2013.07.25 thu

新聞1面トップ 2013年7月25日【解説】熟議する新聞

新聞1面トップ 2013年7月25日【解説】熟議する新聞


【リグミの解説】

新聞社の「ビュー」
参院選後の特集記事や論説が一段落したところで、新聞各紙の社説はそれぞれの関心事などを反映したものとなっています。
 
読売: 「憲法改正 実現への布石を周到に打て」「企業の税金逃れ 実効性ある国際課税ルールを」
朝日: 「徴用工の補償 混乱回避へ知恵絞れ」「柔道連盟改革 自浄能力はあるのか」
毎日: 「惨敗後の民主党 代表交代もできぬとは」「ASEAN外交 きめ細かい協力蓄積を」
日経: 「投機買いで高値続く原油相場に警戒を」「誤発注判決を市場運営の糧に」
東京: 「原発汚染水海へ なぜ発表は遅れたか」「教育に新聞を 読んで、話してみよう」
 
読売の社説
読売は、20年前に憲法改正キャンペーンを打った経験を踏まえ、今回は改憲の機運を減速させてはならないと考えていると思われます。それはひとつの「主義」や「ビュー」として理解できます。
 
ただ、きわめて重要なテーマについて、社説を読んでもなぜ改憲を加速する必要があるのか、今一つ理解できないのが難点です。読売の社説は、全般にこの傾向があります。主張の根拠をより明示することと、反対の「ビュー」にも目配せし、読者がより全体観を持てる社説や論説とすることを望みます。
 
「対話型」の記事
こうした傾向は実は、読売に限らず、朝日や毎日なども大同小異と言えます。社説というものが、世論をある方向に誘導することを意図したものだとすると、限られた字数の中で、自説に有利なロジックに終始するのは、ある程度やむを得ないかもしれません。
 
であれば、新聞を活性化するひとつのアイデアとして、「主義」や「ビュー」の異なる新聞社の論説主幹クラスの討論会を開催してはどうでしょうか。あるいは、往復書簡の形で、憲法改正などの重要なテーマについて、じっくりと「対話型の記事」を掲載するのも良いと思います。
 
政治家や学者などの専門家も、主義や考え方の違う者同士が「対話」する中で、より良い政策判断を練り上げていけます。新聞は一方的な意見表明するだけでなく、世論形成の広がりと奥行きを作るために、あえて「ビュー」の違うメディア同士の「対話」を試みる価値があります。
 
「熟議する新聞」の価値
熟議することで、かならず見えてくるものがあります。意見が一致する必要はかならずしもありません。互いをレスペクトする「対話」(往復書簡)であれば、日本の未来の道筋について、読者(有権者)がより深い認識を得る一助となるでしょう。
 
新聞は、過去のように「檄(げき)を飛ばす」社説スタイルを脱し、「対話型の世論形成」を率先垂範することには、潜在的に大きな価値があります。ネット優勢の時代にあって、大手メディアが教養や見識、そして事実の積み上げをきちんとした上で、立場や価値観の違う者同士で建設的で創造的な話し合いや議論ができることを示すこと。それは、日本の民主主義の熟成に大きく寄与する活動といえます。

(文責:梅本龍夫)



  1. 【政府広報】 「無人探察機導入を検討 防衛大綱 サイバー対応強化 中間報告概要」
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130724-OYT1T01392.htm?from=ylist
  2. 【独自取材】 「日本郵政、アフラック提携強化 TPPにらみ がん保険、2万局で」
    http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130725-OYT1T00166.htm?from=ylist
  3. 【独自取材】 「TPP関税議論、停滞 日本、出遅れ挽回に余地」
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130724-OYT1T01436.htm?from=ylist

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 【独自取材】 「東大43論文、改ざん疑い 元教授グループ 調査委、撤回促す 大半は画像」
    http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307240775.html
  2. 【連続企画】 「中韓との関係改善、必須 編集委員・加藤洋一 ~『安定』政権への条件3.」
    http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307240811.html?ref=com_top_pickup
  3. 【政府広報】 「自衛隊に海兵隊機能 新防衛大綱の中間報告」
    http://www.asahi.com/politics/update/0725/TKY201307240645.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 【独自取材】 「脱法ハウスに無断改築 都内分譲マンション 規約無視 37㎡に6人」
    http://mainichi.jp/select/news/20130725ddm001040049000c.html
  2. 【独自取材】 「首相、靖国参拝見送りへ 終戦記念日 中韓に配慮」
    http://mainichi.jp/select/news/20130725k0000m010141000c.html
  3. 【独自取材】 「ゼロが1に、大きな一歩 iPS臨床研究世界初承認 山中伸弥教授『ゴール着実に』」
    http://mainichi.jp/select/news/20130725ddm001040060000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 【独自取材】 「郵政・アフラック提携 がん保険、共同開発 TPPの焦点 米側に配慮 全国の郵便局、販売」
    http://www.nikkei.com/article/DGKDZO57731680V20C13A7MM8000/
  2. 【政府広報】 「東南ア、金融安全網拡大 日本の外貨準備活用 危機予防柔軟に」
    http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC24015_U3A720C1MM8000/?dg=1
  3. 【政府広報】 「敵基地攻撃能力を検討 防衛大綱中間報告 北朝鮮ミサイル念頭」
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS24034_U3A720C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 【独自取材】 「東海村『脱原発』揺らぐ けん引の村長、引退表明 後継指名の山田副村長 再稼働派も支持 反対派は『第三』増設、憂慮」
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072502000115.html
  2. 【連続企画】 「だれもが夢実現できる手助けを 若い民からの成長戦略 日本初の『一口出資』サイト創設 25歳 米良はるか ~仕事を拓く2.」
  3. 【独自取材】 「放射線量の減り方、鈍化 半減期短い物質減少30年のセシウム残存 福島第一80キロ圏、規制委が調査」
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013072502000116.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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