000/
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
- TPP 年内妥結断念 合意言及なし、来月再協議
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131211/plc13121108300005-n1.htm - 中国の弱点研究 不可欠 新帝国時代 第7部 際限なき挑発(5)
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/131211/wor13121109320005-n1.html - いじめ認知19万8000件 前年度の2.8倍 被災3県で急増
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131210/edc13121021190002-n1.htm
(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/)
- TPP年内妥結断念 米ごり押し袋小路
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013121102000118.html - 都知事辞任要求広がる 議会閉会後も追求へ
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013121102000120.html - いじめ最悪19万8000件 認知2.8倍に
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013121102000119.html
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ