【リグミの解説】
特定秘密保護法案に反対する学者の会
11月12日の「リグミの解説」で、特定秘密保護法案に反対する声が専門家の間で多いことを紹介しました。全国の憲法・メディア法学者142人と刑事法学者129人が法案に反対、歴史学研究会は、10月30日に「特定秘密保護法案に対する歴史学関係者の緊急声明」を出しました。国内外のジャーナリストの多くからも反対の声が上がっています。
そんな中、本日の東京新聞1面トップで「特定秘密保護法案に反対する学者の会」を結成したと報じています。メンバーには、ノーベル賞を受賞した益川俊英氏(物理学賞)と白川秀樹氏(化学賞)も含まれています。学者の会の呼び掛け人のひとり、佐藤学・学習院大教授(教育学)は、「戦後の憲法の問題、基本的人権と平和主義の問題として、これ以上の危機はなかった」と語っています。
インターネットを通して、300人以上の学者が賛同の意志を示しているそうです。「政治的な問題で、幅広い分野の学者が団体をつくり、反対の態度を表明するのは異例」と東京新聞は伝えています。確かに日本で政治が専門でない学者たちが学問分野や主義主張の違いを超えて、特定の法案に反対する運動はたいへん珍しいのではないでしょうか。
宗教界の率直な声と沈黙する経済界
政教分離の原則から、戦後の宗教界は政治的発言は控えてきました。そんな中、真宗大谷派(東本願寺)が「『特定秘密保護法案』の廃案に関する要望書」を安倍首相に提出しました。
「私たち真宗大谷派は、かつて戦争に協力した罪責を深く懺悔するとともに、仏教の教えに立ち、戦争を許さない、豊かで平和な国際社会の建設に向けて歩むことを誓いとしております。その教団を代表するものとして、「特定秘密保護法案」に対して深い懸念を表明いたします。」
過去の戦争協力に懺悔する一文から始まるこの要望書は、宗教法人として勇気ある発言であると思います。
このように、法曹界、学界、ジャーナリスト、宗教界が特定秘密保護法に強い懸念を表明する中、経済界は沈黙を守っています。何が得か損かに敏感な経済人は、安倍政権が大企業中心の景気回復路線を推進している今、あえて政権運営に異を唱えることはしたくないのが本音ではないかと思います。しかし、ほんものの経営は、遠くを見すえる視点をかならず保持しています。今がよければそれでいいのか。経済界もよく考える必要があります。
自分の言葉を語った堤清二氏
稀代の経営者にして文学者であった堤清二氏が亡くなりました。堤氏はある時、財界の大物に誘われ、用件も知らぬまま新聞社の幹部に会いに行きました。その新聞は、米国による北ベトナム空爆を批判する社説を載せていました。財界人らは偏向報道だと非難し、圧力をかけました。「このままでは、広告出稿ができなくなる」。
堤さんは、用件も聞かずに同行した軽率さを悔やみつつ言いました。「僕はあの社説は偏向しているとは思いません。北爆を続けてもアメリカは国際的に孤立するだけで、勝つことはできないと思います」(以上、東京新聞「筆洗」より引用)。損得で考える経営者の立場と、創作の基礎に善悪や美醜の感度を置く文学者の立場が、堤さんの中では矛盾なく同居できたのでしょうか。余人にはわかりませんが、自分の言葉で語れる人であったことは伝わってくるエピソードです。
(文責:梅本龍夫)
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