【リグミの解説-①】 毎日新聞と東京新聞が、故金正日総書記の原爆生産指示をスクープしています。両紙がそれぞれ入手したとする資料は、朝鮮労働党の内部文書。「金総書記死後の今年2月に作成した19ページ。国際情勢などが詳細に解説されており、党の中堅幹部教育用とみられる」(毎日新聞)「10数ページに上る文書は党中央委員会が2月、中堅クラス以上の党幹部を配布対象として作成、内政と外交の方針を列挙している」(東京新聞)とありますので、同一の資料と思われます。
北朝鮮は、今年4月13日に敢行したミサイル発射実験に失敗しましたが、その目的は「高度静止気象衛星データ受信機」の打ち上げにあると主張していました。しかし周辺国や国連安保理は、これは弾道ミサイルであり、開発・発射の停止すべきと要求しているものでした。今回のスクープ記事にはミサイルのことは触れられていませんが、北朝鮮が核弾頭ミサイルの開発を進めていると見るのが一層現実的になったと思われます。今後の展開に注目です。
【リグミの解説-②】 大飯原発が7月1日に再稼働されました。朝日新聞はトップ記事として扱い、読売、毎日、日経、東京の各紙も1面で大きく報道しています。その報道姿勢が2つに分かれていることが、写真とサブ見出しに象徴的に表れています。
原発再稼働を評価する姿勢
読売新聞
写真 「中央制御室の様子」を写す代表撮影
サブ見出し 『原発ゼロ、57日ぶり解消』
日経新聞
写真 「中央制御室の様子」を写す代表撮影
サブ見出し 『原発ゼロ、2ヵ月で解消』
産経新聞
写真 なし
サブ見出し 『8日にもフル稼働』
原発再稼働を評価しない姿勢
朝日新聞
写真 「警察官の強制排除に抵抗する再稼働反対市民」の姿を撮影
サブ見出し 『反対派排除』
毎日新聞
写真 「警察官の強制排除に抵抗する再稼働反対市民」の姿を撮影
サブ見出し 『原発周辺、警察隊がデモ排除』
東京新聞
写真 「警察官と向かい合う再稼働反対市民」の姿を撮影
サブ見出し 『安全確証なく起動』
読売新聞と日経新聞は、社会面では再稼働反対市民の様子を報じています。朝日新聞は社会面で、安全面についての懸念を報じています。毎日新聞は社会面で、東京と横浜でのデモについても報じています。東京新聞は社会面で、警察の強制排除の様子を報じています。 逆に産経新聞は、社会面で『「長かった」地元安堵』という見出しの記事を掲載、デモについては、大飯原発に通じる道路を車を並べて封鎖する再稼働反対グループの様子を撮影した写真を使用しています。
ちなみに、福井県おおい町における再稼働反対デモの参加者は数百人規模だったようです。具体的には、読売「約400人」、朝日「約200人」、毎日「300~400人」、日経新聞「数百人」、東京新聞「約300人」。
こうして各紙を見比べると、写真(映像)が持つインパクトが印象的です。読売と日経の代表撮影写真は、どこか「北朝鮮の指導者の様子を伝える公式写真」を彷彿とさせるものでした。一方の朝日、毎日、東京のデモ現場写真は、市民が警察と対峙している構図を使うことで、デモの質(「国家権力への抵抗」のイメージ)と量(「参加人数」のイメージ)を大きく見せています。それに対して、産経新聞の社会面の写真は、「乱暴な騒ぎは信用をなくすだけだ」という地元住民の言葉を添えることで、再稼働反対グループが社会的に逸脱した行動をしているという印象を作っています。
讀賣新聞
【記事】 週内にも小沢新党
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 大飯3号機再起動
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 金正日氏ウラン核兵器指示
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 医療・航空で規制緩和
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 故金正日総書記が原爆生産を指示
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)