2013.04.03 wed

新聞1面トップ 2013年4月3日【解説】軌道修正の奥義

新聞1面トップ 2013年4月3日【解説】軌道修正の奥義


【リグミの解説】

本日の新聞1面の記事に共通するテーマとして、「軌道修正」があります。

北朝鮮の事例
各紙が共通に取り上げたのが「北、核施設再稼働」です(読売2番、毎日3番、日経3番、東京3番)。北朝鮮の金正日氏は、就任当初は新しい動きを示したましたが、現在は父
親が敷いた核武装路線をひた走っているように見えます。

「軌道修正」をすれば国内の求心力を失うからでしょうか。崖に向けてに「チキンレース」を仕掛けているのであれ
ば、手遅れになる前に誰かが(どの国かが)止める必要があります。

TPPの事例
朝日は2番記事で「TPP交渉入り大筋合意」の記事です。安倍首相よるTPPの交渉「参加表明」は、TPP「参加」とはイコールではありません。交渉参加が正式に認められたわけ
でもありません。ただ、事実上後戻りできない状況になった可能性はあります。日本が求める農産物などの「聖域」の確保は、今までの交渉の積み重ねに対する重大な「軌道修正」になるかもしれません。

自民党は、十分な譲歩を引き出せなければ「交渉離脱」もあり得るとしていますが、一旦乗ったバスから強引に一人降りることができるかどう
か。「軌道修正」の裁量範囲をどう見立てるのか。国民が知る必要のあるポイントです。

教育委員会の事例
毎日の2番記事は、「教育長に最高権限」です。各地の教育員会の委員長に最終意思決定権を与えることで、問題に迅速に対応できるようにするという文科省の方針について、
教育の政治的中立性確保の観点から異論もある、と記事は伝えています。

現状は、国の基本方針から大きく逸脱することのないように、教育長に縛りをかけています。現場に
権限移譲することは、中央集権的な「軌道修正」を手放すことにつながるのでしょうか。教育という大きなテーマだけに、もっとよく意図や現実を理解する必要を感じます。

規制緩和の事例
日経の2番記事は、「岩盤規制」についてです。官僚と族議員と業界団体が結託して、規制緩和を阻む3つの手法(牛歩、したフリ、骨抜き)を指摘。規制緩和は、本来「軌道
修正」以上の意味があります。「方向転換」であり、「革命」に近い部分もあります。

これに対してソフトランディングを図るために現場で「軌道修正」を図るというのは、
まだ理解できます。しかし、やりたくないために3つの手法を駆使する様子は、「変われない日本」という構造問題を象徴しています。

理念と戦略と軌道修正
企業も国家も、何かを成すためには、大きな理念と目標に基づく戦略を打ち出す必要があります。戦略は、すべての活動の「軸」になるものです。有効な戦略であれば、この
「軸」を確立することで、成功を長期的に維持することが可能になります。

しかし、この「軸」が硬直的だと環境変化に耐えられません。柔構造の「軸」とし、不測の事態や
変化に対応する「軌道修正」を繰り返す必要があります。それは、飛行機が何万回と「軌道修正」しながら目的地に航行していく様子に喩えることができます。「変えないこと」と「変えること」。この2つを矛盾なく往来するのが「軌道修正」の奥義だと思います。日本の国家としての理念と戦略が問われる理由です。

(文責:梅本龍夫)





① 【政府広報】 「医療研究の司令塔創設」

  • 政府は2日、「日本版NIH」(NIHは米国立衛生研究所)を創設する方向で本格検討に入った。最先端医療の技術革新を進める司令塔となり、早期の新薬開発や医療機器の実用化につなげる。


② 【発表引用】 「北、核施設再稼働を表明」

  • 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の原子力総局報道官は2日、2007年から稼働停止している寧辺(ヨンピョン)核施設を「再整備・再稼働」すると表明した。同施設は、6ヵ国協議の合意に基づき停止されており、再稼働されれば北朝鮮の非核化作業は振り出しに戻る。


③ 【独自取材】 「十八世に捧げる初日」
東京銀座の歌舞伎座で、こけら落としの興行初日、昨年12月に亡くなった「十八世中村勘三郎に捧ぐ」と題し、中村勘九郎さん、七之助さん、勘九郎さんの2歳の長男の七緒八さんが出演した。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【独自取材】 「父は温め歌ってくれた」

  • 猛吹雪の中、父が命を懸けて助けてくれた9歳の少女岡田夏音(なつね)さんが「お父さん」の最後の時間を語った。「ナッちゃんはね・・・」父は童謡「サッちゃん」の替え歌をいつも歌ってくれた。「ナッちゃんはね・・・」。父・幹男さんの声に力がなくなり、途切れ途切れになった。夏音さんを抱いたまま凍死した。


② 【政府広報】 「日米、交渉入り大筋合意」

  • 日米両政府は、TPP(環太平洋経済連携協定)への日本の参加をめぐる事前協議で、大筋合意した。


③ 【司法広報】 「イレッサ遺族の全面敗訴確定へ」

  • 最高裁第三小法廷は2日、肺がん治療薬「イレッサ」の副作用の危険性を十分に知らせなかったとして死亡患者の遺族が輸入販売元と国に損害賠償を求めた訴訟に関する高裁判決の上告を受理しなかった。遺族側の全面敗訴の可能性が高い。


(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【独自取材】 「老健、みとりの場に」

  • 介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目的とする施設だが、認知症で行き場をなくした人の「駆け込み寺」となっている。神奈川県の「なのはな苑」では、在宅復帰を果たせず、年10人超が他界している。


② 【政府広報】 「教育長に最高権限」

  • 文部科学省は、都道府県、市町村などの教育長を地域の教育責任者として位置づける検討を開始した。教育トップとしての権限を持たせ、責任を明確化することで、問題発生時の迅速対応を目指す。


③ 【発表引用】 「北朝鮮が再稼働表明」

  • 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の原子力総局報道官は2日、稼働停止している寧辺(ヨンピョン)核施設を再稼働すると表明した。北朝鮮最高人民会議で1日に採択した「核兵器を質量ともに強化する」方針を行動に移し、朝鮮半島情勢をさらに緊迫化させる狙いがあるとみられる。


(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【企業広報】 「防災技術、アジアで開拓」

  • NECは、台湾全土を対象とした自然災害被害情報を逐次把握できるシステムを受注した。住友ゴムやゼネコン各社なども独自技術でアジア市場の需要取り組みを図る。政府も日本企業のインフラ輸出を支援する構えだ。


② 【連続企画】 「牛歩・したフリ・骨抜き ~規制、岩盤を崩す(1)」

  • 省庁と関連業界がそろって強く反対して規制緩和が進まないケースを「岩盤規制」と呼ぶ。官僚と族議員の典型パターンは、①「牛歩戦術」、②「面従腹背」、③「骨抜き」―。


③ 【発表引用】 「北朝鮮『原子炉を再稼働』」

  • 北朝鮮は2日、寧辺(ヨンピョン)の黒鉛減速炉(原子炉)を再稼働すると宣言した。6ヵ国協議に合意で無能力化した核施設を動かし、プルトニウムを抽出し、核兵器を大量に開発する意志を明示した。


(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「保育士確保厳しく」

  • 保育所の待機児童問題を大幅に改善した横浜市は、保育士の確保という新たな課題に直面している。認可保育所の急増に伴い、保育士の獲得競争が激しくなっている。待機児童が多い東京でも、対策が進めば同様の問題に直面する可能性がある。


② 【独自取材】 「人間国宝ら魅了」

  • 新装開場した東京銀座の歌舞伎座は、こけら落とし講演が繰り広げられた。尾上菊五郎さん、中村吉右衛門さん、坂東玉三郎さんらが出演し、客席を沸かせた。


③ 【発表引用】 「原子炉再稼働を宣言」
北朝鮮の原子力総局報道官は2日、稼働停止している寧辺(ヨンピョン)核施設を再稼働すると表明した。「電力問題解決と核兵器を質量ともに拡大、強化するため」とする。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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