2013.04.25 thu

新聞1面トップ 2013年4月25日【解説】問題を閉じ込めない

新聞1面トップ 2013年4月25日【解説】問題を閉じ込めない


【リグミの解説】

新聞5紙の1面トップ3記事の中から1つずつ注目記事を選びます。
 
読売: 「日中ホットライン再協議」
冷戦状態にあった米ソは、軍事衝突の危機を回避すると共に、万一衝突が起きた場合にそれが全面戦争に発展しないようにする工夫をしていました。基本は、責任者クラスのホットラインを確保し、「対話」で問題解決しようとするものです。
 
尖閣問題で関係が悪化している日中間にもホットライン設定を求める声がありました。ようやく動きが出てきたことを評価します。
 
朝日: 「増税セール、連想もアウト」
政府が成立を目指している消費増税転嫁法案は、「大型スーパーなどが商品を仕入れる時に納入業者が仕入れ価格に消費増税分を転嫁するのを拒否してはならない」という法案です。ここまでは理解できます。
 
同時に、「スーパーや商店などが『消費税を還元する』などとうたって安売りするのも禁止する」としていることが解せません。自社の粗利率を犠牲にして売り上げを増やし、利益の総量を増やそうとする営業活動は、企業や商店主の自由な選択肢のひとつであり、国が介入すべきことではないと思います。
 
毎日: 「チェルノブイリ石棺、危険」
チェルノブイリ原発は、1986年の爆発事故から27年経ちました。四半世紀以上が経ったのに、事故は収束していません。石棺を作ったときのずさんな工事と老朽化により、石棺が崩落の危機に直面しています。
 
福島第1原発事故が起きた時、チェルノブイリのようにコンクリートで周囲を覆ってしまうのが一番確実なのではないかという考えがありました。チェルノブイリの現状を見ると、「問題を閉じ込める」ことの限界を実感させられます。
 
日経: 「石炭火力、新増設を再開」
福島第1原発事故が突き付けた大問題の中に、「温暖化対策」と「発電コスト」があります。燃料代が安価でCO2排出問題に有利な原発がほとんど稼働できない現状で、石炭火力発電に注目が集まっています。日経の記事によると、燃料単価(キロワット時)は、石油20円、LNG13円、石炭5円、原子力1円です。
 
東電が石油から石炭に転換すれば、燃料費を1750億円、LNGから石炭で1150億円削減できるそうです。問題は、CO2排出量がLNGの1.5倍になることです。CO2を除去する技術開発のコストは、原発の安全性を高める投資に比べ、はるかに安価なのではないでしょうか。原発に固執せず、技術開発と原料確保の「選択と集中」を進めるべきだと思います。
 
東京: 「汚染水、破綻明かさず」
東京新聞の注目記事は、東京電力が福島第1原発の汚染水を貯蔵するタンクの余裕度を正しく公表していなかったというものです。記事によると、東電は除染装置が予定通り稼働することを前提に汚染水量とタンク用容量をバランスさせていました。しかし装置が予定通り稼働しなかったため、汚染水を地下貯水池に貯蔵しましたが、そのことを公表していませんでした。
 
この時点で事実を公表し、真剣にタンク増量に取り組めば、4月の汚染水漏出事故は防げた可能性があると記事は指摘しています。「問題を内側に閉じ込めない」。これが東電問題、福島第1原発問題に対する基本中の基本の命題です。
 

(文責:梅本龍夫)





1. 【企業広報】 「東証が新株価指数」

  • 東京証券取引所は、TOPIX(東証株価指数)に加え、新しい株価指数を設定する。高利益企業300~500銘柄を選定し、指標化する。


2. 【政府広報】 「日中ホットライン再協議」

  • 日中両政府は、尖閣諸島での不測の事態を避けるため、防衛当局間の局長級会議を月内にも北京で開催する方向で調整に入った。


3. 【独自取材】 「鳥インフルエンザ、台湾でも」

  • 台湾の衛生当局は24日、中国から入境した台湾人男性がH7N9型の鳥インフルエンザに感染したと発表した。中国本土以外で初めてのケースとなる。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





1. 【独自取材】 「増税セール、連想もアウト」

  • 政府は、消費増税転嫁法案で「消費税還元セール」だけでなく、「3%還元」や「価格据え置き」などの安売りも禁止しようとしている。「安売り禁止令」との批判が出ている。


2. 【独自取材】 「新疆で衝突、21人死亡」

  • 新疆ウイグル自治区カシュガル地区で23日、不審なグループと警官らが衝突し、警官ら15人が死亡した。グループの6人が射殺され、8人が拘束された。


3. 【独自取材】 「鳥インフル、台湾でも確認」

  • 台湾の衛生署は24日、53歳の男性がH7N9型の鳥インフルエンザに感染したと発表した。男性は、発症直前に中国の蘇州を訪ねており、中国で感染したとみられる。


(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





1. 【独自取材】 「鳥インフル、台湾上陸」

  • 台湾衛生署は24日、中国の蘇州から戻った台湾人男性がH7N9型の鳥インフルエンザに感染していたと発表した。中国本土以外で初のケース。


2. 【独自取材】 「チェルノブイリ石棺、危険」

  • ウクライナ政府の事故調査委員会は、チェルノブイリ原発で今年2月に建物の一部が崩落した事故について、事故後のずさんな修理と老朽化が原因とする報告書をまとめていた。


3. 【企業広報】 「任天堂、営業赤字364億円」

  • 任天堂の2013年3月連結決算は、営業損益が364億円の赤字だった。営業赤字は2年連続。主力ゲーム機の有力ソフトが不足し、販売で苦戦した。


(毎日jp http://mainichi.jp/
 





1. 【政府広報】 「石炭火力、新増設を再開」

  • 政府は、石炭火力発電所の建設に道を開く環境影響評価の基準を作る。2020年度の温暖化ガス排出量を1990年比25%削減する目標は撤回する。


2. 【企業広報】 「次世代TVで21社連合」

  • NHK、民放各社、ソニーなど21社・団体は、次世代テレビ放送の技術開発で連携する。高精細の画像処理技術や関連機器を共同開発する。


3. 【連続企画】 「マネー新潮流、草の根から ~金融ニッポン」

  • 景気の長期低迷と銀行の資本規制で、銀行がリスク性資金を出すには制約が多い。地域の再生のために、ファンドや個人マネーなど新たな成長マネーの担い手を育てる必要がある。


(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





1. 【独自取材】 「汚染水、破綻明かさず」

  • 東京電力は、福島第1原発の汚染水量が1月には既に地上タンク容量を超え、貯蔵計画が破綻していたにも関わらず、東電はタンクに余裕があると発表していた。


2. 【独自取材】 「『脱原発』結集、1次推薦40人」

  • 市民グループが立ち上げた政治団体「脱原発政治連盟」(略称・緑茶会)の設立集会が24に開催された。参院選の第1次推薦候補として、選挙区と比例代表計40人を発表した。


3. 【独自取材】 「台湾で感染初確認」

  • 台湾衛生署は24日、H7N9型の鳥インフルエンザの感染者を初めて確認したと発表した。中国本土以外で初のケース。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 




【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ