2013.04.19 fri

新聞1面トップ 2013年4月19日【解説】判断基準を判断する

新聞1面トップ 2013年4月19日【解説】判断基準を判断する


【リグミの解説】

「判断基準」の判断
 
本日の新聞1面記事は、「判断基準」がいろいろと出ています。
 
  • TPPへの日本の参加を認める基準は何か、気になります。「聖域」を認めたのではないと推測できます。政府は国民に積極的に情報開示をすべきです。
  • B787の安全性が確保されたと判断する基準もよくわかりません。国土交通省は、日本の航空会社に独自の安全策を求めています。
  • 現憲法を改正すべきとする主張の判断基準も一様ではありません。現在の政治・社会・外交などの現実にそぐわないとする判断がある一方で、そもそもの憲法成立過程を問題視する人々もいます。多面的で慎重な議論の積み重ねが必要な理由です。
 
その他の「判断基準」の中で、特に「育児休業3歳まで」と「ストーカー危険度評価」を取り上げます。
 
「育児休業3歳まで」

安倍首相が経済界トップに育児休業期間の延長を要請する方針です(読売トップ、朝日3番)。企業の本音は、「1年6ヵ月の育休でも長すぎる」だと思います。育休明けでも、母親は時短となり、残業しているスタッフの仕事をサポートできないといった文句もでます。しかし、企業の論理だけを優先していては少子化の流れは止められません。社会全体で子育てしやすい環境をつくっていく必要があります。
 
安倍首相がなぜ育休を「3歳まで」としたか、記事は明らかにしていませんが、育児理論や子育ての経験則に照らしても、3歳までの養育環境が決定的に重要であることは間違いありません。親の愛情と庇護と教育をたっぷり吸収した赤子は、健やかに育ちます。まさに「三つ子の魂百まで」です。
 
少子化というとき、子供の数だけを問題にする論調が多いですが、本当に大切なのは、親が心身の余裕をもって子育てができる環境です。「量」の前に「質」を問う発想が求められます。安倍政権の「成長戦略」の内実が問われる部分です。
 
「ストーカー危険度評価」
 
毎日新聞は1面トップで、警察庁が精神科医と連動して、ストーカーになりやすいタイプ、ストーカーをされやすいタイプの「判断基準」を検討しているとする記事を掲載しています。
 
記事は、ストーカーになりやすい男性の特性として、①「自分の容姿を気に入っている」②「見捨てられたり、見放されたりする不安が強い」③「相手の表情から気持ちや考えを感じることが苦手」④「自分のことを有能と思っている」⑤「周囲に対して疑い深い」―といったチェックリストの例を出しています。
 
言うまでもないことですが、ストーカー行為と特定の性格タイプが完全に一致することはあり得ません。上記の5つのチェックリストにすべて当てはまる人が、そうでない人の何割増しでストーカー行為に及ぶと言えるのでしょうか。仮に2倍だとして、ではそういうタイプの人が10人いて、何人がストーカーになり得るか。わずかな比率だと想定できます。
 
こうした「ストーカー危険度評価」の判断基準は、ストーカー行為の背景にある問題を理解し、こうした犯罪が起きないようにする取り組みに活かすのが本筋です。例えば、「自分の容姿を気に入っている」人は、「自己愛」が強い性格タイプである可能があります。そうしたタイプは、芸能、スポーツ、ファッションや接客業など、さまざまな仕事で成功する可能性があります。性格の要素が良い方向に開花するか、悪い形で表れるかは置かれた環境次第で大きく変わります。
 
性格タイプを特定することは、個人の言動を理解する上で大変役に立ちます。それは自己を客観する手出すけとなり、自分と異なるタイプの他者をより深く理解する一助となります。同時に、同じ性格タイプでも、育ち方や社会環境によって、タイプ特性の具体的な現れ方は千差万別となります。そして個人の心身の健全度は、性格の特性の表れ方に大きな影響を及ぼします。ストーカー行為などの犯罪を考える際には、個人の特性以上に、社会環境の在り方を「判断基準」に据える考え方が重要です。

(文責:梅本龍夫)





1. 【政府広報】 「育児休業3歳まで」

  • 安倍首相は経済界に女性や若者の雇用・就労を要請する。男女とも育児休業や時短を子供が3歳になるまで可能にすることや、全上場企業の役員に1人は女性を登用することなどが柱。


2. 【独自取材】 「TPP全参加国が承認へ」

  • 日本のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加をカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが承認する見通しとなり、11参加国すべての承認が得られることになった。


3. 【発表引用】 「不審者、5人前後浮上」

  • ニューヨークタイムズ電子版によると、ボストン・マラソン爆破テロ事件で、捜査当局は監視カメラを解析した結果、5人前後の人物に関心を寄せている。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





1. .【独自取材】 「グアム移転費、凍結提言」

  • 米議会上院軍事委員会は17日発表の報告書で、米軍普天間飛行場の沖縄県内移設の見通しが立たないことを理由に、在沖縄米海兵隊9千人のグアム等への移転予算を凍結すべきとした。


2. 【独自取材】 「TPP交渉、7月参加」

  • 日本のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加をカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが承認する方針を固め、11参加国すべての承認が得られる見通しとなった。日本は7月下旬から交渉参加できる。


3. 【政府広報】 「復職時の研修に助成金」

  • 安倍首相は経済界トップに会い、育児休業期間を現行の最大1年6ヵ月から3年に延長するよう要請する。「学び直し支援金」支給などの復職支援策とセットで打ち出す。


(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





1. 【警察広報】 「ストーカー危険度評価」

  • 警察庁は、精神科医と連動してストーカーの「危険度判定チェックリスト」を作成し、全国の警察本部に導入する方針を固めた。凶悪事件の未然防止に活かす。


2. 【独自取材】 「大飯、新基準に適合」

  • 関西電力は18日、大飯原発3、4号機について、7月施行の原発の新規制基準に「6月末までに必要な対策を終えることで適合する」とする報告書を原子力規制委員会に提出した。


3. 【独自取材】 「男の映像、公開検討」

  • ボストン・マラソン連続爆破テロ事件について、オバマ米大統領は全容解明への決意を表明。捜査当局は、情報提供を呼びかけるため、容疑者とみられる男2人の映像公開を検討している。


(毎日jp http://mainichi.jp/
 





1. 【独自取材】 「TPP交渉、7月参加」

  • 日本のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加について、米国やオーストラリアなど11参加国すべての承認が得られる見通しとなり、日本は7月下旬から交渉入りする環境が整う。


2. 【政府広報】 「B787、独自に安全策」

  • 国土交通省は、ボーイング787の運航再開を認めるのに際し、国内航空会社に独自のバッテリー安全確保策を求める方針だ。


3.【連続企画】 「外需回復、米が引っ張る ~動き出す景気③」

  • 外需が年明けから持ち直している。リーマン・ショックの調整局面から抜けつつある米国が牽引している。2012年度の日本の輸出先は、中国を抜いて米国が4年ぶりにトップになった。


(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





1. 【連続企画】 「平和の願い、改憲阻む ~憲法と、第1部50年代の攻防(1)」

  • 鳩山一郎ら連合国総司令部(GHQ)に公職追放された過去を持つ保守政治家は、「米国の押し付けではない独自憲法」を求めた。1952年頃のことだ。本尾良ら歴戦の女性活動家は、家制度を復活させて女性を縛りつける復古調の憲法改正案に危機感を持った。


2. 【独自取材】 「干支の謎、解けた?」

  • 辰野金吾が設計した東京駅のドーム天井に8種のみの干支のレリーフがある。佐賀県の「武雄温泉楼門」(国の重要文化財)の4種の干支(子、卯、午、酉)が補う存在である可能性が浮上した。


3. 【企業広報】 「東通の断層、追加調査」

  • 東北電力は、東通原発の重要施設直下の断層を追加調査する方針だ。原子力規制員会の専門家チームの要求を受け入れた。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 




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