2013.11.28 thu

新聞1面トップ 2013年11月28日【解説】クルマの未来

新聞1面トップ 2013年11月28日【解説】クルマの未来


【リグミの解説】

電気自動車と燃料電池車
本日の朝日新聞経済面で電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の比較をしています。FCV (Fuel Cell Vehicle)は、燃料の水素を空気中の酸素と反応させて発電し、電動機を駆動します。電気自動車と同様、走行時にCO2やCO、NOx、SOなどの有害物質を排出しません。
 
記事の比較表を見ると、EVは先行販売され世界に広がりつつあること(2012年で世界販売約9万台)と、値段が相対的に安いこと(EVは約300万円~約380万円、FCVは約500万円~約1000万円)がメリット。これに対しFCVは航続距離の長さ(EV約200キロ、FCVは約500キロ)と、充電・充填時間の短さ(EVは急速充電で約30分、FCVは約3分)でEVを上回っています。
 
カギを握るのはインフラ整備
現状のガソリンや軽油などの化石燃料を燃やすエンジン車の燃費改善と、排ガスのクリーン化は、なお続いています。トヨタが先鞭をつけたハイブリッド(HV)は、特にストップ&ゴーを繰り返す市街地の燃費で圧倒的に有利です。将来の自動車の基幹となる動力源は、EVかFCVに移行するというのが大方の見方です。
 
ただEVは、発電所が電気を作る段階での有害物質の排出やエネルギー効率の問題があります。FCVも水素を製造し流通させる段階で同様の問題を抱えています。全体としては、EVとFCVは一長一短です。いずれが主力となるかは、結局は技術開発のスピードと、「電気スタンド」「水素スタンド」というインフラの普及にかかっています。
 
FCVに力を入れているトヨタとホンダは、2015年から市販開始をめざしています。トヨタは、米ゼネラル・モータースとの共同開発を急いでいます。記事では、日産や独ダイムラーベンツ、独フォルクスワーゲンなどはFCVに慎重と伝えています。自社が集中開発している次世代技術が果たして主流となれるのか。各社は、インフラ整備や税制優遇などでの国の支援も視野に、EVとFCVの覇権争いをしています。
 
資本主義と民主主義の申し子
クルマは、値段や燃費、排ガスなどの論理的比較だけで売れるわけではありません。クルマは、感性で消費する最も大きな耐久消費財です。乗って楽しく、日常的に便利で、持つ満足と使う喜びがどれだけあるか。世界一の販売台数を誇るトヨタは、運転の楽しさを訴えるマーケティングを展開しています。若者のクルマ離れに危機感を抱き、「免許を取ろう」というテレビコマーシャルも流しています。
 
クルマは資本主義の申し子です。これほどの高額商品が数年ごとにモデルチェンジし、あらゆる市場の隙間を埋めるようなモデルが次々と生まれるのは驚異です。新興国の経済発展の一番わかりやすい指標は自動車の普及率です。クルマはまた、民主主義の申し子でもあります。道が続く限り、どこまでも移動ができるクルマは、個人の「自由」を象徴する道具です。誰もがクルマを持てるわけではありませんが、がんばれば手に入るという意味では「平等」です。
 
都市ではクルマを使わないライフスタイルという選択も可能ですが、地方では今やクルマなしの生活は困難になりつつあります。自動運転技術の開発も、各社がしのぎを削っています。未来は、運転の喜びや自由の享受よりも、交通の安全と便利を優先していくかもしれません。クルマの未来は、私たち一人ひとりの生き方や社会の在り方にも、大きな影響を与えるテーマです。
 

(文責:梅本龍夫)



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    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131127-OYT1T01512.htm
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(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



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    http://www.asahi.com/articles/TKY201311270301.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



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    http://mainichi.jp/select/news/m20131128k0000m010156000c.html
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(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. LNG船 特需2兆円 海運3社90隻 シェール対応
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    http://www.nikkei.com/article/DGKDZO63252060Y3A121C1MM8000/
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    http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2703Z_X21C13A1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



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(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013112802000143.html
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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013112802000144.html
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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013112802000142.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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