【リグミの解説】
原発の意識調査
東京新聞に「安全・安心研究センター」による意識調査が掲載されています。全国の15~79歳の男女1200人を対象に、地球温暖化やテロなど10項目について危機意識を調べています。東京新聞はその中から原発について、取り上げています。
「原発の社会に対する危険」についての質問で、2010年9月の調査では「非常にある」が13.2%だったのが、東電福島第1原発事故後の2011年6月には49.6%に跳ね上がりました。これが事故1年後の2012年3月には41.8%になりました。野田政権時代の2011年12月に事故収束宣言が出たことも影響したと思われます。
ところが、直近の2013年3月になると50.3%と、事故直後以上に多くの人々が危機意識を高めています。汚染水処理のトラブルなど、福島第1で次々と起きる問題を見ると、綱渡りの状況が続いており、事故収束には程遠いことが明らかになったことも大きいと思います。通常は、事故や自然災害への危機意識は、発生後は高まりますが、時間の経過と共に下がっていきますが、原発に関しては例外と考えた方がいいかもしれません。
国民全員が「犠牲者」となる可能性
2度の原爆投下を体験した日本人は、核兵器に対する拒絶感が世界で一番強いのではないでしょうか。これは、核兵器の恐ろしさ、悲惨さを、時代を超えて共有しようとする国民のコンセンサスがあるからだと思います。全国民が「犠牲者」の立場に位置づけられたことも影響しています。
原発事故と原爆投下では、その影響度も意味するところも全く違います。ただ、福島第1の事故影響がはるかに甚大になり、首都圏全域の避難が必要な事態も想定しえたことを考えれば、原発事故によって国民全員が「犠牲者」となる可能性もあります。
宇宙史レベルでの原発
『137億年の物語―宇宙が始まってから今日までの全歴史』の著者でジャーナリストのクリストファー・ロイド氏は、ビッグバンから今日までの壮大な宇宙史を紐解く同書の最後に、次のように記しています。
「2011年3月11日に、マグニチュード9.0という巨大地震が日本の東北地方を襲い、福島第1原子力発電所にレベル7という大事故を引き起こした。原子力が世界を救うという考えは、果たして正しかったのだろうか。このような大惨事に直面して、原子力発電を推進しようとする政党など、日本にあるだろうか。これほど地震が多い国で、原発が安全だと信じる人がまだ残っているだろうか。」(P474)
実際には、本日の朝日の3番記事にある通り、自民党政権の茂木通産相は、今秋に原発を再稼働させる可能性に言及しました。
安全・安心研究センター今回の調査の対象者の過半が「原発は非常に危険」と回答していることを、「根拠のない不安心理」と切り捨てず、私たちは原発の安全性について根本的に再考する必要があると思います。
危機を自覚する政治を
原発が本当に安全なら、最大の電力消費地の東京都近郊の東京湾沿い建設すれば良いという極端な意見もあります。実際には、そのような判断をする政治家はひとりもいないと思います。誰も原発に対して、自信をもった安全宣言などできないからです。
危険施設を地方に押し付けたまま、事故収束宣言や安全宣言をして、「再稼働」を進める政治は、国家が抱えるリスクに全体観を持っているのか、甚だ疑問です。自民党は、原発再稼働という「当面の政治判断」の前に、原子力エネルギー政策の長期ビジョンと戦略を明らかにし、安全対策に関する具体的な工程表を作る責任があります。
(文責:梅本龍夫)
1. 【政府広報】 「解雇ルール見送り」
- 政府の産業競争力会議で、雇用制度改革の骨格を固めた。勤務地域や職種などを限定した正社員を増やす仕組みづくりを促す。金銭を支払う代わりに解雇できる制度は見送った。
2. 【企業広報】 「トルコに原発輸出へ」
- 三菱重工業と仏アレバの企業連合は、トルコで計画されている原子力発電所の建設事業を受注した。福島第1原発事故後、原発輸出が決まるのは初めて。
3. .【政府広報】 「尖閣領海侵入12時間」
- 第11管区海上保安本部によると、23日に尖閣諸島の領海内に侵入した中国の海洋監視船8隻は、約12時間後に領海を出た。午後8時現在、接続水域内を航行中。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
1. 【政府広報】 「アレルギー、法律で対策」
- 自民、公明両党が検討中の「アレルギー疾患対策基本法案」で、給食によるアレルギーを防ぐため、教職員らに研修の機会を設ける。家族らの相談体制の整備も進める。
2. 【政府広報】 「敵基地攻撃能力を明記」
- 自民党の安全保障調査会・国防部会は、新防衛大綱への提言案は、敵基地攻撃能力の保有、集団的自衛権の行使検討など、憲法改正も見据えた内容となっている。
3. 【政府広報】 「経産相『再稼働、秋にも』」
- 茂木経産相は23日、原発の再稼働についてBSジャパンの番組で問われ、「今年の秋ですかね」と答えた。同発言は、政権内で早期再稼働を目指す動きが強まっていることを示唆。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
1. 【政府広報】 「35人学級化、再検討」
- 文部科学省は、「義務教育完全35人学級化」を再検討する。24日に実施する全国学力テストで少人数学級の効果を数値的に証明し、来年度の予算化を目指す。
2. .【連続企画】 「先生恐々、参院選 ~政治いま ネット選挙最前線(下)」
- 毎日新聞のアンケート調査で、改選予定の現職議員の回答者56人のうち、29人(52%)が「解禁に賛成だが誹謗中傷など懸念もある」とした。「歓迎する」は26人(46%)。
3. 【独自取材】 「イカ漁一斉休漁へ」
- 全国いか釣漁業協議会は23日、急激な円安による燃料費高騰で経営圧迫されている小型イカ釣り漁船が、26、27日に一斉休漁すると発表した。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
1. 【政府広報】 「耕作放棄地を強制集約」
- 政府・自民党は23日、農業の競争力強化の改革案を固めた。都道府県が放置農地を強制的に借りて集約し、農業生産法人などに貸し出す制度を来年度に導入する。
2. 【連続企画】 「緩和・預金減、地銀に転換期 ~金融ニッポン」
- 欧米では地銀の広域化が進んでいるが、日本では地元の盟主とのプライドにより再編が進んでいない。高齢化や人口減で預金減少が静かに進むのにどう対応するかが問われる。
3. 【独自取材】 「中国シェア挽回へ出店」
- 日本車メーカーは、中国でのシェア挽回に向けて出店を加速させる。2013年は、前年比1割増しの3300店にする。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
1. 【独自取材】 「安倍流経済、復興足かせ」
- 「アベノミクス」で全国の公共事業費を積み増すことで、被災地以外の土木工事が増え、慢性化している建設作業員不足が悪化し、被災地の生活再建が遅れる原因となりかねない。
2. 【調査記事】 「再稼働、なお反対多数」
- 民間団体「安全・安心研究センター」の意識調査(全国1200人)で、原発依存の是非について「直ちにやめるべき」30.7%、「再稼働を認め段階的に縮小」54.1%だった。
3. 【独自取材】 「『0増5減』付け焼き刃」
- 衆院選挙区の「1票の格差」是正のための「0増5減」を盛り込んだ公職選挙法改正案が与党の賛成多数で可決された。格差の是正効果は乏しく、抜本改革のめども立たない。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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