2012.07.18 wed

新聞1面トップ 2012年7月18日

新聞1面トップ 2012年7月18日


【リグミのコメント】 朝日新聞と毎日新聞は1面トップで、原発施設直下の断層問題について報じています。原子力安全・保安委の専門家会合で、関西電力大飯原発の断層調査の必要性も指摘されたことは前進です。

再調査の結果、活断層と断定されれば電力会社にとっては大問題であり、特に志賀原発は廃炉となるため、これからも情報開示への対応を怠るなど、抵抗が続くと予想されます。しかし、隠ぺいすることは、結局は問題の先送りであり、様々な深刻な事態を生み、損失を増やすことになります。

時代は「隠ぺい」から「開示」に変わりつつあります。電力会社は、隠ぺい体質という旧弊を脱して、情報開示を進めることで、結局はより良い経営基盤を築くことが可能となります。あらゆる組織が、新しい体質づくりに取り組むべき時代に突入していることを自覚すべきでしょう。


讀賣新聞

【記事】 離党続出、揺らぐ民主

  • 民主党参院議員の谷岡郁子氏ら3人が17日、原発の再稼働などに反発し、輿石幹事長の離党届を提出した。これとは別に、衆院議員1人も離党意向を示した。
  • 社会保障・税一体改革関連法案の参院特別委員会での審議入りを目前に、野田政権の足元が再び揺らいだ。
  • 離党理由は、消費増税への反発以外にも広がっており、「小沢新党」発足を契機とした政権基盤の「液状化」に歯止めがかからない状況であり、輿石幹事長は記者会見で、「民主党が崩壊する」と危機感を表明した。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/

【リグミから一言】 原発再稼働に抗議した民主党の離党は、6月18日の平智之衆院議員に続くものです。小沢氏らの離党は、消費増税がマニフェスト違反だとする立場でしたが、再稼働問題を理由とした離党として注目されます。「原発ゼロ社会の実現」を当面の3つの課題の1つに掲げる谷岡郁子氏は、「当事者意識に目覚めた国民の皆さんと新しい日本を作っていかないといけない」と語っています(読売新聞4面)。「当事者」になることは、覚悟を問います。国民の声を聴いて離党する政治家も、政権与党に留まる政治家も、新しい時代の風を真正面から受け止める必要があります。


朝日新聞

【記事】 大飯・志賀、断層再調査へ

  • 関西電力大飯原発の敷地内を走る断層が活断層である可能性が指摘されている問題について、経産省原子力安全・保安院は17日、専門家会合を開き、断層の再調査を関電に指示する方針を固めた。
  • 定期検査で停止中の北陸電力志賀原発1号機も、原子炉建屋の断層が活断層である可能性が高く、保安院は北陸電力に再調査を支持する方針だ。
  • 志賀原発の問題の断層は、原子炉建屋の直下にあり、活断層と判定されれば、国の基準で廃炉になる公算が高い。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 志賀原発の活断層濃厚

  • 経産省原子力安全・保安院は17日、北陸電力志賀原発1号機の直下の断層について専門家会合を開いた。専門家からは、12万~13万年前以降に動いた活断層の可能性が濃厚との指摘が相次いだ。
  • 関西電力大飯原発の敷地内を走る軟弱な断層である「破砕帯」についても、現地調査を求める声が続出した。
  • 再調査は避けられない状況になっている。保安院は「意見は重い」としており、両原発の追加調査を月内にも決める方針だ。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 海外不動産の取得解禁

  • 政府は、不動産投資信託(REIT)による海外不動産の取得を実質解禁する方針だ。
  • 停滞する日本の不動産投信市場をテコ入れし、アジアの新興国などに積極的に投資する日本企業の資金調達を支援しやすくする。
  • 日本の金融市場の再活性化と、日本企業の海外ビジネス拡大の好循環をつくりたい考えだ。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 聴取会、その場しのぎ対策

  • 将来の原発比率をどれぐらいにするか、政府が国民の声を広く聴く会で、政府は17日、電力会社関係者には意見表明させないと発表した。これまでの聴取会で、電力会社の役員や社員が発言していた問題に対応したもの。
  • 具体的な対応策は、①発言者から電力会社や関連会社の社員は除外、②発言者は9人から12人に増やし、0%案の発言者などに配分、③2030年時点の原発比率について、0%、15%、20~25%以外の比率についても発言可能―という3点。
  • しかし聴取会の問題は、原発問題の当事者である電力会社関係者の発言や、発言者の人数やバランスだけではない。一方的意見表明だけであり、「国民的議論」を深めるという趣旨に沿った運営になっていない。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/

【リグミから一言】 本来、電力会社の社員でも、通産省で原発政策を推進してきた担当者でも、自由に意見表明していいと思います。それが民主主義の基本であり、熟議の前提ですから。しかし、始まったばかりの聴取会でこのように電力会社関係者の意見表明が続くと、会の運営と趣旨に疑問符がつきます。

テレビ報道を見ていて、特に驚いたのが、東北電力の執行役員の発言でした。
「会社の考え方をまとめてお話ししたい」というものでしたが、利害関係者が組織を代表して発言することに強い違和感をもちました。個人としてどう考えるのか、ひとりの生活者として、日本の未来はどうあってほしいのか、自分の内側にある切実で実感のこもった思いから発言するのであれば、同じ内容でも聞く耳を持てます。


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