2013.07.03 wed

新聞1面トップ 2013年7月03日【解説】「学習する政党」

新聞1面トップ 2013年7月03日【解説】「学習する政党」


【リグミの解説】

下野で学習した自民党
永年与党だった自民党は、3年前に民主党に大敗し、下野したことでいろいろと学ぶところがあったようです。野党となった自民党は、与党となった民主党の蹉跌(さてつ)を徹底分析し、「違い」を鮮明にした結果、見事に政権復帰し、その勢いを持続し都議選にも大勝しました。
 
自民党が民主党と差別化を図った「違い」は、3つに集約できると思います。第1が、経済政策における「生活者視点」からの脱却。第2が、政党のカラーの鮮明化とマーケティング力の強化。そして第3が「党内の分裂」の回避です。
 
このように、「強い経済」指向、「保守色」の鮮明化、党内の「団結力」の強化が自民党を復活させましたのだと思います。これは、自民党が生き残るために、戦略性を強めたということです。日本の政党政治は、変わった。その象徴が自民党の変貌ぶりです。
 
特に注目したいのが3点目の「党内の分裂回避」です。自民党は、「決められる政治」を実行するために、党の方針や政権の決定に対しては一致団結して支持し、反対行動を許さない体制を組むことを目指しました。
 
自民党参院選候補者の憲法観
本日の朝日の1面2番記事は、東大谷口研究室との共同調査です。各政党の参院選立候補予定者のうち約9割の397人がアンケートに回答しました。以下、自民党の回答です。
 
次の任期中の憲法改正について
「積極的に改正すべきだ」51%、「気運が高まれば同意」46%、「急ぐ必要はない」3% 「改正すべきでない」0%
 
憲法96条の改正は
「賛成」44%、「どちらかと言えば賛成」26%、「どちらとも言えない」19%、「どちらかと言えば反対」8%、「反対」1%
 
「改憲派=保守、護憲派=リベラル」という色分けはあまりに単純化し過ぎでしょうが、改憲に積極的な候補者が5割を超えている自民党は、保守色が強いと言えます。ただ、自民党においても、残り半分は改憲に積極的ではなく、場合によると本音では懐疑的である可能性もあります。それでも、表立ってはブレーキをかけたり、異論を差し挟んだり出さず、統制が取れているように見えます。
 
民主党参院選候補者の憲法観
これに対して、寄せ集め集団ともいえる民主党は、政権時代も常に意見が割れました。最大の問題は、割れた意見を集約してひとつの政策的方向性を打ち出せなかったことです。政権を取った民主党は「決められない政治」の典型となり、それでも決めなければいかない段になって、党が分裂していきました。
 
朝日・東大谷口研究室共同調査における民主党の参院選候補者の回答は、以下の通りです。
 
次の任期中の憲法改正について
「積極的に改正すべきだ」2%、「気運が高まれば同意」21%、「急ぐ必要はない」56% 改正すべきでない」21%
 
憲法96条の改正は
「賛成」0%、「どちらかと言えば賛成」0%、「どちらとも言えない」0%、「どちらかと言えば反対」10%、「反対」90%
 
民主党は、護憲派と改憲派に割れているとも言われますが、少なくても参院選の候補者たちは、自民党との「違い」を鮮明にし、大勢が改憲に慎重ないし反対の立場です。特に、96条先行改正に対しては、民主党としては大変珍しいことですが、全員が反対の立場で「一致団結」しています。
 
野党になり衰退が止まらない民主党は、政権時代の轍(てつ)を踏み続けるのか、それとも自民党のように学習し、強い野党になるべく、与党自民党との「違い」創りに着手できるのか。二大政党制の未来を決するのは、今一度「『違い』を創る政治」に挑む民主党の気概と戦略的取り組みです。次は、民主党が「学習する政党」に挑む番です。
 

(文責:梅本龍夫)



  1. 【調査記事】 「参院選『争点は景気』 主要9党 6党でトップ 立候補予定者アンケート 96条改正、一定理解」
       http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20130702-OYT8T01425.htm
  2. 【企業広報】 「再稼働、月内申請を決定 柏崎6、7号機 東電『対策取った』」
       http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130702-OYT1T00931.htm?from=ylist
  3. 【独自取材】 「エジプト前面衝突、懸念 大統領派幹部 軍の介入を批判」
       http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130702-OYT1T01222.htm

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 【独自取材】 「再稼働申請『信頼壊す』 東電表明、新潟知事が批判」
       http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201307020631.html?ref=reca
  2. 【調査記事】 「改憲、自民内に温度差 96条緩和、賛成派7割 立候補予定者 参院選あす公示 朝日・東大谷口研究室共同調査」
       http://www.asahi.com/politics/update/0702/TKY201307020425.html
  3. 【独自取材】 「牛乳、値上げへ 円安で10月にも」
       http://www.asahi.com/business/update/0703/TKY201307020476.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 【独自取材】 「新潟知事『信頼を破壊』 柏崎刈羽、再稼働申請を表明 東電、黒字化焦り」
       http://mainichi.jp/select/news/20130703ddm001040063000c.html
  2. 【独自取材】 「参院選あす公示 アベノミクス是非焦点」
       http://senkyo.mainichi.jp/news/20130703ddm001010067000c.html
  3. 【独自取材】 「教員手当アップ 休日部活動の指導 教育困難校の校長 文科省検討 『主任』『休職』減額で充当」
       http://mainichi.jp/feature/news/20130703ddm001100070000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 【政府広報】 「加工米、関税下げ容認 TPP、主食米は維持 政府検討 交渉余地広げる狙い」
       http://www.nikkei.com/article/DGKDASFS0204D_S3A700C1MM8000/
  2. 【企業広報】 「新刊、原則電子書籍に 角川や学研など 価格、紙の6~8割」
       http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD020J8_S3A700C1MM8000/?dg=1
  3. 【連続企画】 「危機乗り越え世界へ 知らぬ間にガリバー企業 ~ASEANルネサンス2.」
       http://www.nikkei.com/article/DGKDZO56913080T00C13A7MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 【独自取材】 「東電、見切り発車 柏崎刈羽、再稼働申請へ 新潟知事、慎重姿勢 『事故の当事者』『地元説明なし』」
       http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013070302000148.html
  2. 【連続企画】 「極論肥大に懸念 ネット世論、改憲後押し ~憲法と、第4部 9条の21世紀④」
       
  3. 【独自取材】 「日本の岐路 参院選あす公示」
       http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20130703/CK2013070302000201.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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