【リグミの解説】
株価1万5000円超え
日経平均株価の終値が1万5000円を超えました。昨年末からの上昇率は、40%を超えました。円安に振れていることを考慮し、ドル換算で見ても、20%以上の上昇率で、15%程度の米国、10%程度のドイツを上回っています。中国、ロシア、ブラジルなどの新興国は数%から10%程度のマイナスでした(日経新聞)。
1週間、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月のどの期間で見ても、日経平均株価は、きれいな「右肩上がり」を示しています。株式市場は、個々の投資家の主観的な「期待」の集合体です。いろいろな理屈や理論がありますが、トレンド図を見ると、集合的な心理が株価を形成しているということが、直感的にわかります。人々の「期待」が一定方向に動きだすと、そのこと自体が一層トレンドを後押しする。株価形成の心理構造には、常に「バブル」の側面が織り込まれているのだと思います。
株価収益率(PER)
指標としては、「株価 / 1株当たり当期純利益」で計算される株価収益率(PER)が基本となります。「純利益がすべて配当に回されたとしたら何年で株式投資の元が取れるか」という計算値です。PERが高いケースは、「回収に時間がかかっても良い」=「将来の利益が増える成長企業」とみなします。PERが低いケースは、「利益成長が低く、投資を早期回収しないといけない」という判断となります。PERは利益成長に対する市場の「期待」を反映した代表的指標と言えます。
日経新聞によると、現在の日経平均株価のPERは17倍。16倍の米国を上回っていますが、金融危機前は18~20倍程度であったため、日経平均株価が1万6000円~1万7700円まで上昇しても「割高とは言えない」との見方を示しています。バブル期のPERは「説明不能」な80倍以上でした。それに比べれば、PER20倍程度は常識の範囲と言えます。一般にPERは14倍から20倍の間が適正という見方もあります(参照:
Wikipedia)。
集合的意識
ただ、株価はあくまでも個々の投資家の「期待」の集合体です。それは主観の集合体であり、どのような指標や理論で分析しても、本当の意味でも客観性を見つけることはできません。貨幣も本質的には同じです。一万円札に10000円の価値があるとみなが認め、信じるから、本質的には何の裏付けもない紙幣が大量に市場に出回り、経済活動の軸として機能します。
それでも貨幣は、形式上国家の裏付けがあります。これに対して株価が適正であると保証してくれる人も機関も一切ありません。企業が破綻して株価がゼロになる可能性もあります。株式投資は自己責任です。ただ、日本の経済全体が株価の影響下にあることを考えると、投資家の自己責任論だけで市場を捉えることには不足があります。
株式市場は、経済活動に関する「集合的意識」ともいえます。未来への「期待」と「現実」を結合し、株価が経済実態とかけ離れたバブルに変質しないように制御する仕掛けが必要です。それは、規制や政治介入といったことではなく、「集合的意識」の健全さを保つ活動ではないかと思います。私たちの生活感覚、経済をとらえる目線、何が妥当なのかという「良識」で適正株価を判断していけるようになりたいものです。
(文責:梅本龍夫)
- 【政府広報】 「敦賀原発に活断層、断定 2号機廃炉の可能性 規制委」
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http://news.livedoor.com/article/detail/7678684/ - 【独自取材】 「株終値も1万5000円台 欧米、最高値を更新」
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(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
- 【独自取材】 「アベノミクス・改憲が争点 予算成立、参院選へ各党始動 ~安倍政権を問う 2013参院選」
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http://www.asahi.com/business/reuters/RTR201305150087.html - 【独自取材】 「東証、終値も1万5000円台」
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- 【政府広報】 「敦賀廃炉の公算大 2号機活断層認定 規制委報告書」
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http://mainichi.jp/select/news/20130516ddm001040071000c.html - 【独自取材】 「今年度予算が成立」
http://mainichi.jp/select/news/m20130516k0000m010074000c.html
(毎日jp http://mainichi.jp/)
- 【独自取材】 「日本株、投資家広がる 債権から資金シフト 日経平均終値1万5000円回復」
http://www.nikkei.com/article/DGKDASGD1507W_V10C13A5MM8000/ - 【連続企画】 「眠る商機、辺境を攻める HISが銀行再建 ~アジア跳ぶ 第3部 日本、一歩前へ」
http://www.nikkei.com/article/DGKDASM40700E_Y3A500C1MM8000/ - 【独自取材】 「3メガ銀、最終益2.2兆円 国内融資2%伸びる 前期11%増」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC15015_V10C13A5MM8000/
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
- 【政府広報】 「敦賀『直下は活断層』断定 廃炉の公算大 規制委チーム」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013051602000134.html - 【独自取材】 「『組織の存続自体問題』 『試験優先、点検二の次』 もんじゅ使用停止、規制委痛烈批判」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013051590135602.html - 【独自取材】 「人クローンからES細胞 再生医療利用も iPSと別手法 日本人研究者ら成功」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013051501001890.html
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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