2013.04.08 mon

新聞1面トップ 2013年4月8日【解説】政治を変える「参謀」

新聞1面トップ 2013年4月8日【解説】政治を変える「参謀」


【リグミの解説】

事業成長とライン組織
起業したばかりのときは、創業者はほとんどすべてのことを自分ひとりでこなさなければなりません。運良く事業が軌道に乗ると、人を雇い役割分担を進めていきます。メーカーであれば「生産」「営業」「管理」、小売などであれば「仕入」「販売」「管理」といった機能別の組織を作るのが一般的です。
 
自民党の反省
政治はどうなっているのでしょうか。本日の毎日新聞1面の3番記事は、自民党の原子力政策を取り上げた連続企画です。東京電力福島第1原発事故にショックを受けた自民党議員は、総合エネルギー政策特命委員会を設置し、全部で36回の会合を開きました。
 
記事によると、「電力業界にしがらみがない」ことを理由に山本一太参院議員(現沖縄・北方担当相)を委員長に任命、「オープンな平場の議論」(山本氏のブログ)をアピールしました。昨秋に出来上がった最終報告書は、自民党政権時代の原発政策を反省する言葉が盛り込まれ、核燃料サイクルも見直す「総括」となっていました。
 
元通りの原発政策
しかし、昨年末の衆院選で圧勝した自民党は、特命委を事実上消滅させ、原発政策への「反省・謝罪」は一切聞かれなくなりました。モノが売れなくなった時代(野党時代)には、「管理」が「生産(仕入)」の欠陥を指摘し、「営業(販売)」の方針を見直す姿勢を打ち出したものの、景気が回復したことで(政権を奪取したことで)、社長(政権執行部)が「今までの製品をどんどん売ってこい」と命令している風情です。
 
スタッフ機能の充実
過去の間違いを冷静に振り返り、「原因責任」を明確にし、より良い未来を創造する。この基本を日本人はいささか苦手にしています。自然災害が定期的に起きる国土では、「禊(みそぎ)をして過去を忘れ、気持ちを入れ替えて前に進む」ことを好むという風土論からの国民性の説明ができます。一方で、役割分担がきっちりできないという組織論の視点も必要だと思います。
 
事業が大きくなれば、「生産(仕入)」「営業(販売)」「管理」というラインの組織以外に、スタッフの機能を充実させる必要性が出てきます。トップの頭脳の役割を担う「参謀」、決められたことをきっちり実行していく「官僚」、組織を円滑に動かすための諸々の役割を担う「補佐」の3つが典型となります。
 
参謀役の政治家
政党は、一国一城の主である政治家の寄り合い所帯であり、そもそも企業の組織論にはなじまないとは思います。それでも、優れた組織の機能や構造から学びを得ることは可能です。その第1歩は、「参謀」の機能を持つことではないかと思います。志の高い「参謀」は、トップに媚びません。組織の「あるべき姿」を時には体を張って実現しようとします。
 
そうした「参謀」役を政権与党内の政治家に期待できれば一番いいのですが、特命委の委員長だった山本一太氏を見ても、大臣に任命されたあとは特命委についての取材にも応じないなど、「オープンな平場の議論」は胡散霧消しています。自民党内では、原発政策を批判している河野太郎衆院議員などは、政権に直言できる「参謀」の役割にふさわしいと思いますが、現実には影響力を行使できていないように見えます。
 
政党のシンクタンク
次善の策として、政党が優秀なシンクタンク(研究所)を持ち、過去の政策の棚卸しと未来の政策提言づくりを進める「参謀」機能を担わせることが考えられます。また、マスコミなどのメディアも、「政府広報」的な記事をあらため、「調査報道」の手法を粘り強く発揮し、責任ある世論形成の「参謀」の役割をもっと自覚すべきだと思います。
 
かつての「参謀」は、トップの意向を汲んで隠密に動くイメージがありましたが、現代の「参謀」はトップが「原因責任」「説明責任」を負えるように手助けする役割です。そのためには、「参謀」は組織の中に風通しの良い対話ができる環境を整える義務があります。政治も、国民との対話が何より大切な時代を迎えています。シンクタンクの新しい役割として、対話型の世論調査などを試行することも提案したいと思います。

(文責:梅本龍夫)






1.【政府広報】 「TPP、メキシコと連携」

  • 安倍首相とメキシコのペニャニエト大統領との首脳会談で、メキシコは日本のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加の支持表明をする見通しだ。11ヵ国中6ヵ国が事務レベルで日本の交渉参加を支持しているが、首脳レベルは初めてとなる。
     
2.【企業広報】 「別の貯水槽でも漏れ」
  • 東京電力は7日、福島第1原発の別の貯水槽からも汚染水漏れが見つかったと発表した。漏水量は多くても数リットルと見ている。止水シート接合部の強度不足が原因の可能性があるが、設計ミスか施工不良かは確認中。

3.【独自取材】 「強風大雨4人死亡」
  • 「猛烈低気圧」の影響で、7日は全国的に強風となり、東北から北海道にかけては暴風雨となった。高波にさらわれるなどして、北海道、三重県、長崎県、鹿児島県で4人が死亡した。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





1.【政府広報】 「ミサイル発射命令」

  • 小野寺防衛相は7日、自衛隊に北朝鮮のミサイル発射に備えて「破壊措置命令」を出した。安倍政権は、挑発的言動を続ける北朝鮮でミサイルの移動も確認したため、迎撃態勢を取る。
     
2.【企業広報】 「汚染水漏れ、隣の水槽も」 
  • 東京電力は7日、福島第1原発で汚染水漏れが見つかった貯水槽に隣接する別の貯水槽からも汚染水漏れが見つかったと発表した。同じ遮水シートを使用しており、施設の構造や施工に問題がある可能性がある。

3.【発表引用】 「米、刺激避け延期」
  • AP通信などによると、米国防総省は、今週予定していたICBM(大陸弾道ミサイル)「ミニットマン3」の発射実験を5月に延期した。北朝鮮を刺激し、不測の事態を招かないためで、緊張緩和を模索するオバマ政権の立場を示すもの。


(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





1.【政府広報】 「自衛隊に破壊命令」

  • 小野寺防衛相は7日、自衛隊に北朝鮮の中距離弾道ミサイル発射に備えて「破壊措置命令」を出した。政府は、ミサイルが日本領土・領海に飛来したり、部品などが落下するなどの事態に対処する必要があると判断した。
     
2.【企業広報】 「隣接貯水槽も漏れ」
  • 東京電力は7日、福島第1原発で汚染水漏れが見つかった貯水槽に隣接する別の貯水槽からも汚染水漏れが見つかったと発表した。7つの貯水槽のうち2つで漏れが判明したことで、東電は保管計画の基本から再考する必要がありそうだ。

3.【連続企画】 「縮小論、政権復帰で幻に ~この国と原発(1)」
  • 東京電力福島第1原発事故を受け、自民党はエネルギー政策の再検討を進めていた。特命委員会は昨秋に核燃料サイクルの見直しを提言する最終報告書を作成していたが、衆院選の圧勝で自民党が進めてきた原発政策の「総括」は吹き飛んだ。


(毎日jp http://mainichi.jp/
 





1.【独自取材】 「投資マネー、先進国回帰」

  • 世界の投資マネーが中国などの新興国から日本や米国などの先進国に回帰しはじめた。日米の株価は他の主要国を大きく上回る上昇率を示している。海外から資金流入でマネーの好循環が進めば日米の景気回復の好条件となる。
     
2.【連続企画】 「『医療の平等』の陰で ~規制、岩盤を崩す(4)」
  • 政府は2004年に、保険の適用外だけ自費負担する「混合診療」の適用範囲を広げることを決めたが、厚生労働省は一部の例外しか認めていない。医療は、技術や価格を競う世界を避け、公的保険の殻にこもる。

3.【企業広報】 「米で不動産融資、買収」
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループは、ドイツ銀行の子会社の米ユニオンバンクを通じて、不動産融資事業を買収する。取引総額は、約37億ドル(3600億円)。


(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





1.【独自取材】 「東電、予兆問題視せず」

  • 東京電力は、福島第1原発の地下貯水池か高濃度汚染水を処理した水が漏出した事故で、水漏れの予兆を見逃していた。貯水池の水位がじりじりと下がり、遮水シートの近くで微量の放射性物質を計測したが、「水漏れはない」と判断していた。
     
2.【発表引用】 「内部留保99兆円」
  • 共同通信の調査によると、大手企業100社の内部留保の総額は2012年3月末時点で総額99兆円に上った。リーマン・ショック直後の2009年3月末から3年で10%増えた。利益を投資や人件費に回さず、経営環境の変化に備え温存する実態が明らかになった。

3.【連続企画】 「明日の扉たたく太鼓 ~心にふれる話」
  • 会社員の堤幸雄さん(42)は高校時代、いじめられた体験がある。心の支えは小学時代から親しんだ太鼓。今、東京・北区で地元の小、中、高校生ら約15人に太鼓の指導をしている。「つらいことがあっても、明日への扉をたたくような元気な音を出してほしい」と語る。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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