2012.03.11 sun

団塊世代VS若い世代 投票率の差は何をもたらす?

団塊世代VS若い世代 投票率の差は何をもたらす?


毎日新聞 2011.12.14 朝刊 3面
「逃げ切らせない  潮田道夫 専門編集委員」

来年2012年から、団塊世代が65歳にさしかかり、
年金生活を始めます。

これが世代間の不公平の中心テーマのひとつになっています。
なぜかというと、高齢者(シルバー世代)への政策支出が、
子育て中の家族などに対してよりも相当に手厚いからです。

団塊世代といえば人数の多さがテーマですが、
実は政治に与える影響が、人口比以上に出ています。

というのは、
世代間の投票率に極端な差があるからです。

20代、30代の衆院選の投票率は40%程度であるのに対して、
60代以上は80%ぐらいになっています。

その結果、政治はシルバー世代の歓心を買うようになり、
日本は、「シルバーデモクラシー」の国になっています。

シルバー世代とは、引退していく世代であり、その関心は
「逃げ切り」にあります。

「生きている間は増税なしで現状の医療や年金を維持してもらいたい」
「若い世代は先々たいへんだろうが、まあ何とかやってくれ」
これが「逃げ切り世代」の本音。

この記事は、世代間のバランス是正をする必要を訴え、
「逃げ切り世代から夜具の一枚もはぎ取って、
赤ん坊にかぶせてやるべきなのである」
と結んでいます。




若い世代の投票率が上げれば、「シルバー世代は逃げ切れない」のでは?

確かに、世代間のギャップは埋めていく必要があります。
しかし同時に、
若い世代もまた、政治に主体的な意志を示していく必要があります。

投票率がシルバー世代の半分という数字を見ると、
せっかくの権利を行使しきれていないもったいなさを感じます。
20代、30代の投票率が上がれば、
政治はこの世代の声にもっと耳を傾けるようになるでしょう。

投票所にたくさんの若者が詰めかけるシーンを
是非とも見たいものです。
それがシルバー世代を「逃げ切らせない」近道では?

でも、これって言うのは簡単ですが、
若者の投票率が低いのにはそれ相応の理由がありますよね、きっと。

「団塊の世代」には政治を共有する時代背景があった

「団塊の世代」には安保闘争がありました。

この世代は、「政治」というものを考え、参加し、変えていくということを、
思想信条だけでなく、身体感覚としても持っていたのではないでしょうか。

団塊世代で実際に安保闘争に参加した人は一部に過ぎなかったとしても、
世代として、政治に参加している感覚は共有していたと言えます。

それに対して今の若い世代は、政治に対して「実感」を持てないでいます。
「政治」は、教科書で習い、テレビでたまに目に入るくらいのものでしかなく、
自分と「政治」が、リアルな感覚を伴ってを結びつくことがないのだと思います。

若い世代にとって、今の政治の仕組みは身近でない

そもそも、若い世代は、一票を投じるために、指定された日に、
指定された場所に行かなければならないというだけでも敬遠しがちです。

働いている若い世代にとっては、投票日の日曜日は、貴重な休みです。
確かに投票自体は、それほど時間がかかるわけではないですが、
せっかくの休みにわざわざ投票所に行かなければならないのは
結構わずらしいことです。

ビジネスの言葉を使えば、今の投票制度は若者にとって
ユーザ・フレンドリーでなく、CS(顧客満足度)を追求していない、と言えます。

また最近の選挙は、政策というよりもお祭り的に盛り上げる要素が強くなり、
表面だけを見て、投票することに疑問を感じる、という声もあります。

そして、せっかく投票に行ったとしても、今回の民主党のように、
選挙でかかげていたマニフェストが、政権取得後に守られないということになると、
若い世代は、政治や選挙から、より遠ざかってしまうのではないでしょうか。

若い世代が参加しやすい投票制度を考えるべき

そもそも今の政治制度は、古い世代に有利です。
若い世代に政治に関心を持ってもらうためには、政治というものが
もっと身近に感じられ、自分の意志を反映しやすい制度に変えていく
必要があるでしょう。

基本として、それぞれの政党が何を考えているのか、
若い世代に理解共有される環境づくりが必要です。
そのカギを握るのが、ネットの活用です。
政党や各政治家が、ネット上でよりダイレクトの若い世代とつながり、
政策論議を丁寧に説明し、疑問に答えていくこと。
対話集会をネット上で行うような試みも必要でしょう。

こうした取り組みの中で、若い世代を理解する政治家が増え、
若い世代を代弁して立ち、それを若い世代が支えるというのが、
一番考えられる図式ではないかと思います。

若い世代の政治への参画意識を高めていった上で、
投票制度を時代のテクノロジーやライフスタイルに合わせて
改定していき、投票をネットでもできるようにしていけば、
若い世代の投票率は相当に上がるのではないでしょうか。

日本の未来を真剣に思うのであれば、
時代を担う若い世代の意識を高め、政治に自分たちの意志を
反映しやすくする取り組みを今すぐ始めるべきだと思います。

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