2012.06.25 mon

新聞1面トップ 2012年6月25日

新聞1面トップ 2012年6月25日


讀賣新聞

【記事】 民主党に造反処分先送り案

  • 消費増税を柱とする法案が26日の衆院本会議で採決されるのを受けて、民主党内では党分裂を回避するため、造反議員の処分を先延ばしする案が浮上している。
  • 民主党の輿石幹事長は造反拡大の情勢を踏まえ、「参院での審議を見る必要がある。すぐには処分は決められないだろう」と周辺に語っている。
  • 法案賛成派と反対派は、賛否を明らかにしていない議員らに説得工作を続けている。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/

【リグミのコメント】 与党として決定した法案であれば、党議拘束をかけ、造反者には除名をもって臨むのが当然であると思います。もし民主党としての決定プロセスに異議があるのであれば、それを問うべきで、造反するぐらいであれば、離党手続きを取り、一議員として反対票を入れれば良いのではないでしょうか。

以上が「あるべき論」ですが、党議拘束については、各国それぞれの政治事情によって差があるようで興味深いです。ウィキペディアによると、英国は党議拘束を厳格運用、フランスは造反に対して比較的寛容、米国は党議拘束をほとんどかけず与野党の議員が是々非々で投票、とあります(ウィキペディア)。

国ごとに政治制度と政党政治の在り方が異なります。成熟した政治の在り方は、制度のみでなく国民の意識にも大きく依拠しています。日本の政治が進化するために何が必要か、今回の政局が問い掛けるものは大きいと考えます。


朝日新聞

【記事】 エジプト大統領にムルシ氏

  • エジプト大統領選の選挙管理委員会は24日、ムハンマド・ムルシ氏の当選を発表した。ムルシ氏は、穏健派イスラム団体であるムスリム同胞団系列の「自由公正党」の党首。
  • エジプトで自由な大統領選が行われ、文民が当選する初めてのケースとなる。イスラム主義の大統領も初めて。
  • 軍部は、民政移管前に立法権を掌握するなど、自らの権限を強化しており、新憲法起草などを巡り、同胞団などとの主導権争いが続くものと見られる。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/

【リグミから一言 ムルシ氏は「穏健派イスラム団体」とありますが、観光業立国でもあるエジプトにとって、イスラム教の戒律をどれぐらい厳格に適用していくのかは、気にかかるところです。軍との主導権争いのことも含めて、「アラブの春」がどこに向かうのか、この新しい革命の中心となった若者たちの訴えはどれぐらい反映されていくのか、注目したいと思います。


毎日新聞

【記事】 台湾企業に再生託すシャープ ~『追い詰められた産業立国』

  • シャープの町田会長(現相談役)は昨年6月、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭会長と資本・業務提携に向けた話し合いを始めた。町田会長は、「堺工場を活かす方法はないか。見てくれないか」と、郭会長に相談した。
  • 堺工場は、シャープが世界に誇る大型液晶パネル工場だが、韓国製などに海外シェアを奪われ、同工場の稼働率は今年4月~6月には3割まで落ちている。
  • シャープ首脳は、「シャープが単独で液晶の世界を席巻するという夢は(リーマンショック)の2008年で終わった」と言う。堺工場の稼働率アップは、鴻海頼みである。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 トヨタがハイブリッド技術をBMWに供与

  • トヨタ自動車と独BMWは、環境分野の提携を拡大する。トヨタがハイブリッド車と燃料電池車の技術を供与する。燃料電池車技術の他社提供は初めてのケース。
  • 両社は、昨年のディーゼルエンジンの調達とリチウムイオン電池の共同研究の合意に続いて、今回は中核技術に踏み込み、環境技術面における包括的な協力関係を構築する。
  • エコカー分野で、世界大手の主導権争いが激しさを増すと見られる。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/

【リグミの補足】 今回の提携とは直接関係ないですが、電気自動車の充電規格で日本が打ち出した「チャドモ」方式に対抗して、独フォルクスワーゲンなど米独8社による「コンボ」方式が提案され、話題になっています(msn産経ニュース)。世界標準を確立することが、普及定着のカギを握るため、この主導権争いがどこに向かうか注目です。独自技術の高さだけでは戦略的優位性を確立できない時代ですので、トヨタの動きは理解できます。今後、エコカー全般でどういう提携戦略を展開するのでしょうか。


東京新聞

【記事】 今どきのデモのでき方

  • 野田首相の地元の千葉県船橋市で24日、関西電力大飯原発の再稼働に反対するデモがあった。中心になったのは、東京の中央線沿線の複数の脱原発グループ。
  • ツイッターで、「黄色まとい総武線に」と呼びかけ、個人のつながりで2000人(主催者発表)が集まった。
  • 翻訳家の池田佳代子さんは、旧来の動員型デモとの違いが出る理由を次のように語る。「いわゆる左翼の人たちは論理で原発に反対してきたけど、今は一人一人が存在をかけて『もういやだ』と感情を吐露している」。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/

【リグミから一言】 ツイッターの拡散効果は、「黄色をまとう」など細かい情報が広がるのが特徴と記事にあります。公式パンフレット的な呼びかけより、個々人による具体的な拡散情報の方が、デモに出たことのない人への訴求効果があるのかもしれません。「アラブの春」の大きなうねりとは比肩できないレベルですが、日本でも変化が起きているのだと思います。