【リグミの解説】
1週間を振り返る
3月から有料メルマガを始めました。タイトルは<リグミの目>。毎日の新聞記事を要約し、解説を書いていると、時事問題の背後にある歴史的な流れや社会の構造がほのかに見えてきます。ただそういうものは、毎日入れ替わる記事を追っているだけでは、なかなかとらえきれない感じがしていました。そこで、1面トップを飾った記事や解説に選んだテーマを1週間単位で振り返ることにしたのがこの企画です。
3月は計5通配信しました:- 2013/03/03 「安全と安心」の代価
- 2013/03/10 歴史は「記録」と「記憶」の交差点
- 2013/03/17 10年後の日本、30年後の日本、100年後の日本
- 2013/03/24 桜満開の日本
- 2013/03/31 日本の均衡点をずらす
(有料メルマガ<リグミの目>ご案内)
1月(ひとつき)を振り返る
3月は何と言っても、東日本大震災から2年が経った月でした。災害が急速に風化するのがこの時期だそうです。忘れないことを義務にするのでなく、自然に記憶し続けるにはどうしたらいいか。毎月11日に何か記憶をリフレッシュする「儀式」を入れる手もあります。3ヵ月単位ぐらいでもいいかもしれません。
小さい単位と大きい単位をうまく組み合わせるのは効果的だと感じます。私自身、毎日のことを1週間単位にしたことで、見えてきたことがあります。そして今、月単位で振り返って、メルマガのタイトル5つのうち3つまで、「日本」という単語が含まれていることに気づきました。
1年を振り返る
今日4月1日は、「日本」がリセットされる日です。国や自治体、学校、そして多くの企業で新年度が始まります。月の次の大きな単位は年。これまでの1年を振り返り、これからの1年を見据える。年末年始というカレンダーイヤーもあるますが、年度という区切りもとても大事な意味があります。
年度とセットになるのが計画です。この1年の具体的目標と活動内容をもりこんだ計画に従って動き始める初日。四季の移り変わりが明瞭な日本で、春の息吹を実感しながら新年度を迎えるのは良いものです。
新年度のポジとネガ
本日の新聞1面記事では、4月1日から変わるものを特集する記事が目につきました(読売2番、朝日2番)。- 医療では「定期予防接種に3ワクチン追加」、年金は「厚生年金の支給開始年齢の引き上げ」と「国民年金保険料の引き上げ」、雇用については「60歳以上の雇用の企業に義務付け」し「有期雇用に無期転換ルールを導入」また「法定雇用率を2.0%に引き上げ」ます。小麦や食用油など食品の値上げも始まります。
プラスのニュースとマイナスのニュースが交錯する内容です。日本の新年度は明るくなるでしょうか。
ネガをポジに変える
明るさと暗さ、プラスとマイナス、ポジティブとネガティブは、コインの表裏のようにセットで存在します。それをどう捉えるか。実は有料メルマガの配信時間に、この問題意識をちょっぴり反映させました。ご購読いただいている方には、毎週日曜日の夜6時、ちょうどサザエさんが始まる前あたりに配信されます。
サザエさんタイムは、「週末が終わって明日からまた仕事」と意識させられる時間帯で、ちょっとブルーになる人も少なくないと言われます。あえてそんなタイミングを選んだのは、終わった1週間を振り返り、次の1週間の心の準備をするのに、ふさわしいと思ったからです。ブルーになるのは、仕事に向かう”ネガティブな準備”ができた証拠。あとはそれを”ポジティブ”な方向にシフトすればいいのだと思います。
生命の息吹
といって、何か妙策があるわけではありません。ネガティブなものを見ないようにするポジティブ思考は、幻想だと思っています。無理やり元気にするクスリはありません。大事なのは心身の十分な休息をとり、気分転換を図ること。そうすれば、自然にポジティブなエネルギーが生まれてきます。
生命というのはそういうものです。活動と休息を上手にコントロールすれば、いつでもリフレッシュし前進できます。そして、ネガティブのものを包み込む、大きなポジティブ・エネルギーになれます。<リグミの目>が目指しているのは、そんなコラムです。
東京では、3月22日に満開宣言された桜。その後気温が下がったこともあり、今年は花の持ちが良いようですが、桜の見頃もそろそろ終焉を迎えます。「桜咲く」。そして「桜散る」。それは季節が着実にひとつ、前進すること。私たち一人ひとりに、そして日本全体に、ネガをポジで包み込む生命の息吹が、大いなる恩恵としてもたらされています。
(文責:梅本龍夫)
① 【政府広報】 「就活解禁、大学4年4月」
- 政府は、大学生の就職活動の開始時期を4年生の4月からとするよう経済界に要請する方向で検討に入った。現在は3年生の12月となっているのを4ヵ月遅らせる。大学教育の質向上を目指すとともに、大学生が海外留学しやすい環境を整備する狙いもある。
② 【独自取材】 「年金・雇用、新たな制度」
- 新年度から生活の関わる制度が変わる。年金支給開始年齢(男性)が60歳から61歳に引き上げられ、同時に希望者を65歳まで再雇用する制度が施行される。祖父母から孫への教育資金一括贈与が非課税になる。高校の英語の授業を基本的に英語で実施し、英語コミュニケーション能力の向上を目指す。
③ 【政府広報】 「島嶼国に環境総合支援」
- 環境省は、島嶼国(とうしょこく)に対して日本の環境・減災技術などを包括的に提供する。安倍政権が掲げる「攻めの地球温暖化外交戦略」の一環。①再生可能エネルギーの普及、②防潮堤建設、③サンゴ礁保全、④浄化槽・汚水処理施設の整備―などの事業をまとめて提供する。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【独自取材】 「新電力の参入進まず」
- 水力発電所を持つ26の都道府県・市のうち、25自治体は2013年度も随意契約で大手電力会社に売電することがわかった。原発事故後、新電力が電気の購入先として人気が高まっているが、水力発電の売買契約を見直したのは東京都だけだで、新電力は入札で買えずにいる。
② 【独自取材】 「値上げの春、家計に負担」
- 4月から家計の負担が増える。男性の厚生年金の支給開始年齢が60歳から61歳に引き上げられる。国民年金保険料が月額1万4980円から1万5040円に引きあがられる。支給額は変わらず。輸入小麦価格が値上げされる。家庭用食用油も値上げされる。
③ 【独自取材】 「希望の桜、はや満開」
- 東日本大震災で被災した宮城県石巻市雄勝町の白いしっくい壁「雄勝希望キャンバス」に描かれた桜の木に、約200人がピンク色の手形を押し満開にした。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【行政広報】 「水産特区、月内申請へ」
- 宮城県の村井知事は、「水産業復興特区」を4月にも国に申請し、漁業権を民間に開放する方針を固めた。地元漁師と水産物専門商社の仙台水産が共同出資のLLC(有限責任会社)を設立した石巻市・牡鹿半島の桃浦漁港が対象。東日本大震災からの漁業復興を図る。
② 【連続企画】 「地元常駐、償いの日々 ~密着The経営者」
- 東京電力福島復興本社代表の石崎芳行は、「厳しい批判は仕方がない。我々はそれだけのことをしたんだから」と語る。「震災前にはあまり接点のなかった自治体にも多大な迷惑をかけた。我々には償っても償いきれない責任がある」。
③ 【政府広報】 「秋にも秘密保全法案」
- 政府は31日、秘密保全法案を今秋の臨時国会の提出する方針を固めた。外交や公共の安全などに関する秘密情報を漏洩した公務員を処罰するもの。民主党政権は法案の国会提出を見送ったが、安倍政権は厳格な情報保全措置が必要と判断した。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【独自取材】 「マネー好循環の兆し」
- 銀行の国内貸し出しが回復しつつある。大手銀行の2月の国内貸出残高は198兆円(前年同月比1.1%増)で、3ヵ月連続で前年同月を上回った。今後は日銀の金融緩和や政府の成長戦略により、銀行を通じたマネーの好循環の後押しが始まる。企業の設備投資の資金需要を刺激し、経済を活性化する効果に期待が集まる。
② 【連続企画】 「個人の評判が『通貨』に ~ネット・人類・未来」
- ヤフーのお見合いサービスは、登録者10万人に対してデータ分析で相性のいい異性を割り出す特許技術を持つ。生まれたカップルは18万。厳密な登録の仕組みで会員の質を保つ。ネット時代は「個人の評判が通貨になる」と社会心理学者の山岸敏男氏は指摘する。
③ 【政府広報】 「埋蔵量を集中調査」
- 政府の「海洋基本計画」の全容が明らかになった。新たな資源となるメタンハイドレートの日本領海の埋蔵量を把握する調査を2013年度から2015年度まで実施する。同計画は、日本の周辺海域にメタンハイドレートが「相当量」存在すると指摘する。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
【記事要約】 ① 【連続企画】 「石綿台帳、8区『整備せず』 ~生きぬく首都大震災」
- アスベスト(石綿)がどの建物に使われているかを把握する「アスベスト台帳」の整備を国は自治体に促すが、東京23区の取り組みはまだら模様だ。中央区、新宿区、文京区、渋谷区、杉並区、練馬区、墨田区、葛飾区は、「着手予定なし」。
② 【独自取材】 「民間校長、10年で幕」
- 2003年にリクルート出身の藤原和博さんを校長に採用した杉並区立和田中学。藤原さんは、夜間の有料補習授業「夜スペシャル」を導入し注目された。後任の代田昭久さんは、部活の指導をプロコーチに有料で委託した。杉並区教委は、「任期満了したので教員出身の後任を充てたい」とし、民間校長は10年で終了した。
③ 【独自取材】 「銀座、名画座ラストシーン」
- 銀座シネパトスが31日、閉館した。現存する日本最古の地下街「三原橋地下街」の中核施設として46年の歴史を刻んだが、東日本大震災を機に耐震性の問題が浮上。地権者の東京都が閉鎖を決めた。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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