2013.08.20 tue

新聞1面トップ 2013年8月20日【解説】社会の主人公

新聞1面トップ 2013年8月20日【解説】社会の主人公


【リグミの解説】

「for the best」
今日は読売のコラム「編集手帳」に、音楽評論家の安倍寧さんがあるとき、雪村いづみさんに聞いたことが掲載されています。少女の頃に父親をなくし、山坂がいくつもある人生を体験してきたのに、どうしていつも明るく元気なのか。いづみさんは答えました。
 
「寧さん、あたし、いつもこう思っているの。Everything happens for the bestってね」。コラムは「すべての出来事は一番いいことのために起こる」と訳しています。
 
この瞬間に起きていることは、最善とは言い難いかもしれない。それどころかたいへん困ったこと、悪いことが起きているかもしれない。それでも、すべての出来事は一番良いことのために起きていると言い切れるか。人生訓として、深いものがあります。
 
ネガティブ情報が溢れる新聞
新聞を毎日複数読み比べ、解説文を書いていると、どうしてもネガティブなこと、悪いことに目が行きがちです。そもそもジャーナリズムは真実を公にする使命があり、真実はしばしばネガティブなことだからです。しかし、ネガティブなことを明らかにする目的は、ポジティブな状況を作るためですから、これは「for the best」のひとつのステップともいえます。
 
ただ、世の中には悪いニュースの種が溢れており、こうしたものに触れるのが習い性になると、ネガティブなことこそリアルだと感じるようになります。人間関係でも、いつもいがみあっているカップルなどがいて、そんなに仲が悪いなら別れればいいのに、と周囲は思ったりします。しかし案外別れずずっといがみ合いの関係を続けます。これを心理学では、「否定的融合」と呼びます。
 
「否定的融合」
「否定的融合」は、お互いにネガティブなことを言い合い、喧嘩などを続けることに中毒になっている状態ともいえます。これがないと生きている感じがしないので、リアルな実感を求めて、つい悪口を言ったり、つっかかったりするのです。
 
マスコミと権力者、あるいは新聞と読者が「否定的融合」のように、互いにネガティブな情報を優先し、それこそリアルと感じ、良いニュースやポジティブな報道を信じなくなるという傾向もあるかもしれません。「悪いこと」から目を逸らさず、同時「良いこと」を忘れないためには、どうしたらいいのでしょうか。
 
物語の主人公は「for the best」を目指す
「Everything happens for the best」という言葉を思い出すことは、とても良いことだと思います。人生も社会も、物語のように進んでいます。山あり谷あり、そして事件やつらいことが起きて、場面が急展開することもあります。
 
そのとき、自分は物語のどんな立場なのかを思い出す必要があります。自分は、自分の物語の「主人公」です。起きていることは、主人公である自分にとって、「for the best」です。そして、主人公は、「for the best」を目指して主体的に動く人です。何しろ主人公がいなければ、物語は成り立たないのですから。
 
自分にとっての「for the best」を自覚すること。それは、社会全体にとっての、「for the best」を見つけていく一番基本となるステップです。「自分の物語」を最良のものとする心掛けは、「他者の物語」を認めることにもつながります。それは、めぐりめぐって、社会全体の物語を「for the best」にしていく大切なステップになります。私たちは、社会の主人公です。

(文責:梅本龍夫)



  1. 【政府広報】 「2割負担、来年度にも 社保改革法案骨子 あす閣議決定 70~74歳医療費」
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130819-OYT1T01110.htm
  2. 【連続企画】 「サンバの街、歓迎と困惑 ~NIPPON甦れ 吸収3.」
  3. 【政府広報】 「北方領、次官級で協議再開 日露 首脳会談、来月5日で合意」
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130819-OYT1T01068.htm

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 【独自取材】 「原発被災者、国を提訴へ 支援法1年『具体策取らず』」
    http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201308190723.html
  2. 【企業広報】 「全日空、客室乗務員を正社員採用 来年度から 人材確保狙い転換」
    http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201308190719.html
  3. 【連続企画】 「気象庁長官も海外へ『脱出』 フィリピン ~アジア成長の限界 人口増加国のわな(下)」
    http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201308190712.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 【独自取材】 「被災支援法、放置は違法 福島住民ら提訴へ 方針策定求め」
    http://mainichi.jp/select/news/m20130820k0000m040129000c.html
  2. 【独自取材】 「大飯原発 南側破砕帯『活断層でない』 規制委 来月にも結論」
    http://mainichi.jp/select/news/20130820k0000m040055000c.html
  3. 【独自取材】 「エジプト・シナイ 襲撃、治安部隊25人死亡 武装勢力 トラック止め射殺」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130819-00000066-mai-int

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 【企業広報】 「日本製紙が電力小売り 火力新設 新電力2位に 割安で提供、価格競争に」
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASDD190PC_Z10C13A8MM8000/
  2. 【連続企画】 「強い権限、批判の的に 教授会の『壁』破るには ~大学は変われるか―『決める組織』へ」
    http://www.nikkei.com/article/DGKDZO58696820Q3A820C1MM8000/
  3. 【企業広報】 「ビッグデータ分析、参入 電子マネー ソニー、6億枚活用」
    http://www.nikkei.com/article/DGKDZO58696730Q3A820C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 【独自取材】 「福島第一タンク周辺 100ミリシーベルト超、汚染水漏れ 線量高く調査難航 規制委『レベル1』」
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013082002000109.html
  2. 【行政広報】 「道路案内を英語に ローマ字表記、外国人に通じない きょうから順次 Kokkai⇒The National Diet」
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013082002000108.html
  3. 【企業広報】 「全日空 客室乗務員を正社員化 20年ぶり 1600人『契約』を廃止」
    http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013081901001928.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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