2013.07.04 thu

新聞1面トップ 2013年7月04日【解説】対話力を高める仕組みを

新聞1面トップ 2013年7月04日【解説】対話力を高める仕組みを


【リグミの解説】

9党首討論
きょう参院選が公示されます。新聞1面トップ記事は5紙そろって日本記者クラブで行われた9党首討論会の模様です(日経は2番記事)。
 
読売、朝日、毎日は、ASEAN首脳会議で見かける、両腕をクロスさせて全員が握手する写真を掲載。ただ、この写真に何の意味があるのか、よくわからないというのが素朴な印象。日経は着座した写真。東京新聞は、党首が色紙に書いたメッセージを9コマ写真で掲載。こちらは各党の目線がわかり、参考になります。以下、その内容です(写真の順)。
 
民主党・海江田代表 「暮らしを守る力になる」
自民党・安倍総裁 「強い経済、実感をその手に」
公明党・山口代表 「国民目線に立つ」
みんなの党・渡辺代表 「闘う改革」
生活の党・小沢代表 「『いのち』と『くらし』と『地域』を守る」
共産党・志位委員長 「自民党と対決 “4つの転換”を」
社民党・福島党首 「強い国より やさしい社会」
みどりの風・谷岡代表 「若者・女性のしあわせ」
日本維新の会・橋下共同代表 「批判を恐れず、反論を恐れず、選挙を恐れず」
 
「違い」が見えない
自民党は、経済再生に焦点を当てているのに対し、民主党、生活の党、社民党、みどりの風は、自民党の経済再生路線が欠いている生活者の側面を強調。これに対し、共産党は、自民党と全面対決の姿勢。一方、みんなの党は、独自の改革路線を主張し、日本維新の会は、逆風を意識した言葉となっています。
 
参院選後は、3年間は国政選挙がない可能性があります。日本の大きな方向性が決まる選挙と言われながら、色紙比較をしても、経済以外の争点が不明瞭であり、自公と野党との「違い」が有権者に明示されているとは言えないと思います。
 
社説タイトルの比較
各紙の社説は9党首討論会について論じています。タイトルを比較します。
 
読売: 「アベノミクスに対案はあるか」
朝日: 「争点は経済にとどまらぬ」
毎日: 「投票こそが政治参加だ」
日経: 「与野党が政策を競う参院選を望む」
東京: 「お任せ民主主義、脱して」
 
各紙の底流にあるのは、とにかく投票しようという呼びかけです。しかし、投票を促すには、争点の明確化が不可欠です。
 
争点の明確化
「経済再生」という主軸の争点以外に、少なくても3つの争点があります。「憲法」「原発」「TPP」です。「原発」と「TPP」は、経済をどう位置付け、何を優先するかで立場が正反対になります。そして「憲法」は、日本国の過去・現在・未来を貫く基本軸を問うテーマです。
 
与野党の「違い」が見えにくいのは、争点が分散していることと、野党7党がそれぞれの主張をばらばらにしているからです。対立の構図を単純化すれば、「憲法」は、自民と維新とみんなが改憲派、残りは護憲派です。「原発」は、自民が維持・推進派で残りは脱原発依存となります。そしてTPPは自民、維新、みんな、公明、民主が推進派で残りが反対派です。
 
安倍政権の経済政策の評価以外に、上の3争点の単純な「賛成」「反対」の投票をする方が、政党(候補者)に投票するよりも、ある意味で実のある民意の表明となると思います。現行の選挙制度では現実性がありませんが、大きな政策課題に「国民投票」に準じる意思表明の仕組みがあれば、与野党の主張がばらばらでも、政治と国民の対話力は高められるのではないでしょうか。

(文責:梅本龍夫)



  1. 【独自取材】 「党首討論、経済政策で応酬 首相 ねじれ解消、意欲 参院選きょう公示」
       http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2013/news2/20130703-OYT1T01543.htm?from=ylist
  2. 【独自取材】 「エジプト 大統領『挙国一致政府』提案 収拾期限切れ 反大統領派は拒否」
       http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130704-OYT1T00131.htm
  3. 【独自取材】 「安全・安心、東京アピール 20年五輪、開催計画」
       

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 【独自取材】 「経済・憲法、9党首論戦 討論会 原発・増税でも火花 参院選きょう公示」
       http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307030860.html
  2. 【独自取材】 「軍、全権掌握の構え エジプト 大統領軟禁の情報」
       http://www.asahi.com/international/update/0704/TKY201307030602.html
  3. 【論関記事】 「この国を導く『解』競う夏に 星浩・特別編集委員 ~座標軸」
       http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307030858.html?ref=twitter

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 【独自取材】 「首相『デフレ脱却』強調 野党『暮らし破壊』主張 9党首、アベノミクス議論 参院選きょう公示」
       http://senkyo.mainichi.jp/news/20130704ddm001010034000c.html
  2. 【独自取材】 「エジプト 大統領『暫定内閣』提案 『軍が軟禁』報道も」
       http://mainichi.jp/select/news/20130704k0000m030150000c.html
  3. 【司法広報】 「オリンパス元会長ら有罪 猶予判決 損失隠し『組織的』」
       http://mainichi.jp/select/news/20130704ddm001040037000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 【企業広報】 「海洋資源で英社買収 千代田化工 探査、日本勢で初 権益確保後押し」
       http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXNASDD030C3_03072013MM8000&dg=1
  2. 【独自取材】 「『実感』巡り隔たり 安倍首相『経済は動き出した』 民主代表『副作用で物価上昇』」
       http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS0304P_T00C13A7MM8000/
  3. 【独自取材】 「生保大手も割安商品 アフラックなど 医療や学資保険で」
       http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC03017_T00C13A7MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 【独自取材】 「7.21参院選 岐路 憲法、原発、TPP 立ち位置 9党首討論 きょう公示、見極めの時」
       
  2. 【連続企画】 「平和継ぐバトン イラク派遣、違憲判決 ~憲法と、第4部 9条と21世紀」
       
  3. 【独自取材】 「牛乳も値上げ チーズなど乳製品波及 円安影響」
       http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013070402000130.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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