【リグミの解説】
「次元の違う金融緩和」
日銀が黒田新総裁の下で大きく舵を切り、物量を一気に投じる「次元の違う金融緩和」を決定しました。市場は「予想を超える規模」と好感し、円安・株高・債券高が一気に進みました。
3月22日の「
リグミの解説」で「期待のコントロール」を話題にしました。ちょうど黒田氏の日銀就任会見報道があった時です。人々は「悪いニュースがない」ことを期待し、「良いニュースがある」ことを期待します。そうしたマイナスからプラスまでの「期待値の幅」に入っていれば、市場は小幅な反応に留まります。
しかし、「サプライズ」があると市場は大きく反応します。黒田総裁は、「レジームチェンジ(体制変換)」をアピールするために、初手から大胆な金融緩和策を打ち出しました。安倍政権のスタートダッシュに呼応し、金融政策で全面バックアップする姿勢を鮮明にしましたといえます。
期待値を織り込む市場
市場は学習をします。企業IRで言えば、アナリストは企業の情報公開のクセを読みます。実態より大き目のことを言う企業の予想は慎重に組み、コンサバティブに低めの数値を発表するパターンがあれば予想を高めに設定します。黒田総裁は、こうした市場心理を今後どうコントロールしていくのでしょうか。
そのカギを握るのは、実体経済の改善だと思います。円安・株高・債券高は、輸出企業などを中心に競争力と財務体質の改善をもたらす可能性があります。そこから螺旋状に好影響の循環が起きれば、最終的に雇用増・給与増・消費増につながると期待されます。
ユーザを感動させるサプライズ
20?30代女性の8?9割が利用すると言われる料理レシピサイト「クックパット」の佐野 陽光社長は、「ユーザーに支持をしてもらうには、普通のことをしていてもダメです。想像を超えるアウトプットを繰り返す。期待を持って次に進むと、その期待を上回る何かが出てくる。最後には“どうして私が探そうと思ったものが出てくるの”という驚きで次に進める。ユーザーに感動してもらってこそ、価値が提供できるのです」と語っています(参照:
リクナビ)。
「期待」を超えるサプライズによって、感動が生まれる。これは企業成功の1つの方程式です。ただしそこには大前提があります。クックパッドでいえば、自分の料理のレシピをアップし評価される喜び、人のレシピを使って納得の料理ができる満足感という「生活者の実態」がしっかりあることです。
「もっと、もっと」の本能
人間は「もっと、もっと」と求める内的欲求を秘めています。命は、発展し、進化することを本能的に求めているからです。しかしこれが人間心理では、過剰で実態のない「期待」に変質しがちです。仏教などで「我欲」や「執着」と呼ばれるものです。
おいしい料理が作りたいという生活者の地に足のついた欲求に対して、「サプライズ」を提供しているうちは、健全なビジネスといえます。仮にそこから習慣性や中毒性、ギャンブル性の高いサービスに移行すれば、消費行動の健全性は損なわれる可能性があります。
マクロ経済もまったく同じです。お腹が一杯なのに「もっと、もっと」と求めれば、肥満になります。これが「バブル」です。肥満から生活習慣病になり、入院をする事態になれば、「バブル崩壊」です。
健全な心と健全な体
心が健全であれば、体がどれぐらい栄養を必要としているか自然にわかります。目の前の料理を楽しみ、日々の糧に感謝し、心身ともに満たされます。しかし心の健全性が低下すると、「もっと、もっと」が止まらなくなります。それは、個が成長し、集団で発展し、種として進化しようとする生物の本能が、人間において機能不全になった姿です。
戦後、国民一丸となって「経済発展一転絞り」の活動に邁進した結果、日本はGDP2位まで上り詰め、現在も3位を維持しています。この間に、基本的な物質の充実を果たし、非物質の諸々のサービスの充実を経て、実態のないバブル景気まで体験した日本。ここからが本当の勝負です。
これからまた体を一段と大きくしていくのか。それとももう体は大きくなれないのに栄養過多をつづけ、肥満となり病気になるのか。あるいは今までの体を維持できず、小さく衰えていくのか。どの道を進むかは、日本人の集合意識という心にかかっています。私たちが心から願うことが私たちの「集合的な期待値」を創ります。過去に学び賢明な未来を創造できる日本でありたいと願います。
(文責:梅本龍夫)
① 【政府広報】 「日銀、緩和策フル動員」
- 日本銀行は4日の金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」の導入を決定した。①資金供給量を2年間で2倍の270兆円(2014年末)、②長期国債保有額を2年間で2倍以上の190兆円、③物価目標2%を2年を念頭にできるだけ早期に実現―。
② 【独自取材】 「中国鳥インフルは新種」
- 国立感染症研究所は4日、人への感染が確認された鳥インフルエンザ「H7N9型」は新タイプのウィルスだと発表した。H7型のワクチン候補株が効かない可能性があり、新たなワクチン開発に入る。
③ 【独自取材】 「長期金利最低に」
- 日本銀行の新たな金融緩和策を好感した東京金融市場は4日、長期金利が史上最低となり、円安・株高が大幅に進んだ。円相場は一時1ドル=96円40銭台をつけ、東京株式市場の日経平均株価の終値は1万2634円54銭まで上昇した。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【政府広報】 「新・量的緩和130兆円」
- 日本銀行は4日、黒田新総裁の下での金融政策決定会合で、新・量的緩和策の導入を全会一致で決めた。資金供給量を2年で130兆円増やし規模を2倍にする。過去の量的緩和(2001~2006年)の4倍近い量を投入する歴史的金融緩和となる。
② 【政府広報】 「普天間返還、先延ばし」
- 日米両政府は、普天間飛行場の返還時期を当初の「9年以内」(2022年まで)から後退する「2022年以降」とすることで最終調整をしている。期限明記に慎重な米国に配慮した。
③ 【独自取材】 「利子144億円、税で穴埋め」
- 日本政府がアフリカ5ヵ国に販売したコメの未払い代金を帳消しにする国内手続きで、14年間処理を先送りした結果、144億円の金利が発生した。農林水産省は、3月に税金で穴埋めをしたが、公表していなかった。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【政府広報】 「資金供給2年で2倍」
- 日銀は4日の金融政策決定会合で新しい金融緩和の枠組みとなる「量的・質的緩和」を決定した。市場への資金供給を今後2年で2倍に増やすという大胆な内容。購入する国債の対象を40年債を含むすべてに拡大する。
② 【政府広報】 「悪質運転事故に新法」
- 悪質運転に対する政府の新法案の全容が明らかになった。「危険運転致死傷罪」と「自動車運転過失致死傷罪」を刑法から削除して新法に移す。てんかんなどの病気の影響での死傷事故の最高刑を懲役15年とする。
③ 【政府広報】 「事故対応施設、5年猶予」
- 原子力規制委員会は4日、過酷事故対策で設置を求める「特別安全施設」について5年間猶予を与える方針を決定した。新安全基準で7月に即時義務化する移動型施設の配備により、当面の安全は確保できると判断した。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【政府広報】 「日銀、緩和策を総動員」
- 日銀は、4日の金融政策決定会議で「量的・質的金融緩和」の導入を決定した。政策目標を金利からマネーの量に切り替える。マネタリーベース(市場への資金供給量)を2年間で2倍に増やす。リスク資産も買い増す。
② 【企業広報】 「小売初3000億円台」
- セブン&アイ・ホールディングスの2014年度2月期は、連結営業利益が3400億円と前期比15%増となる見通しだ。営業利益3000億円台は、国内小売業として初となり、金融を除く上場会社トップ20に入る規模。
③ 【独自取材】 「長期金利、過去最低に」
- 日銀が導入決定した「量的・質的金融緩和」を受け、4日の金融市場は円安・株高・債券高が進んだ。市場は、「期待を上回る内容」との受け止め方が多い。総動員された緩和策で借入金利低下を促し、企業投資を後押しする。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【連続企画】 「ツリーの下、教え子を思う ~犠牲の灯り」
- 東京スカイツリーは桜色にライトアップされ、人々は近頃少し浮かれ気味に見える。しかし、スカイツリー近くの6号線は、原発事故の汚染で苦しむ福島県に続いている。この国には、花見さえ奪われた“異界”が今もある。
② 【独自取材】 「朝鮮学校を除外」
- 東京都町田市教育委員会は、新入学児童に無償配布する防犯ブザーを朝鮮学校「西東京朝鮮第二幼少級学校」には配布しない決定をしていた。北朝鮮が軍事的挑発を繰り返していることを踏まえた判断とする。
③ 【企業広報】 「人の夢が見える?」
- 国際電気通信基礎技術研究所は4日付の米科学雑誌サイエンスの電子版に、夢の内容を推測する技術を発表した。血流パターンの分析で夢に出てきた映像を70%以上の確率で当てられたとする。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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