G8サミット開催
G8サミット(主要8ヵ国首脳会議)が始まりました。最初は米・英・仏・西独・伊・日のG6でした。1975年のことでした。翌1976年にはカナダが参加し、G7となりました。1998年からはロシアが正式参加し、G8へと拡大しました。
サミットの始まりは、「西側」の民主主義国である欧州、米国、日本の財務高官が集まり、経済的課題を討議する会議でした。冷戦下に「西側」の主要国の首脳が一堂に会し、主としてグローバル化する経済の運営について討議し、結束を固めました。
サミットは山の頂上という意味ですので、世界経済の主要なプレイヤーという意味があると思います。しかし、経済に主眼を置くと、今やGDPで世界2位の中国をはずすことはできなくなります。そこで、G8に新興経済圏の11ヵ国を追加したG20ができました。最近は、こちらの着目度の方が高いように思います。
G20の存在感
G20を名目GDP(単位:百万ドル)の大きさ順に並べると以下の通りです(下線がG8参加国)。(データ:Wikipedia)
アメリカ合衆国 15,653,366
中国 8,250,241
日本 5,984,390
ドイツ 3,366,651
フランス 2,580,423
イギリス 2,433,779
ブラジル 2,425,052
イタリア 1,980,448
ロシア 1,953,555
インド 1,946,000
カナダ 1,770,084
オーストラリア 1,542,055
メキシコ 1,162,891
韓国 1,151,271
インドネシア 894,854
トルコ 783,064
サウジアラビア 657,049
アルゼンチン 474,812
南アフリカ共和国 390,919
欧州連合 16,414,483
欧州連合は別として、国家レベルでは、中国、ブラジル、インドが存在感を示しています。ロシアを含むいわゆるBRICsが、2位、7位、9位、10位です。もはやG7+1のG8でも世界経済を議論することは難しく、G8+11のG20が誕生した経緯が理解できます。この20ヵ国・地域を世界地図で見ると、アフリカ大陸を除く地域の大半をカバーしています(参照:Wikipedia)。
G8の本音
しかし、名目GDPを国民一人あたりに変えると、下記の順になります(下線がG8参加国)。
オーストラリア 67,983
カナダ 50,826
アメリカ合衆国 49,802
日本 46,896
ドイツ 41,168
フランス 40,690
イギリス 38,591
イタリア 32,522
韓国 23,021
サウジアラビア 22,823
ロシア 13,765
ブラジル 12,340
アルゼンチン 11,572
トルコ 10,457
メキシコ 10,123
南アフリカ共和国 7,636
中国 6,094
インドネシア 3,797
インド 1,592
欧州連合 32,708
オーストラリアの突出した高さが注目されますが、ロシアを除く旧G7が、世界で最も豊かな国民生活を営む「先進諸国」であることがわかります。自分たちの生活水準を維持し発展させるために、どうしたらいいか。急速にグローバル化する経済活動を円滑に進めるためには、G20が必要だが、経済力を維持するための政治課題はできればG7で取り決めたい。ロシアも旧ソ連に比べれば民主化したので、G8では特に世界政治について議論したい。これがG8の本音だと思います。いわば、私的なクラブで「世界政府」の役割を担っていこうとするものともいえます。
ノブレス・オブリージュの精神
読売、朝日、毎日、日経の4紙は、1面にキャメロン英首相の歓迎を受ける安倍首相の写真を掲載しています。ロイター提供の写真(朝日は記者撮影)は、政府広報的な作られたポーズで、G8の正統性、権威、あるいは仲の良さをアピールしています。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
(毎日jp http://mainichi.jp/)
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)