【リグミの解説】
リーダーシップは難しい
リーダーシップの難しさを感じさせる記事が東京新聞1面トップに載っています。福島第1原発の汚染水をかぶり6人が被曝しました。誤って配管をはずし7トンの汚染水が漏出した過程で起きたことです。同記事は、「国からの命令」が重圧になり、現場が疲弊し士気が低下している可能性を指摘しています。
理由は、2週間に5回出た単純ミスが、「安倍首相が『しっかり期限を決めて汚染水を浄化すること』などの指示を出して以降に集中している」ためです。それ以前は、単純ミスはわずかだそうです。東京新聞は、慎重を期して「偶然かもしれないが」と付記していますが、「国の命令だからとにかく急げ」との指示が現場で飛んでいることから、何らかの因果関係があるという印象は否めません。
原発事故の責任は誰にあるのか
政府・自民党は、政権復帰後も原発事故の責任と処理を東京電力に押し付けてきました。2020年東京五輪招致にマイナスになるとわかり、ようやく重い腰をあげた格好です。このあたりは、脱原発デモが盛り上がり、国民的議論に動き出した昨年の民主党政権の動きとどこか重なります。
原発は、あまりに複雑困難で重いテーマであるため、指導力を発揮する立場にある政治家が、おしなべて責任を回避しています。現政権の責任は重大ですが、原発を推進してきた歴代の自民党政権の執行部経験者は、福島第1の姿を「我が事」として受け止めているのでしょうか。それとも「他人事」のように見ているのでしょうか。
「上意下達」で終わっていないか
10月8日の「リグミの解説」で小泉元首相の「原発ゼロ」発言をめぐり、リーダーシップは2つの側面があると述べました。第1が「ビジョン」を示すこと。第2に、その「ビジョン」に人々が従える環境を用意すること、というものです(参照:「
2つのリーダーシップ」)。今回の安倍首相の汚染水処理についての指示も、第2の現場環境まで理解したものではなかったのかもしれません。首相の指示をしっかりフォローする体制が政府内にあるのか、心配です。
「上意下達」という言葉がありますが、「下意上達」という言い方は聞いたことがありません。上意下達は、組織の上位にいる者が、下位のものにトップの意向を伝えるというものです。言ってみれば、一方通行の伝令であり命令です。ここにはリーダーシップはありません。上位の者は、ただ業務上の役割と権限に従って動いているだけで、リーダーの役割を担っていないからです。
「下意上達」があることで課題が解決していく
昨日(10月9日)の「リグミの解説」では、みずほ銀行の不祥事などに関連し、「リーダーよりフォロワーが大事」と指摘しました。部下は得てして、上司の意向をおしはかり、行動しがちです。「物分かりの良さ」を上司が評価しがちだからです(参照:「
『物分かりの良さ』を捨てる」。
しかし、真のリーダーは、現場環境を理解した上でビジョンの実行を迫ります。そして真のフォロワーは、ビジョンの価値を理解・納得した上で、ビジョンを実現するために必要な手立てをリーダーに率直に提起し、また自主的に準備していきます。リーダーが上司で、フォロワーが部下ならば、「上意下達」と「下意上達」は、常にワンセットであり、同時並行でなされるもの。政府も東電も、まずは「下意上達」に目覚める必要があります。
(文責:梅本龍夫)
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