2013.06.18 tue

新聞1面トップ 2013年6月18日【解説】G8の本音と使命

新聞1面トップ 2013年6月18日【解説】G8の本音と使命


【リグミの解説】

G8サミット開催

G8サミット(主要8ヵ国首脳会議)が始まりました。最初は米・英・仏・西独・伊・日のG6でした。1975年のことでした。翌1976年にはカナダが参加し、G7となりました。1998年からはロシアが正式参加し、G8へと拡大しました。


サミットの始まりは、「西側」の民主主義国である欧州、米国、日本の財務高官が集まり、経済的課題を討議する会議でした。冷戦下に「西側」の主要国の首脳が一堂に会し、主としてグローバル化する経済の運営について討議し、結束を固めました。


サミットは山の頂上という意味ですので、世界経済の主要なプレイヤーという意味があると思います。しかし、経済に主眼を置くと、今やGDPで世界2位の中国をはずすことはできなくなります。そこで、G8に新興経済圏の11ヵ国を追加したG20ができました。最近は、こちらの着目度の方が高いように思います。


G20の存在感

G20を名目GDP(単位:百万ドル)の大きさ順に並べると以下の通りです(下線がG8参加国)。(データ:Wikipedia


  1. アメリカ合衆国 15,653,366

  2. 中国 8,250,241

  3. 日本 5,984,390

  4. ドイツ 3,366,651

  5. フランス 2,580,423

  6. イギリス 2,433,779

  7. ブラジル 2,425,052

  8. イタリア 1,980,448

  9. ロシア 1,953,555

  10. インド 1,946,000

  11. カナダ 1,770,084

  12. オーストラリア 1,542,055

  13. メキシコ 1,162,891

  14. 韓国 1,151,271

  15. インドネシア  894,854

  16. トルコ  783,064

  17. サウジアラビア  657,049

  18. アルゼンチン  474,812

  19. 南アフリカ共和国  390,919

  20. 欧州連合 16,414,483


欧州連合は別として、国家レベルでは、中国、ブラジル、インドが存在感を示しています。ロシアを含むいわゆるBRICsが、2位、7位、9位、10位です。もはやG7+1のG8でも世界経済を議論することは難しく、G8+11のG20が誕生した経緯が理解できます。この20ヵ国・地域を世界地図で見ると、アフリカ大陸を除く地域の大半をカバーしています(参照:Wikipedia)。

 


G8の本音

しかし、名目GDPを国民一人あたりに変えると、下記の順になります(下線がG8参加国)。


  1. オーストラリア 67,983

  2. カナダ 50,826

  3. アメリカ合衆国 49,802

  4. 日本 46,896

  5. ドイツ 41,168

  6. フランス 40,690

  7. イギリス 38,591

  8. イタリア 32,522

  9. 韓国 23,021

  10. サウジアラビア 22,823

  11. ロシア 13,765

  12. ブラジル 12,340

  13. アルゼンチン 11,572

  14. トルコ 10,457

  15. メキシコ 10,123

  16. 南アフリカ共和国 7,636

  17. 中国 6,094

  18. インドネシア 3,797

  19. インド 1,592

  20. 欧州連合 32,708


オーストラリアの突出した高さが注目されますが、ロシアを除く旧G7が、世界で最も豊かな国民生活を営む「先進諸国」であることがわかります。自分たちの生活水準を維持し発展させるために、どうしたらいいか。急速にグローバル化する経済活動を円滑に進めるためには、G20が必要だが、経済力を維持するための政治課題はできればG7で取り決めたい。ロシアも旧ソ連に比べれば民主化したので、G8では特に世界政治について議論したい。これがG8の本音だと思います。いわば、私的なクラブで「世界政府」の役割を担っていこうとするものともいえます。


ノブレス・オブリージュの精神

読売、朝日、毎日、日経の4紙は、1面にキャメロン英首相の歓迎を受ける安倍首相の写真を掲載しています。ロイター提供の写真(朝日は記者撮影)は、政府広報的な作られたポーズで、G8の正統性、権威、あるいは仲の良さをアピールしています。


しかし私たちは、G8に対しては根強い反発や非難があることも理解する必要があります(参照:Wikipedia)。 G8は、自分たちの都合を優先するばかりでなく、世界全体の課題をどうしていくか、ノブレス・オブリージュの精神(=「位高ければ徳高きを要す」)で取り組むことが求められています。

(文責:梅本龍夫)



  1. 【独自取材】 「G8、シリア情勢協議 サミット開幕 自由貿易推進も」
       http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130618-OYT1T00041.htm
  2. 【政府広報】 「動物体内でヒト臓器 政府、作成研究容認へ」
       http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130617-OYT1T01580.htm
  3. 【独自取材】 「安愚楽牧場元社長逮捕へ 和牛オーナー 過大説明で勧誘容疑」
       http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130617-OYT1T01567.htm

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 【独自取材】 「情報監視、G8に影 米に続き、英のG20盗聴疑惑 欧州で反発強まる」
       http://www.asahi.com/international/update/0618/TKY201306170501.html
  2. 【司法広報】 「3死刑囚、法廷尋問へ オウム平田被告の裁判」
       http://www.asahi.com/national/update/0617/TKY201306170262.html
  3. 【政府広報】 「首相、アベノミクス説明」
       http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201306170719.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 【司法広報】 「3死刑囚、法廷で尋問 東京地裁 裁判員裁判で初 オウム平田被告公判」
       http://mainichi.jp/select/news/20130618ddm001040030000c.html
  2. 【政府広報】 「改正災害対策法が成立 市町村に 要援護者名簿、義務化」
       http://mainichi.jp/select/news/m20130618k0000m010083000c.html
  3. 【独自取材】 「『世界経済に貢献』 安倍首相 G8サミット開幕」
       http://mainichi.jp/select/news/20130618k0000m020111000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 【企業広報】 「新素材で航空エンジン IHI、GEと開発 燃費1割改善 日本の技術、活用広がる」
       http://www.nikkei.com/article/DGKDASDD140KL_X10C13A6MM8000/
  2. 【連続企画】 「安易な新設、いばらの道 『資格系』景気低迷で沸く」
       http://www.nikkei.com/article/DGKDZO56327230Y3A610C1MM8000/
  3. 【独自取材】 「景気の減速回避へ討議 英でG8サミット開幕」
       http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1701M_X10C13A6MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 【連続企画】 「光届かぬ島から問う 『復帰は日米安保の下だった』 『米兵はさげすむような目で見ていた』 『米では日本がどこか知らない人が多かった』~憲法と、第3部 沖縄の怒り(上)」
       
  2. 【独自取材】 「中国 『影の銀行』取引464兆円 実体不明 金融危機招く恐れ」
       http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013061802000118.html
  3. 【独自取材】 「甲斐、女流王位奪還 里見4冠に」
       

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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