【リグミの解説】
安倍内閣の支持率
読売と朝日が月次の世論調査を発表しています。結果にかなり差があります。
読売: 「支持する」74%(前回72%) 「支持しない」17%
朝日: 「支持する」60%(前回65%) 「支持しない」19%(前回17%)
元々、新聞社の「ビュー」(視点、考え方)を反映してか、各紙の世論調査の結果には違いがありましたが、今回は特徴的な差が見られます。読売では支持率が4ヵ月連続上昇(1978年以来初めて)と大きく報じたのに対し、朝日の結果は前回を下回りました。しかも両紙の数字は14ポイントも違います。前回調査(72%と65%)は誤差の範囲とも言えましたが、今回は「有意な差」といえます。
「ふわっとした民意」
「支持しない」の比率がほとんど同じ(17%と19%)ですので、「どちらとも言えない(答えない)」の差が出た可能性があります(読売9%、朝日21%)。読売の方が、「何となく指支持する」という層がより多く加算された可能性があります。日本維新の会共同代表の橋元徹氏が言う「ふわっとした民意」が、(特に読売の調査では)安倍政権の支持を嵩上げしているのかもしれません。
この推測の「傍証」のが支持理由の差です。読売と朝日3つの選択肢の回答に注目しました。
読売: 「これまでの内閣よりよい」41%
「政策に期待できる」24%
「首相に指導力がある」「首相が信頼できる」(合計)22%
「自民党中心の内閣だから」7%
朝日: 「政策の面」58%
「なんとなく」16%
「首相が安倍さん」8%
朝日の調査で安倍政権支持と回答した人の過半が「政策」を評価しているのに対し、読売では4分の1しかいません。加重平均すると、朝日60% x 58% = 35%、読売74% x 24% = 18%―が安倍政権の「政策」を評価する支持率となります。
「景気回復」を期待
では、「政策」を具体的に評価する層は、「ふわっとする民意」ではないと言えるでしょうか。安倍政権への最大の期待は「景気回復」です。
今回の朝日の調査でも、安倍政権の一番評価する政策は「経済政策」で50%に上ります(以下、「外交・安全保障」14%、「社会保障」11%、憲法改正6%―)。
そして、経済の先行きに対しては、
読売: 安倍内閣は景気の回復を「実現できる」57% 「そうは思わない」30%
朝日: 安倍首相の経済政策で経済成長を「期待できる」55%、「期待できない」26%
と近似した結果です。
「経済が良ければすべて良し」か
政権時支持率の高さは、「決められる政治」の基盤になります。問題は、有権者の支持理由が、「なんとなく」「今までの内閣よりまし」という「ふわっとした民意」と、「景気回復」「経済再生」してくれるから、という「実益中心の発想」に偏っている可能性があることです。
「景気回復」「経済再生」への期待の高さが、政権支持率を押し上げているとしても、それが政権与党のすべての政策を支持していることにはなりません。しかし、私たち有権者も、個々の政策の是非をきっちり判断せず、何となく「OK出し」をしている面はないでしょうか。「経済が良ければすべて良し」としない視点が必要だと思います。
「憲法改正」に討論型世論調査を
安倍首相は、「憲法改正」を夏の参院選の争点に据える意向です。「96条改正」という形式要件から入ることで、議論しやすい環境を整えようとしています。しかし、国民は戦前と戦後の「歴史」を十分に検討し議論しないまま、「なんとなく」「ふわっとした民意」で憲法改正論議に乗せられつつあるように感じます。
内容の良し悪し以前に、気分や空気で物事が進む政治・社会から一歩抜け出す必要があります。そのための一助として、新聞は従来の世論調査を脱却すべきです。政策を「熟議」できる討論型の世論調査を主導するマスコミの登場を希望する理由です。
(文責:梅本龍夫)
① 【独自取材】 「首相、憲法改正『まず96条』」
- 安倍首相は15日、読売新聞との単独インタビューで憲法改正の発議要件をまとめた96条をまず見直す方針を表明した。夏の参院選で公約の柱にする考え。
② 【政府広報】 「3大都市圏に戦略特区」
- 政府は、「アベノミクス戦略特区」を東京都、大阪府・市、愛知県などに創設する方向で検討に入った。規制緩和や税負担の軽減などの先駆的な取り組みを行う。
③ 【世論調査】 「内閣支持74%に上昇」
- 安倍内閣の支持率は74%で前回(3月15~17日)の72%から2ポイント上昇した。4ヵ月連続の上昇は、毎月調査を開始した1978年以降初めて。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① .【政府広報】 「景況感、全地域で上向き」
- 日本銀行は15日、「地域経済報告」を発表した。全国9地域の景気判断が前回の1月から上方修正された。全地域の上方修正は9ヵ月ぶり。
② 【政府広報】 「天然ガス、佐渡沖で試掘」
- 経済産業省は15日、佐渡島沖で石油・天然ガスを試掘すると発表した。国内最大級になるという。政府による試掘は10年ぶりとなる。
③ 【世論調査】 「成長『期待できる』55%」
- 安倍内閣の支持率は60%(前回65%)で依然として高い支持率を維持している。安倍首相の経済政策で経済が成長することを「期待できる」が55%となった。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① .【連続企画】 「消された『直接処分』 ~虚構の環(サイクル)」
- 昨年11月の内閣府原子力委員会での使用済み核燃料の「見解案」は、「政策を見直し直接処分も視野に入れる」となっていたが、経産省資源エネルギー庁のクレームで削除された。
② 【司法広報】 「グーグル検索で名誉棄損」
- 東京地裁は15日、グーグル検索の予測表示の差し止めと慰謝料を求めた訴訟で、米グーグル本社への差し止め請求を認め、慰謝料30万円の支払いを命じた。
③ 【政府広報】 「北朝鮮警戒、長期化も」
- 安倍首相は15日、ケリー米国務長官と会談し、北朝鮮の挑発行為を容認せず、国際社会と連動して自制を求める方針を確認した。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【政府広報】 「都営地下鉄、24時間運行」
- 政府は、東京・名古屋・大阪の三大都市圏を中心に「アベノミクス戦略特区」を推進する検討に入る。都営地下鉄や路線バスの24時間運行などを検討する。
② .【企業広報】 「コスモイニシア買収」
- 大和ハウス工業は、マンション分譲のコスモイニシアを買収する。第三者割当増資約100億円を引き受け、発行済み株式数の6割強を取得し、子会社化する。
③ 【連続企画】 「賃金増なら消費後押し ~動き出す景気①」
- 金融緩和で動き出した景気は浮上するのか。株高を好感した消費は、メリハリをつけた「ハレの日型」。企業が賃金と雇用を増やすことが、日常の消費増のカギを握る。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【独自取材】 「苦悩の親『症状理解を』」
- 高次脳機能障害は外見からはわからないが、記憶や注意力の欠如、感情のコントロールができないなど、日常生活の支障をきたす。周囲の理解と支援が不可欠だ。
② 【司法広報】 「グーグル表示禁止」
- 東京地裁は15日、米グーグルの「サジェスト機能」の差し止め判決を出した。「表示によって原告の名誉棄損やプライバシー侵害に当たる違法投稿記事を容易に閲覧可能」と指摘。
③ 【独自取材】 「『詰め込み』親反発」
- 認可保育所の乳幼児一人あたりの面積を国の基準よりも小さくするさいたま市の条例改正案について、「保育環境の悪化につながる」と親たちから反発の声が上がっている。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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