2013.10.03 thu

新聞1面トップ 2013年10月3日【解説】消費税と原発をつなぐもの

新聞1面トップ 2013年10月3日【解説】消費税と原発をつなぐもの


【リグミの解説】

消費増税と政権基盤
歴代政権にとって、消費増税は鬼門でした。5%の消費税を8%に引き上げるまで17年を要することになったのも、消費増税を決めると政権の基盤が揺らぐことを恐れてのことと言われます。安倍首相が来年4月の8%増税を決定しました。毎日新聞は、この決定を受けて、緊急世論調査をしました。今回の判断は、安倍政権にどのような影響を与えるのでしょうか。
 
「来年4月消費税8%への引き上げに」賛成46%、反対45%と拮抗しています。男性では、賛成55%、反対41%と過半が賛成であるのに対し、女性は賛成40%、反対49%という結果です。これを内閣支持・不支持で見ると、支持層は賛成67%、反対28%と賛成が3分の2に上りますが、不支持層では反対75%に達しています。
 
安倍内閣の支持率そのものは、57%と8月調査から3ポイント下がりましたが、大きな影響はないようです(不支持率は26%、3ポイント上昇)。ただ、2015年10月の消費税10%への再引き上げについては、内閣支持層でも賛成39%、反対53%と反対が過半を占めます。不支持層では反対が86%に達します。
 
誰が増税の恩恵を受けるのか
増税の恩恵を直接的に受ける人以外は、心から賛成とはなりにくいものです。8%までは仕方ないが10%はいやだな、という庶民の声が聞こえてくる調査結果です。では、増税の恩恵を直接的に受ける人とは誰なのでしょうか。勉強不足と言われればそれまでですが、増税法が決まったとき議論された「社会保障」とは何を意味したのか、そしてその後の民主、自民、公明による「社会保障制度改革国民会議」で何が決まったのか。最近の新聞を読んでも、よくわかりません。
 
消費増税の最終到達点はどこか
財政健全化のために、消費税はどこまで上げる必要があるのでしょうか。このままでは8%も10%も通過点に過ぎません。20%ぐらいまで行かないと財政収支がバランスしないという試算もあります。財務省の資料を見ると、消費税(付加価値税)5%は日本とカナダ。オーストラリア、韓国10%、ニュージーランド15%、中国17%、ドイツ19%、フランス19.6%、英国20%、イタリア21%、デンマーク25%、スウェーデン25%―と上がっていきます(引用:財務省)。
 
 
消費税と原発
消費税(税制全般)と原発問題は、構造的に似ているところがあります。先が見えない中で、さまざまな思惑が交錯し、小手先の対策を小出しにするうちに、状況は一層悪化する。政治が対処困難な問題を前にして、大きな地図を描けず、地図が仮にあったとしても、具体的な旅程表を作れずにいます。
 
民主党は政権与党であった昨年、「2030年代に原発稼働ゼロをめざし、あらゆる政策資源を投入する」という政策を掲げました。一方、安倍政権・自民党は、「達成できる根拠を示さずに原発ゼロというのは無責任」と批判しています。では自民党は原発についていかなる政策を掲げるのか。これが消費税の未来同様に見えてきません。
 
現場に行き洞察を得る
そんな中、自民党の重鎮でいまだに人気の高い小泉元首相が「原発ゼロ」発言を公にし、注目されています。「核のごみの最終処分のあてもなく、原発を進めるのは無責任」と、安倍政権と真反対の主張をしています。「日本人はピンチをチャンスに変える特性がある。原発をゼロにして再生可能エネルギーによる循環型社会をつくるという夢に向かって結束できる」。
 
小泉氏は直感型の政治家で、大胆な戦略を構想したり、緻密に政策を積み上げるのは得意ではないように見えました。しかし、ビジョンを打ち出し、大衆の心をつかむのは上手でした。ワンフレーズ政治という悪しきトレンドを作ってしまいましたが、「原発ゼロ」議論については、ワンフレーズ以上のものがあるように感じます。
 
小泉氏は、ノルウェーのオンカロ(高レベル放射性廃棄物の最終処分場)を視察して、核のごみ処理の難しさを実感したそうです。安倍政権の閣僚は、小泉氏の言葉にどう応えるのでしょうか。消費税についても、25%に達しているノルウェーと他の北欧諸国(デンマーク、スウェーデン)を訪問し、財政と経済と社会保障の関係について、深い洞察を得ると良いと思います。

(文責:梅本龍夫)



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(毎日jp http://mainichi.jp/
 



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    http://www.nikkei.com/article/DGKDASDD020RG_S3A001C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



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(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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