【リグミの解説】
新聞社の「ビュー」
参院選後の特集記事や論説が一段落したところで、新聞各紙の社説はそれぞれの関心事などを反映したものとなっています。
読売: 「憲法改正 実現への布石を周到に打て」「企業の税金逃れ 実効性ある国際課税ルールを」
朝日: 「徴用工の補償 混乱回避へ知恵絞れ」「柔道連盟改革 自浄能力はあるのか」
毎日: 「惨敗後の民主党 代表交代もできぬとは」「ASEAN外交 きめ細かい協力蓄積を」
日経: 「投機買いで高値続く原油相場に警戒を」「誤発注判決を市場運営の糧に」
東京: 「原発汚染水海へ なぜ発表は遅れたか」「教育に新聞を 読んで、話してみよう」
読売の社説
読売は、20年前に憲法改正キャンペーンを打った経験を踏まえ、今回は改憲の機運を減速させてはならないと考えていると思われます。それはひとつの「主義」や「ビュー」として理解できます。
ただ、きわめて重要なテーマについて、社説を読んでもなぜ改憲を加速する必要があるのか、今一つ理解できないのが難点です。読売の社説は、全般にこの傾向があります。主張の根拠をより明示することと、反対の「ビュー」にも目配せし、読者がより全体観を持てる社説や論説とすることを望みます。
「対話型」の記事
こうした傾向は実は、読売に限らず、朝日や毎日なども大同小異と言えます。社説というものが、世論をある方向に誘導することを意図したものだとすると、限られた字数の中で、自説に有利なロジックに終始するのは、ある程度やむを得ないかもしれません。
であれば、新聞を活性化するひとつのアイデアとして、「主義」や「ビュー」の異なる新聞社の論説主幹クラスの討論会を開催してはどうでしょうか。あるいは、往復書簡の形で、憲法改正などの重要なテーマについて、じっくりと「対話型の記事」を掲載するのも良いと思います。
政治家や学者などの専門家も、主義や考え方の違う者同士が「対話」する中で、より良い政策判断を練り上げていけます。新聞は一方的な意見表明するだけでなく、世論形成の広がりと奥行きを作るために、あえて「ビュー」の違うメディア同士の「対話」を試みる価値があります。
「熟議する新聞」の価値
熟議することで、かならず見えてくるものがあります。意見が一致する必要はかならずしもありません。互いをレスペクトする「対話」(往復書簡)であれば、日本の未来の道筋について、読者(有権者)がより深い認識を得る一助となるでしょう。
新聞は、過去のように「檄(げき)を飛ばす」社説スタイルを脱し、「対話型の世論形成」を率先垂範することには、潜在的に大きな価値があります。ネット優勢の時代にあって、大手メディアが教養や見識、そして事実の積み上げをきちんとした上で、立場や価値観の違う者同士で建設的で創造的な話し合いや議論ができることを示すこと。それは、日本の民主主義の熟成に大きく寄与する活動といえます。
(文責:梅本龍夫)
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